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栄通記

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2013年 07月 28日

2118)「明日への具象画展 第14回」 市民g. 終了・7月2日(火)~7月7日(日)

  

第14回 明日への具象画展  


 会場:札幌市民ギャラリー・2階ホール会場
     中央区南2条東6丁目
     (北西角地)
     電話(011)271-5471

 会期:2013年7月2日(火)~7月7日(日)
 休み:
 時間:10:00~17:00
    (最終日は、~16:00まで。)

 【参加作家】
 遠藤健二 郷司明夫 佐藤影彦 砂山留美子 長井悦子 水野悦子  


 ※ 江別展 ⇒ 7月9日(火)~7月14日(日) 於:江別市野幌公民館

ーーーーーーーーーーーーーー(7.6)


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 市民有志の展覧会。

 参加作家の砂山留美子さんと親しくなったので、適時見ている。

 「明日への具象展」、堅実な具象作品ばかりだ。それでも男女の作家に、こだわりの違いを感じる。
 男性作家は、愚直なまでに自分好みに拘り、作品が収縮的だ。自己充足型と呼びたい。
 女性作家は、もっともっと外に拡散したい、外からの目も取り込みたい。意欲型だ。が、まだまだ遠慮がちだ。


 (以下、敬称は省略させていただきます。)


 それでは意欲型には一見見えない砂山留美子・風景画から載せます。


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   ↑:(全て)砂山留美子


 水平線に合わせるかのような展示。しかも、その線は概ね中心からやや上部だ。おそらく無意識に選ばれたラインであり位置であろう。その水平線を中心にして安定的に見せている。そういう意志や美学は無自覚かもしれない。


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   ↑:砂山留美子、「雲晴れて天塩川」・油彩 S12。


 上手くなった。
 一つ一つ、部分部分、一所懸命に丁寧に描いている。が、この丁寧さが全体に生きているかというと疑問だ。川を描きたいのか、線路なのか、線路に残る名残雪なのか、手前の雑木林なのか、雲に誘われる川の軌跡なのか、雲なのか、水平線を見やる人間の心なのか・・・。
 何と欲張りな人か。現場の風景に接した初心の感動を、絵を描き始めたら置き去りにしたようだ。あれも描こう、これも描こう、丁寧に優しく描いてあげよう。そのことが、全体で主張したいこととかみ合えば良いのだが、初発の動機が揺らいでしまった。描けば描くほど綺麗な絵、収まる絵、可もなく不可もない作品になった。それは水平線の位置でもわかる。上も下も真ん中も全てが画題になってしまうから。そして、全てに頑張る砂山留美子だ。

 かつて、彼女は何でもない風景の山腹をサラリと描いていた。そこに何かを見つめていた。空気感とか空虚感とか、何にもないふくよか感とか。そこを見つめる姿勢、そこを描きたい気持ちに好感をを持った。が、難しいテーマだから大変だとも思った。

 上手くなることは大変だ。枠に収まる一つの世界と調和しなければならないから。上手くならないといけないし、その上手さをそのまま出せば成功とも言えない。絵とは難しいものだ。



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   ↑:杉山留美子、「日の出」・油彩 F20。



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   ↑:杉山留美子、「夏の影」・油彩 F6。


 面白いタイトルで着眼点だ。が、他をやっぱり頑張りすぎて描いている。その頑張り具合と影とのマッチングが課題なのだろう。個人的には川と山の間の野原や山際あたりに魅力の影を感じるのだが。



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   ↑:長井悦子。左から、「コスモス」・F30。「秋宴」・F50。「心の儘に」・F15。



 中央の大作「秋宴」が目立つ。一見自然派に見えるが、間違いなく女を描きたい画家だと思う。それも都会的でおしゃれな女を。


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   ↑:長井悦子。


 乳房の脇の辺りの線、女の体をよく見ている。肌へのこだわり、植物画にはない堂々とした粘着性がある。女の女への願望だ。男が女を見る目ではない、男の女へのロマンではない。
 女の美、それは自分の体をいつも見ている目だろう。憧れ、願望、嫉妬も含めて。

 こういう画家はドンドンと女を描けばと思う。確かに背景などは様式化している。思い切って女を描きまくった経験不足からだろう。






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   ↑:水野悦子。左側から、「さんぽ・・・」・F6。「暮れの静寂」・M15。「蓮華麗容」・P100。



 大作「蓮華麗容」、写実力抜群で立派な作品だ。難点は何を主張したいかが強くもなく、弱くもないことだ。
 蓮の群生を、立派な蓮の葉を、蒼の空に対比して美しく描く。蓮の藪の中の暗闇も素敵でしょう。花も綺麗、茎もすくっと伸びて可愛い。この美しい蓮の世界・・・なのだろう。結局、あれもこれも欲張って強弱をつけずに描いた。軽い焦点がいくつもあって、目を楽しませてくれるが、心躍るまでにはいかない。
 きっと真面目な人なのだろう。物事に順番をつけるのがいやな人かもしれない。みんなみんな平等に愛しているのだろう。
 

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 寒々しそうに見えるが、川も空も建物も一つになっていて惹き込まれそう。
 手前の草々、こんなに頑張る必要があるのか?「暮れの静寂」との良き対話には感じない。






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   ↑:佐藤影彦



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   ↑:佐藤影彦、「希望に向かって」・F50。






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   ↑:郷司明夫


 建物や施設を画題にしています。





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   ↑:遠藤健二



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   ↑:「夜明けの台北市街」・F40。

by sakaidoori | 2013-07-28 11:54 | 市民ギャラリー


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