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栄通記

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2013年 09月 10日

2195)③「北海道教育大学油彩画研究室 大学院生展」 時計台 終了/8月19日(月)~8月24日(土)

   


北海道教育大学油彩画研究室 

  大学院生展
      
        


 会場:時計台ギャラリー 2階 A・B室
      中央区北1条西3丁目 
       札幌時計台文化会館
      (中通り南向き)
     電話(011)241-1831

 会期:2013年8月19日(月)~8月24日(土)
 時間: 10:00~18:00 
      (最終日は~17:00まで。)

 【参加学生】
 山崎麻乃 村岡陽菜 清武昌 橋本知恵 山越美里   

ーーーーーーーーーーーーーーーーー(8.23)

 2167)①、2175)②の続き。

 (以下、敬称は省略させていただきます。)



村岡陽菜(ハルナ)の場合



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   1989年 札幌生まれ
   2012年 北海道教育大学岩見沢校 芸術課程 美術コース・卒業
         (特に個展歴は無し。)



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   ↑:「February」・油彩 キャンバス。



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   ↑:「At dusk」・油彩 キャンバス。



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   ↑:「remembrance」・油彩 キャンバス。



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   ↑:「sway」・油彩 スタイロフォーム。



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   ↑:「remembrance」・油彩 キャンバス。




 自分の世界を持っていて、倦まず飽かず自己の世界と対話をし続けている。

 
 青い闇が好きな作家だ。そこに光や色で注目視点を作る。人の気配もあり、人間味で画面を包みこむ。他人への眼差しは、自分だけの心象世界で終わりたくないからか。
 
 「明日」を期待しつつも、しっかりした過去を持っていて、健康的で一定な世界だ。情緒の安定している人なのか?感情の起伏を制御できる人なのか?目新しい試みよりも、今の自分を大事にしたいのか?

 おそらく、似た世界を描き続けながら、心が熟すのを待っているのだろう。変化を求めず、来るべき時には自然に変化する。
 新しい試みなどにはことさら関心を示さず、自分と青い闇という対象を見続けては何かが生まれるのを待っている。


 絵画の学徒としてみたならば、確かに変調の無さには物足りなさを感じる。だが、自分の世界があると言うことは大事なことだ。倦まず飽かずそこに拘るべきなのだろう。




橋本知恵の場合



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   ↑:「肖像 1」・油彩 キャンバス。




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   ↑:「胡蝶の夢」・油彩 キャンバス。





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   ↑:左から、「そこにいること」・油彩 キャンバス。「そこにあること」・油彩 キャンバス。



   1988年 札幌市生まれ。
   2012年 北海道教育大学岩見沢校 芸術課程 美術コース・卒業。
    現在  札幌市厚別区に在住。
         (特に個展歴はないようだ。) 




 人間が大好きなのだろう。ミケランジェロ風の大仰な肉体美、誇張美なども研究しながら人物のみの提示だ。
 もし、この作品だけで終わるのならば寂しい。ある種の壮大な構想図なり、絵巻物のための人物造形研究であって欲しい。
 そこまでの大作を考えていなければ、絵画表現における人間心理の研究であって欲しい。

 研究の一環の人物群としてみたが、「反骨精神」を思わせる「強さ」には魅力を感じる。この強さを人物造形の探求の成果として、作品に赤裸々に組み込んで欲しい。背景も、単なる背景処理、あるいは主題を際立たせるための手段としてではなく、強い絵そのものの充足空間として表現して欲しい。



清武昌の場合



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   ↑:(右壁面が清武昌作品。)



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   ↑:(右側3点が「しじま」。左の1点は?。)



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   ↑:以下3点は「しじま」シリーズ・油彩 キャンバス パネル。



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   ↑:「無題」・油彩 キャンバス パネル。



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   ↑:「無題」・油彩 キャンバス パネル。



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   ↑:「海原にて」・油彩 キャンバス パネル。




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   ↑:「無題」・油彩 キャンバス パネル。




 清武昌は不思議な絵を描く。清濁あわせ持つ「しじま」だ。

 基本的にはイメージというか心象世界だろう。どんな世界かというと、よくは解らないが、体内の羊水の中で、視野を拡大して描いている感じだ。一種の胎内回帰だ。自分の立つ位置の探索・確認をしている。決して現実を絶望し拒否してのものではない。「若さ」の持つ自分へのこだわりだ。醜き自己と美しき願望とのせめぎ合い、生まれいずる悩みだ。そこを天国図(静謐な世界)にしたいから、山水画風の桃源郷に見立てているのだろう。(だから、「地獄図」を描く時が来るかもしれない。)


 胎内回帰的だから、心理小説的な要素を感じてしまう。自分の周りをグルグル回る物語だ。物語と言うには解りにくい絵だ。ただ、文字とは違って直接的な色を使える。しかも枠にはめられているから安定感が生まれる。絵にしてしまえば、どうしても答えありきになりがちだ。だから、清武昌は解りにくい画面で自分の中の「秘密」をほじくっているのだろう。
 ほじくるだけでは息苦しい。本展ではへその緒の穴から伺う小さな「風景画」がある。目や心を転じて広々とした世界を描きたいのだろう。自分を取り巻く素晴らしき世界を、風景を。

 だが、今は自分との闘いだ。絵画との闘いだ。色の探求だ。大きく伸びやかに育っている。



   1989年 大阪府茨木市生まれ
   2012年 道都大学美術学部デザイン学科卒業
        (2度の個展歴あり。)

by sakaidoori | 2013-09-10 09:35 | 時計台


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