2013年 05月 24日
ガラスのピラミッド開館10周年記念協賛企画 鼓動する日本画 会場:モエレ沼公園・ガラスのピラミッド 東区モエレ沼公園1-1 電話(011)790-1231 会期:2013年5月10日(金)~5月19日(日) 時間:9:00~19:00 料金:無料 【参加作家】 蒼野甘夏 朝地信介 紅露はるか 西谷正士 平向功一 吉川聡子 主催:当展実行委員会 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(5.12) 2049)①、2062)②の続き。 (以下、敬称は省略させて頂きます。) たった6人の展覧会なのに、2回も書いているのに、まだ全員を載せていません。こんな調子では今の展覧会の報告が出来ません。極力言葉を省いて進みましょう。 この作品も大きい。今展に対する意欲がわかろうと言うものだ。 蛇足とは思うが、部分図を載せます。部分図、細かいところは分かりやすいのですがが、やはり全体です。全体を大きく見るべきでしょう。素晴らしい作品ですが、画家はまだ若い。発展途上です。期待の大きい画家です。それだけに「良い良い、素晴らしい」だけの祝辞ではダメでしょう。「まだまだ」、と言うようにしよう。 この大きい作品と、100号以下の作品との違いを思った。日本画特有の輪郭の明快さ、スッキリした色、現代の普段着人物群、ことさら感情露わにせずに普通の感覚、などなど同じと言っていい。 ところが、大きな違いがある。それは、この大きな作品は全体世界を目くるめく感覚で表現しようとしているが、見る方は特別に注目すべき焦点がない。いつも見る作品は、「ここを見よ」と言わんばかりの不思議な空間表現がある。描き方の軽重、画質感の落差が不思議な「吉川・スポット」を生んでいる。そういう意味では、今作は構図重視で全体のムードで異次空間を表現しようとしている。強さ無しで、どれだけ心に染み込むことができるか、淡々と絵筆を進めている。 漫然とした人群れ、螺旋階段は時空の象徴だろう。絵巻物風だが、構図重視で完結した世界だ。画面自体の拡がりに身を任せて、のんびりと「吉川・時空」を醸し出したいのだろう。 僕は西谷正士の、「道の行き着く先の向こう側、そこの空間は一体何なのだろう。見たい触れたい触りたい、だから描くのだ」という不思議な感覚表現と、そういう強い姿勢が好きで見続けている。確かにそう思わせる作品を10年前から描き続けてはいる。が、どうも僕の見方は軌道修正したほうがいいかもしれない。今の画家は「道」そのものに関心が強い。そして今作では、美しく愛おしく道に接している。我が道を行くという強い姿勢や、不思議な感覚は薄まり、人の辿った歴史軸のようなものへの共感を強めている。 少なくとも「道」にこだわる人には違いない。「道」に何を求めるか、その時期々によって重心を移すのだろう。今は美しく「道」を見ている、美しく表現している。 う~ん、これは長い。う~ん、これは絵巻物だ、エンドレスだ。「ノーチラス」と名付けられた変な船が街をうねうねと進んでいる。もしかしたら変な港かもしれない。 実はこの大作、図録にはケツの方の最後の一枚がない。だから、長さは519㎝。網走会場ではその大きさだった。この会場では壁の長さに余裕がある。だから追加したのだ。追加というか、当初からの予定だ。 その短かめの作品を図録で見ているのだが、印象が全く違う。「船」を描いている。良くも悪くも、「天下一の巨艦ノーチラス様、万歳!」だ、銅像的だ。 が、この長くなった作品は船を描いてはいるが、世界は船で終わらない。はいつくばった姿で世界を徘徊している。廻りの世界を想像したくなる。通り過ぎた所、今から行く所、まったくもってドン・キ・ホーテの世界だ。こいつは空を飛ぶかもしれない。そうなれば孫悟空のキントーン(觔斗雲)だ。そして「潜水艦ノーチラス号」として海底1万㎞の旅も待っている。
by sakaidoori
| 2013-05-24 22:15
| ☆モエレ沼公園
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丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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