2013年 07月 19日
柿崎均展 -光のかたち- 会場:本郷新記念札幌彫刻美術館・本館 中央区宮の森1条12丁目 電話(011)642-5709 会期:2013年6月15日(土)~8月25日(日) 休み:平日の月曜日 時間:10:00~17:00 料金:一般 500円 65歳以上 400円 高大生 300円 中学生以下 無料 主催:当館 ーーーーーーーーーーーーーーーー(7.17) 2097)①の続き。 さて、前回のインスタレーションを確認しておこう。 (以下、敬称は省略させていただきます。) 全室は緑色に暗いお花畑。葬送の儀式、その前座のようだった。 この部屋は光と影だ。線と面による胸像だ。 古代中国では、権力者の遺体に金の札(玉ふだ)を縫い合わせて葬った。永久の生命を約束する衣服なのだろう。 権力者ではないが、堂々としていて、どこか魔神面した風貌だ。夜陰の森の支配者とでもいおうか。 それにしても、面構成の強さが関心を惹く。見るこちら側も胸を張って堂々と向かい合わねばならない。そのいろいろな顔と。 通路を抜けて最後のインスタレーションの部屋に行くのだが、ちょっとその踊り場にある作品を確認しておこう。 標本にみえる。献花、葬送の遺体と金の服と続いた。当然、「臓器」と思いたくなる永久の標本だろう。 以上の解釈の当否はどうでもいいだろう。少なくとも、「生命」と「永久」が求めて止まないかだいなのは間違いない。そこに「遊び」が加わり、光と色と影と場が、作家の課題を高みへと押し上げているのだろう。今展は、氏にとってのその壮大な試みの最前線だ。 最後の部屋です。実に意欲的だ。「作家というものはこうでなくちゃ」と一人合点した。試みであり遊びには違いないが、几帳面で真摯な場だ。そういう作家の風貌も明快で、そこがまたいい。 ↑:(下からの風景)。 部屋の両端にはガラスが設置してある。そのガラス効果で、作品は迷宮の広がりを醸し出している。 このガラス設置は、作品のある幅にしか立ててはいない。個人的にはもう2枚ほど追加して、2面の狭い壁全面にあればと思った。そうすると、見る人の歩く姿も目に入ってきて、自分がどこにいるのかと錯覚してしまうかもしれない。 もっとも、作家は「見る-見られる」を明確にしたいのだろう。他者という迷宮の場だ。見る我々の位置は傍観者だ。宇宙を自分という位置から見せたいのだろう。 蛇足だが、壁全部にガラスを設置するとどうなるのか。草間弥生的にはなるだろう。が、彼女の場合は狂気という肉声が作品を支えている。さすがに昨今の作品では狂気よりも剽軽さが強いが。 真っ正面から対峙する柿崎均だ。さて、全面ガラス張りでは・・・。少なくとも内観者という比重は増すだろう。
by sakaidoori
| 2013-07-19 15:32
| ☆本郷新彫刻美術館
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アバウト
丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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