2013年 02月 25日
七里知子 個展 OR 会場:ギャラリー ミヤシタ 中央区南5条西20丁目1-38 (南北の中小路の、東側にある民家) 電話(011)562-6977 会期:2013年1月16日(水)~2月3日(日) 休み:月曜日(休廊日) 時間:12:00~19:00 (最終日は ~17:00まで) ーーーーーーーーーーーーーーーーー(2.3) (以下、敬称は省略させて頂きます。) 七里知子は強情な画家だ。飽きることなく、禅問答の壁絵のような世界を見続けている。何かの解を求めるというのではなく、絵画という描かれた結果と対話をしている。緩やかな青と白の作品は七里・鏡としてそこにあるみたいだ。 青と白を好み、青い空と白い雲がキャンバスに拡がっている。「風景を描く」という強い意識はないが、絵だからとりあえず何かを描かなければならない。青と白は空と雲のようになり、「風景」のような世界を描いては、茫洋な世界を凝視している。キャンバスを見たいから絵を描いている、と言ったら画家はおこるだろうか。「何かを表現したい」という言葉は、七里知子には似合わない。激情や心象や自然を描こうとはしてないから。ただ、描かれた作品を見つめる中で、自分の心象風景に気付くことはあるだろう。 七里絵画は、作家のみのために存在する。鏡だから、具体的イメージから遠い方がいい。かと言って、絶対抽象は「抽象」という言葉が邪魔をする。だからか、年々「風景」という相を帯びるようになった。今年は特にその傾向が強く、「海だ、海面だ、空だ、雲だ、太陽だ」と言い切っても構わないまでになった。でも、それは仏教で言う方便でしかない。あくまでも自分自身を見つめるために、作品がある。 彼女の作品には空虚な部分が常にある。上掲の①の作品、その中央の白い塊、まるで穴のようにして見る者を見つめ返しているようだ。いや、そんな風に描こうとしているのだ、七里知子は。そこに幸せ気分を感じるか、見果てぬ絵空事を想うか、別のパラダイスに出会うか、其処から先は作家は問わない。鏡として作品があることを欲するからだ。 「七里絵画は、作家のみのために存在する」と言った。では我々は見ても仕方がないのか?もしかしたらそうかもしれない。だが、できあがった作品は画家の世界から離れる。他人のためにある。 それにしても、あの白い塊と、それを囲む世界を、軽い言葉で書けない自分が悔しい。あと何回か見たらきっと出来るだろう。 (原画にはこれほどの赤みはありません。ゴメン!) 今展の総合タイトルは「OR」。「これはそれ空と雲である。あるいは、白と雲である」の意か。作家の主意は、「空あるいは白」という意味にあるのではなく、そのどちらかを感じる認知者の主体性なり、心の揺れに親和性をもとめているようだ。 初めて見る「七里・色」の世界。
by sakaidoori
| 2013-02-25 21:16
| ミヤシタ
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丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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