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栄通記

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2013年 03月 16日

1976)「札幌旭丘高等学校 美術部・校外展 (7回目)」 奥井理.g  3月9日(土)~3月16日(土)

札幌旭丘高等学校 

   美術部・校外展 (7回目)
  
    

 会場:奥井理ギャラリー
      中央区旭ヶ丘5丁目6-61
      (慈恵会病院の入り口近く。看板あり。)
     ※ 駐車場有り 
     電話(011)521-3540 
 
 会期:2013年3月9日(土)~3月16日(土)
 休み:
 時間:10:00~18:00
       (最終日は、~16:00まで)
 
ーーーーーーーーーーーーーー(3.13)


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 (以下、敬称は省略させて頂きます。)


 綺麗でリッチな空間で、「ちょっと気取っておとなしく」、これが旭丘高校の定番だ。高文連や公募展用の大きめの作品は出品しない。ちっちゃめの普段着高校生の絵を見せる、笑顔で楽しく見せる、「だって、高校生活、美術部活動、楽しいんだもん」。
 楽しさを一層盛り立ているのはご存じ美術部顧問の齋藤周 先生だ。生徒には人気抜群だ。エッ、えっ、「齋藤周」を知らないって!!これからの北海道美術を担う若きエースです。女の子大好き、青春って充実しているな~、皆なで人生の山谷(やまたに)を渡ろうよ、楽しいかも・・・そんな今風の悩ましき青春絵巻を描く画家です。
 なぜ、彼の話をしたかというと、今展で生徒達が「齋藤周・絵画ワールドに導かれて」というテーマ作品を描いている。これが実に面白い。確かに絵は幼く、名品ならぬ迷品かもしれないが、齋藤周を良く理解している。いや、先生の心に直に触発されて自分のものにしている。さすがは美術部であり、顧問を慕う女子高校生たちだ。


 まずは、その作品群から語らせて下さい。


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          ↑:2年 坂本悠、「今」・アクリル。


 最近、齋藤周は黒髪で後ろ向き人物を描いている。山から何処かに向かおうとしているみたいで、ちょと謎めいている。
 ところが、今作の坂本悠は謎を蹴散らせた。「行きたい所って、あの満開の桜の木でしょう。素敵な処、素敵な人、素敵な世界に行きたいのでしょう。私も行きたい!幸せになりたい」と、齋藤周の後ろ姿をアッサリと看破してしまった。まさか、大人が行く方向にこれ見よがしの桜を描くわけにはいかない。いかにも秘密めかさないと名品にならない。そんな大人心を純真な女子高校生は見抜いてしまった。泣きたくなるような齋藤心だ。


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          ↑:(タイトルが付いていないので不明。もしかしたら目録より 2年 天野咲子、「周さんの絵」。)


 齋藤周は薄塗りだ。それをベタッと画材をたっぷりと使い、黄色を強くして、「先生!強く主張してよ!私みたいに」と師を鞭打っている。元気が良い。無駄を排して良い絵だ。



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          ↑:1年 皆川椎波(しぎは)、「私らしさで」。


 これも齋藤取りを自分のものしていて心憎い。ツメの朱色などは氏には無理かも。
 絵として面白い。右側は線で、左側は面で表現している。真ん中の大きな白い部分が両者を繋ぐのだが、そこは難しくて失敗気味だ。だが、この失敗は頼もしい。絵の中央というものはどうしても人の目が行く。ここをどう処理すかは画家の腕の見せ所だ。頑張り過ぎると汚くもなり目立ちすぎる。おざなりにすると全体の緊張感が欠ける。同じ失敗なら頑張りすぎの方が後々のためにはいいだろう。
 今作の中央部分、ここは白で大きく表現したかったのだろう。だが、どうまとめていいか分からない。それが今の皆川椎波の実力だろう。それが「私らしさ」だ。



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          ↑:2年 若松あみい、「あ・た・し」。


 色っぽい。これは周に触発されて自分らしさを描いたものだろう。まったく原本から離れた見せる作品だ。
 もしかしたら美大系に行きたい人かもしれない。本格絵画をめざしている。



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          ↑:1年 穴田千果、「憧れ」・アクリル。


 これは周ワールドを徹底させて、モザイク表現という抽象絵画まで行きそうだ。抽象なんて面白くない、と人物をしっかり描いてこの世に戻ってきた。
 なんか、幼さが良いです。上手になっても、意図的にこんな拙い感覚を取り入れる画家になったら・・・、それは至難の技でもある。だって、人は「上手くなろう」としている。この幼稚さの上を目指している。でも、絵画にとって「幼稚さ」とは何だろう?



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          ↑:1年 穴田千果、「鹿」・油彩。


 これは今テーマの中では異色で、傑作だ。全く齋藤周とは別の世界だ。
 絵の中に不思議な要素が一杯ある。屋根の山形と、窓に描かれた山の絵の重なり。左側の背景の黒が樹に見えて屋外かと連想される。が、中央は屋内を描いている。外と内を繋ぐのがタイトルの「鹿」だ。絵の真ん中にシュールに花一輪。鹿の後ろの変な描き方の青い世界・・・、実に不思議な絵だ。不思議の国の「穴田千果」だ。



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          ↑:2年 橋爪彩央、「バイバイ ビアンカ」・アクリル。


 齋藤周ワールドにのめり込んで、全く氏を置き去りにしたような世界だ。「ばいばい 周さん」だ。

 それにしても、手本?は随分と女子高校生の琴線をかき乱すようだ。素晴らしいとしか言いようがない。



 意外なコーナーで長くなってしまった。まとめて作品を載せるので、旭丘高校を楽しんで下さい。



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 小品ばかりだが、自分らしさと色をしっかり出していて、見ていて単純に楽しかった。
 5,6点は個別作品を載せたいが、断腸の思いで今回はこれで止めます。
 (もしかしたら、もしかしたら②に続く。)



1976)「札幌旭丘高等学校 美術部・校外展 (7回目)」 奥井理.g  3月9日(土)~3月16日(土)  _f0126829_8284614.jpg →:1年 皆川椎波、「手元にある色で Ⅱ」・アクリル。

 この日はいろいろと楽しませてくれた皆川さんです。ありがとうございました。

by sakaidoori | 2013-03-16 08:40 | 奥井理g.


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