2013年 03月 08日
Vol.6 「現在(いま)を見つめる目」 ~全国にはばたく、北海道の高校生たち~ 会場:らいらっく・ぎゃらりい 中央区大通西4丁目 北海道銀行本店ビル 1F (大通公園の南側、北東角地。) 電話(011)233-1029 会期:2013年1月7日(月)~1月19日(土) 休み:日曜・祝日(定休日) 時間:10:00~17:00 主催:(財)道銀文化財団 ーーーーーーーーーーーーーーー(1.12) ![]() ![]() ![]() ![]() 昨年の北海道高文連優秀作品10点の展示。全作が、今年の長崎での高文連全国大会に出品される。当然優秀作品で上手いのだが、上手い上手いと言ってもつまらない。 明快な特徴がある。特に油彩画的絵画は「日常の画題を一所懸命に丁寧にリアルに」というものだ。あくまでも全体を一つの作品としてみてのことなのだが、色彩性や意外性には欠ける、華が乏しい。これが高文連というものか?高文連選者の好みかもしれない。が、そこに明快な選定基準があり、一つの「美の基準」の提示だ。これはこれとして理解しよう。セレクト展というものは選者の思想なのだ。思想が明快なことは良いことだ。あとは一般鑑賞者の好みと選択があるだけだ。 イラスト部門2点がが抜群に気に入った。その作品から載せます。 ![]() ![]() ![]() ザリガニを描いているのだが、中身はいろいろだ。本人曰く、「ザルガニでまとめるつもりが、川の生き物だけじゃ面白くない。川の生き物→海の生き物→よくわからない生き物→歌舞伎」になったとのこと。要するに絵なんて嘘っぱちなんだし、嘘から生まれる誠もあろうよ、ということだ。そして赤をポイントに入れて「ニクイ」。赤の挿入なんて、歌舞伎そのものだ。そして、何と1年生だ。もっともっとカブレればいいのだ。 肝心なことが後になった。この作品は点描だ。「カブレル」とは外に目立つ行為なのだが、あろうことか作品実体は「点描」という内に内に情念・神経を注ぐこと甚だしい。あんまり内側で籠もってばかりいると、世界が見えなくなる。せめては画題だけでも外に発散させようということだろう。 点描の質量、そして遊びを秘めた重厚な画題に構成と、栄通好みの作品だ。 ![]() ![]() 同じく点描画。 目ン玉をリアルに、手の形はぎこちなく、質感たっぷりという全体印象だ。点描表現の独特な陰影・明暗が画題と重なり、日常の中での何となく不気味なシュール感だ。ちくちくと胸騒ぎがする。が、こんな点描に出会えると心は躍る。 でも、甲谷瞳美にとっては、目をシュールで不気味なものとして描いてはいないのだろう。きっと目ン玉が好きなんだ。「目」ではなく「目ン玉」というものが、画家にとっては大事なもので、好きな「手」と一緒に描きたかったのだろう。一所懸命に点描の質感を出そうとして、そして現在は点描具象力がやや劣るので、それで作品が不気味な感じになっただけかもしれない。 だが、日常離れして、目ン玉や手に集中しているのが画家らしい。「着目点」が素晴らしい。後は本人の主張を離れて絵画が独り立ちするものだ。変な魅力ある絵として。 ※※※※※※※※※※ ![]() 可愛い絵だ。顔の大きさが赤ちゃんみたいにおおきくしているから、表情以上に可愛い。服装も皺がよりかげんで、普段着感覚で一層可愛い。ポーズも上向きで、若さになっている。 背景の白は大胆だ。可愛さ200%ならば、この辺に色を入れたり、何かを描き加えたりするのだが、あっさり仕上げている。「白い空間」に大人の前兆を見る思いだ。 ![]() 元気な自転車だ。全体に赤で雰囲気を作っている。鉄錆に混じりながら、「私が修理してあげよう、乗ってあげよう」と、画家が絵の中で修復しているみたいだ。それにしても、壊れた自転車の部分部分の新品さは何だろう?リアル過ぎなのだが、それは良いことか悪いことか? 同じ高校生でも、1年生の元気さは大分違っている。この人は太く大きく真一文字だ。 ![]() 不思議な表情だ。「センチメンタル」、感傷的というか涙もろいというか、そういうひ弱なイメージだが、この顔は違う。むしろ、感情を押し殺して、淡々と何かを見つめている感じだ。しかも、大きな目と顔、大きなカメラ、大きな手だ。薄塗りで、色もそんなにない。奇をてらわず、スクッと見つめている。大人になりかけの表情で。 ![]() きっと大切な空間であり、場所であり、大事な物や人達だろう。描いても描いても描き足りないのだろう。皆な皆な全部が大事で、どれかを大きく描こうという世界ではないのだろう。 ただ、一杯描いているのに絵が小さく感じるのは何故だろう?物は溢れているが、描き手の気持ちは淡々とした愛情なのだろう。 以下、言葉無しで作品のみ載せます。 ![]() ![]() ![]() ![]()
by sakaidoori
| 2013-03-08 16:09
| 道銀・らいらっく
|
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![]() 丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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