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栄通記

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2013年 08月 24日

2162) 「北海道教育大学油彩画研究室展」 時計台 8月19日(月)~8月24日(土)




北海道教育大学油彩画研究室展       
        


 会場:時計台ギャラリー 2階 C室
      中央区北1条西3丁目 
       札幌時計台文化会館
      (中通り南向き)
     電話(011)241-1831

 会期:2013年8月19日(月)~8月24日(土)
 時間: 10:00~18:00 
      (最終日は~17:00まで。)

 【参加学生】
 油彩画研究室学部生 2~4年生。   

ーーーーーーーーーーーーーーーーー(8.23)

 今週の時計台ギャラリーの2階は北海道教育大づくしだ。力が入っているのはAB室の院生展の方だ。
 現役の油彩研究室の方は、小品あり、初々しい2年生ありで迫力的にはかなり落ちる。一方で、学業も終わろうとする4年生ありで、今の油彩研究室の動向は楽しめた。
 もっとも、他の研究室生も「絵画」を描いている。だから、教育大の「絵画動向」はこの研究室だけでは片手落ちだ。むしろ、他研究室生の絵画のほうが面白い面もある。困ったことだ。絵画はやっぱり「油彩研究室だ」と言われる存在になって欲しい。それ以上に、道内の絵画学習集団は「教育大油彩研究室が一番だ」、と言われて欲しい。



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   ↑:(左側の3作品を個別に撮るのを忘れてしまった。特に、大作を掲載できなくて不本意なところだ。)



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   ↑:2年 中野朝美、「夏の風物詩」。


 2年生と言うことで、無難に3点の連作でまとめた。3体のクラゲはそれぞれに表情があって、力をがはいっている。

 クラゲは良かったが短冊が大失敗だった。左の短冊は動きがあって、少しは良いのだが、それでも「絵画」を考えさせる大失敗を犯している。
 基本的に短冊に何の思い入れがないから、そのまんま描いている。普通はそれで良いのだが、何も描かれていない短冊の面が、絵画の窓(異空間)になってしまった。困ったことに、この短冊が目立つ。クラゲに対する愛と工夫を、この短冊にも取り組んで欲しかった。
 短冊をよりサラリと描くか、リアルに描くか、画中画的に何かを描き込むか、本格的異時空間にするか、なのだろう。
 
 若い女性らしい初々しい作品で、そのことの方が「夏の風物詩」になっていた。絵の後ろ側に女の子を感じてしまった。



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   ↑:4年 山崎綾華。左側、「感覚麻痺」。右側、「微笑みする罪」。


 驚いたのは上の二作だ。同じ学生だ。しかも堂々としている。

 左側の羽のある作品。
 実は、昨年の当大学の「油展」で、貧弱な羽のある裸婦を見た。絵が上手いの下手などはどうでも良いことであって、「羽を描きたいのなら、何故堂々描かないの?・・・」と学生と会話した。ニコニコした対応でチャンと会話が成り立つのだが、何とも絵を描いている「自覚と自信」が薄かった。遠慮しているのだ。好きな絵を描いているのに誰に遠慮しているのだろう?
 その学生が、立派な羽を描いた。うつむき加減だが、人体もしっかり描いた。「おー、やっと絵描きのスタート・ラインに立ったな」

 その学生が、気分を180°変えて物まね風の大作を堂々と発表している。ルネサンス期の作品模写ではないがそれに近いだろう。
 左側の樹木、人物、石ころとリアルに模写風に描き、右側は今風に面的にして、それなりの試みをしている。
 この作品は、出来映えそのものはどうでも良いのだ。堂々と模写風にして、チョットした工夫もあり、恥じらいはない。
 本当はそんなことは絵描きの学徒としては当たり前のことなのだ。ようやく絵に恋をし始めた山崎綾華だ。

 そんなことを思っていると、本人が現れた。で、・・・



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 立ち姿も堂々としている。何かきっかけをつかんだのだろう。

 以下、最後になるかもしれない老婆心。
 他人に何て言われてもいいのです。「自分ありき」という自覚、自信、矜持です。時には、他者の言葉は「気づき」になるかもしれない。が、細々した作品の指摘よりも、「作品を通した会話の持つ力」を大事にして下さい。



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   ↑:3年 遊佐千尋、「対」。



 個人的に対作品に多大な関心がある。若い社会人に声をかけて、対写真展なども考えているくらいだから。

 さて、学生はこの「対」で何を試みたかったのか?空と海と岩という無味乾燥的な構図ありきの世界だ。理想的には、対効果であらぬ世界に見る人を誘えれば良いのだが・・・。
 一方で、「岩」に頑張っている。
 やはり学生の絵画思想・主張と会話をしたいものだ。




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   ↑:3年 小林明日見、「虹」。





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   ↑:2年 坂本有美、「呼ばれた気がした」。


 目、顔の表情が良いですね。






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   ↑:2年 太田香、「互いに忘れないように」。


 この貧相スタイル、女貧乏神というか、好きですね。




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   ↑:4年 笠原浩美、「螺旋」。



 卒展発表時には、この螺旋が壮大な絵巻になっているかもしれない。





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   ↑:3年 佐藤真奈実、「嗜好」。





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   ↑:2年 藤沢杏奈。左から、「風景画」、「白い森」、「風景画」。




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   ↑:4年 村田愛莉、「airi.m」。


 一人明るい世界だ。抽象画で、激しく、明るく、元気よく、しかも壁面に拘らないで・・・そんな世界を目指しているのか?

 大学入学してまもなく個展を開いた人だ。高校時代を見ていたからだろう、案内も来て見に行った。本人を直にしてこちらの方が緊張してしまった。話もせず、挨拶だけで帰った。失礼をしてしまった。
 その学生が4年になった。大学時代の成果を個展でみたいものだ。その時にはチャンと会話ができるだろう。

by sakaidoori | 2013-08-24 11:06 | 時計台


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