栄通記

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2013年 09月 12日

2200)②「有島記念館若手作家展Ⅰ『再会-reunion』」 (ニセコ町)有島記念館 7月1日(月)~9月29日(日)

    


有島記念館開館35周年
有島武郎青少年公募絵画展25周年
 


有島記念館若手作家展
 
   再会-reunion
 



 会場:ニセコ町・有島記念館 特別展示室 
     ニセコ町有島57
    電話(0136)44-3245 
 会期:2013年7月1日(月)~9月29日(日)
 時間:9:00~17:00 (入館は16:30まで)
 休み:会期中無休
 料金:一般500円 中学生100円 

 【参加作家】
 河野健 新見亜矢子 會田千夏 松崎裕哉 佐藤仁敬 浜地彩 林こずえ 加藤翠 

 主催:当館 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーー(9.7)


 2191)①の続き。



 8名のセレクト企画展です。有島武郎青少年公募絵画展(以下、「有島展」と略します。年齢は推定。)の第1回から第22回出品者からの選定です。今年の秋に25回展が開かれる。

 単なる有島展回顧展ではなく、「現在活躍中」だから近々の出品作家は除外したようだ。
 第22回出品の一番の若手は加藤翠で、今春の大谷短期大学部の修了展に出品していた。もしかしたら現在は短大生から大学生になっているかもしれない。21歳くらいだから飛び抜けて若い。
 一方、記念展の意味をこめて第1回出品作家から河野健を選んだようだ。現在40歳ぐらい。当然、今展の最長年者だ。
 なるべく平均して選ぼうとしたようだが、自然に10回展辺り、30歳前後の作家が多くなっている。

 絶大なる期待をこめての選出ではないだろう。あまた居る作家達の中で、企画者の何かの基準で選ばれたのだろう。

 僕はもう少し小規模な展覧会を予想していた。が良い意味で裏切られた。各自が自分の基準でミニ個展にしている。その各自の考え方による出品態度が面白い。作家からのメッセージも良い。
 そんな風だから、企画者の顔は「選定」に終始していて黒子的で見えない。選定に重要な役割を果たしたと思われる当館の学芸員も似たような年齢だ。同世代の息吹を確かめているのかもしれない。


 以下、展示順に書き綴っていこうと思う。最後まで載せたいが、期待しないで下さい。


加藤翠の場合 


   1992年 札幌生まれ。21歳?
        第17~21回出品。(中2~高3か?)


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   ↑:(全て)2013年 キャンバス 油彩。  



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   ↑:(全て)2013年 キャンバス 油彩。



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   ↑:(右側の6点は)ALL YOU NEED IS LOVE」・2013年 紙 スチレンボード インク 1030×725㎜。




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   ↑:左側、「ALL YOU NEED IS LOVE」の6点組の1枚・2013年 紙 スチレンボード インク 1030×725㎜。  
   ↑:右側、「THE STOOP」・2013年 キャンバス 油彩。


 一方は、描き殴り風で、青春むき出しの自分を痛めつけるような作品。
 一方は、ピンクを基調にして「ハッピー マイ ライフ」、「生きるって最高!」、とノーテンキに表現している。もっとも、食という生理行き過ぎに「本当に幸せなの?」と尋ねもしたり、「食べ過ぎは体に良くないよ、オバカさんねミドリちゃんは」、と注意する世話人もいるかもしれない。

 今展では、他の作家達は有島展に出品した作品も展示している。加藤翠は、全て今年の作品で、「今を、今のみを見ろ」、というスタンスだ。過去を見せるには若すぎる歳だ。

 油彩の薄汚さに目を背けるか?ポスター風によるリアルな表現力に注目するか?好みや意見の分かれるところだろう。
 こういう二面性は大好きだ。二面性といったところで、「静と動」とかの反対物ではない。過剰で生理むき出し精神の2つの顔に過ぎない。絵にした場合に、一本調子の展示にならなくて好都合だ。


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   ↑:「EDUCATION」・2013年 キャンバス 油彩 530×455㎜×2点。



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   ↑:「.JP」・2013年 キャンバス 油彩 610×720㎜。





新見亜矢子の場合


   1979年 北海道蘭越町生まれ
         第6~8回出品。(高校時代の出品)
   2003年 北海道教育大学大学院教育学研究科修士課程修了
 



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   ↑:(左側から、制作年を
中心に記します。)1995年 「再開」高校2年 第7回出品作、1996年 「漁港」高校3年 第8回出品作、2000年 「風景-秋-」大学時代、2009年 「駅-夕刻-」。


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   ↑:「駅-出発前-」・2009年 キャンバス 油彩 1621×1818㎜。



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   ↑:「風景-農場-」・2012年 キャンバス 油彩 1621×1303㎜。


 今展のタイトルと同じ「再開」から始まる。オーソドックスに自作を回顧している。

 画題は主に風景なのだが、風景画家というイメージはない。都市を相手にしているからか。
 新見色ということで、色合いはいつも安定している。今展でも分かるように、黄色の人だ。
 大作では少し構図を気にしすぎていて、気苦労と堅さを思う。

 駅とか街を描いていたが、素直に動物を描き始めた。「やさしさ」や「自然と生命」に直に向き合うということか。
 最後の農場の馬、真面目な作品だ。駅で見せた遊び心は素直な心に様変わりした。これで落ち着くのか?原点回帰という意味合いか?有島記念展ということで、期するものがあるのだろう。

 個人的には駅に見せた線路などのオモチャ心の方が好きだ。具体的なやさしさがあり身近に感じる。愛情表現は画家の宿命のようなものだから仕方がない。かつての構図画は堅さや形式先行であったが、何かを探る欲望があった。形を変えた、新たな欲望を見たいものだ。

 
 ③に続く





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   ↑:(有島記念館周辺の公園。)

by sakaidoori | 2013-09-12 17:47 | [ニセコ]有島記念館


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