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栄通記

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2013年 05月 21日

2062)②「鼓動する日本画」 モエレ沼公園ガラスのピラミッド 終了5月10日(金)~5月19日(日)

  

ガラスのピラミッド開館10周年記念協賛企画

鼓動する日本画 

 

 会場:モエレ沼公園・ガラスのピラミッド
      東区モエレ沼公園1-1
     電話(011)790-1231

 会期:2013年5月10日(金)~5月19日(日)
 時間:9:00~19:00
 料金:無料

 【参加作家】
 蒼野甘夏 朝地信介 紅露はるか 西谷正士 平向功一 吉川聡子  

 主催:当展実行委員会

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(5.12)


 2049)①の続き。


 (以下、敬称は省略させて頂きます。)


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     ↑:朝地信介、「沸き立つ静寂」・2013年 227×486㎝ ベニヤ板 水干 岩絵具。


 おー、とにかくデカイ。フワフワ気分は朝地好みなのだが、広々すっきりとしていて、いつになくしっかりイメージだ。
   フワフワ饅頭から何かが漏れだして、どこに行こうかな・・・、とにかく拡がっちゃおう。鉛筆のような煙突君の煙も流れている。髭のようにして反対に行っている。ちゃっこい雲もフワフワフワフワ・・・皆なフワフワ、オレはでっかいぞ~、だ。

 部分図を撮ろうとしたのだが、どこに焦点を当てるべきか迷ってしまった。それでも記念に撮っておこう。


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     ↑:(以上、部分図。)


 大きな絵だから、「強くオレを見ろ」ということだ。「オレの強さの中にある、何かを感じてくれよ。オレはこんなに大きくしているのだから、分かるだろ~?分かってくれよ」。分かる分かる、膨らむ精神、溢れる情熱だ。ギラギラ絵肌では画家の根性があまりに剥き出しだから、控えめに優しく優しく薄塗りにしたのだろう。薄かろうと濃かろうと、参っちゃった。
 画家はキャプションで「・・・静けさの中にうごめいているものに気づき、どう形にしているかを・・・」と語ったている。形、形、形・・・絵画の専売特許だ。これからも「朝地・形」を楽しもう。



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     ↑:蒼野甘夏、「BATUCADA」・2013年 179×396㎝ 鳥の子紙 岩絵具 箔。


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 真ん中の三面菩薩のような人物群にどうしても目が行く。ぽっちゃりとした柔肌のキャラ風の乙女だ。真剣白刃で前進あるのみという出で立ちは、あまりに爽やかだ。
 大作だが、丁寧に丁寧にと輪郭、質感、ボリューム感を出している。溢れる若さの魅力が画面を覆っている。古くさい画題だが、今風の遊びに作りかえる意欲は清々しい。


 画家は新篠津生まれ、札幌在住だ。画家自身の感性は日本伝統美やそういう人達との中で育ってはいないのだろう。良く言えば因習に染まっていない。だから日本美は好きなのだが、アプローチはかなり自由なのだろう。それでいてしっかりと最低の約束事は踏まえる、そんな若き女文人画だ。何より健気さがあり、そこから生まれる自由な気分が魅力だ。

 この絵画の3人娘の振る舞いのように、どこに突き進むのか「蒼野甘夏」だ。楽しみに見ていこう。




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     ↑:紅露はるか


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     ↑:「青い水」・2011年 32×91㎝。


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     ↑:「north field」・2011年 32×91㎝。


 この2点は人物もいなくて他の作品とはムードを異にしている。北海道の自然と向き合っている、同時に自分の心象風景とも向き合っていて。「ここから何かを生むのだ」、という強い思いではないだろう。自己確認だろう。じーっと、ボーッと見つめている、静かに静かに。



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     ↑:「(三連作) before your time」・2012年 32×91㎝ 綿布 ジェッソ 水干絵具 岩絵具 (左の作品だけ)アルミ箔。


 この三連作は妊娠中の作品です。双子出産というリスク、子宮筋腫の手術という不安の中での作品。僕は旧性富樫はるか時代から彼女の作品と親しんでいる。無事出産、おめでとう。簡単な祝いの言葉だけでは申しわけありません。作品だけでも載せましょう。



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     ↑:「go home」・2012年 32×91㎝。


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 ことさら強い感情を出さずに、淡々と歩く3人家族。傘の3色だけが幸せ気分を代弁している。
 タイトルは「家に帰る」。「何処かへ行く」が紅露はるかのもう一つのテーマと思っている。確かにメルヘンでお伽気分を年々深めてはいる。それでもこれ見よがしの喜怒哀楽を出さない。画家の衒いかもしれない。キツイ絵が好きな人だ。何もかも楽しいにはならないのだろう。不安というか、所在なさというか、「何処に行くのだろう」という呟き、これが大事なのだろう。上掲の作品にもその気分は出ている。

 結婚出産とお目出た続きの画家だ。人生経験まっただ中だ。描く気旺盛なことと思う。さて、今後はどういう旅をするのか?


 
 (簡単に作品掲載と感想と思いきや、意外に長くなりました。日を改めて「③に続く」、です。)

by sakaidoori | 2013-05-21 18:17 | ☆モエレ沼公園


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