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栄通記

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2013年 03月 17日

1977)「どんぐり会展 第103回北海高等学校美術部」 スカイホール 3月12日(火)~3月17日(日)

  

 
第103回北海高等学校美術部 どんぐり会          


▶▶ 創部100周年記念展
▶▶川本ヤスヒロ退職記念展



 会場:大丸藤井セントラル・7Fスカイホール
      中央区南1条西3丁目
       (東西に走る道路の南側)
      電話(011)231-1131

 会期:2013年3月12日(火)~3月17日(日)
 時間:10:00~18:00
      (最終日は、~16:00まで。)  

ーーーーーーーーーーーーーーーー(3.16)


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 例年の高校美術部「どんぐり展」の領域を越えた展覧会だった。
 美術部顧問・川本ヤスヒロ先生退職記念展、創部100周年記念展と、華やかで賑やかだ。とにかく今展の熱の入れようがわかるというものだ。
 
 しかし、見る方は大変だ。記念展作品と高校生作品とはムードが全然違う。大人の作品を注視すれば高校生の方はおざなりになりそうだ。高校生作品に注目すれば、大人の作品は無視しがちになった。
 本来は全体を報告すべきだが、あまりに多義にわたるので高校生作品を中心に報告します。


 とりあえず、会場全体の流れを載せます。


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     ↑:(入り口そばの会場左側。)


 高校生の作品コーナー。やや窮屈だが、逆に高校生らしさを感じた。
 以下、右廻り。


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 「川本ヤスヒロ」展示コーナが狭い入り口から垣間見える。相当に気合いの入った個展だ。細かく紹介できないのが残念。おって、全体像だけでも報告します。


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 どんぐり会OBの在校時代作品が続く。今では著名な作家達ばかりだ。高校時代作品あなどりがたし、そんな思いで見た。招待作家作品も小品で登場する。


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     ↑:(在校生作品。)


 ぐるっと会場を回って、出入り口の右側に再び現役高校生作品。)



 北海高校どんぐり会は顧問の川本ヤスヒロ氏の影響もあり、絵の具一杯で勢いと力勝負だ。何故か版画も強くて目を惹く。


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          ↑:1年 池上瑠莉、「夢に浮上する島」・30号 油彩。


 真っ先に目に飛び込んだ作品だ。
 赤、緑と補色を自由に使っている。黒は使わない、ピンクもいらない、好きな色だけで、湧いたイメージをトコトン描いている。不思議なできごと、目立つこと、全体はざっくり、部分部分は女の子らしく宝物のように、そして自由勝手に、が制作の基盤だ。それ以外にはない。その徹底した気持ちが抜かりなく全部にしみ込んでいる。変な世界が生き生きとのたうち回っている。

 変な世界。きっと楽園のような島がイカになり、海でも空でも飛び跳ねる。海は綺麗だ、空も素敵だ、いろんな所に変な姿でロケット発信。変な島はおとぎの国、宝物が一杯、夢一杯。


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          ↑:1年 鈴木綾栞、「浸水」・変形100 油彩。


 シュールなイメージを暗い世界に閉じこめている。暗いばっかりでは厭だから、生き物にはピンクのお化粧を施した。この色づかいはかなり意図的だろう。
 それにしても、変な生き物は色っぽい。腰のカーブが悩ましくも楽しい。学生は色気ではなくて女性の皮膚感をだしたかったと思う。招き妖精だ。だから、絵も暗くは感じない。ただ暗い穴蔵に棲んでいるだけだ。もうすぐ明るい世界に行くだろう。



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          ↑:3年 中鉢健太、「3月11日」・30号 油彩。(左側がぼやけた感じですが、カメラの不手際で、全て同じ色調。)


 とても感心な学生だ。津波が去った震災直後の跡地をしっかりと描いている。乱雑なゴミの世界だ。ゴミの山という事実を描ききるとは、学生であっても画家だ。
 「ゴミの乱雑な世界」、それでは苦しいのでピンクという色で飾った。事実の色ではない。だが、許されるだろう。事実を描いているのではないから。現実を描き、鎮魂がそれ以上の目的だから。それに、絵というものは美しい。いかに細密描写として事実を克明に描いても、枠という整合性・秩序が生まれる。どうしても美化したものにならざるを得ない。そういう「美術作品としての絵画」の中で、精一杯に中鉢健太は描いている。




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     ↑:3年 中北朋花、「心在」・150号 油彩。(中央、ピンクがかって見えるが、全てが濃い赤色。)


 これは凄い。この胆力、しかも画題は心臓か?自画像にも見える。命が在る、私が在る、全てが存在する、この絵を見よ!と吠えている。バクバクと心臓の鼓動が響いている。



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     ↑:2年 木全佑衣、「どうすることもできない仕組み」・S110 油彩。


 「どうすることもできない仕組み」という社会、その社会に襲いかからんばかりの勢いだ。おびただしい数の建物をしっかりと描いている。丸みを帯びていて、決して冷たい感じはしない。綺麗にバラバラにされたひとむれ見たいだ。でも、それらは闘う相手かもしれない。
 都会の空に立ち上がる緑色の妖気。獣がその妖気に絡まりながら、何をしようとするのか。
 野獣派感覚の燃える絵だ。



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          ↑:2年 福田美希、「艶」・15号 油彩。


 タイトルが素晴らしい。「猫」では色気がなさすぎる。




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          ↑:2年 高畠沙月、「現在と過去の混合」・30号 油彩。


 ちょっとタイトルが凝りすぎみたいだが、それが学生の思いだろう。
 この感じで物語にして、字のない絵本にしたらどうだろう。きっと不思議な粗筋になるだろう。奇想天外な夢物語にして欲しい。



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          ↑:2年 高橋怜奈、「黒」・18×20㎝ 銅版画。


 カリカリカリカリと銅版と格闘している。一途に一所懸命にカラスと格闘している。黒に負けずに、鋭き嘴に負けずに、カリカリカリカリと腕に力が入る。カリカリカリカリと。



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          ↑:2年 堀江理人、「雨降る街にて」・50号 油彩。


 綺麗な色だ。ロマンティックだ。「理人」男子だろうか?「レーニン」?青い世界で傘の通行人が主役だ。自画像か?。心はブルー、なのだろう。が、清々しい世界だ。これも一つの青春だ。



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          ↑:2年 利根川美樹、「I like !」・S50 油彩。


 あたしの好きなものが集まっている。沢山沢山、綺麗に綺麗に山のようにして。大事に丁寧に集まっている。 

 

by sakaidoori | 2013-03-17 12:33 | 大丸藤井スカイホール


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