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栄通記

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2012年 11月 29日

1893)「北海道抽象派作家協会秋季展 '12 第三十六回」 時計台 終了10月1日(月)~10月6日(土)

'12 第三十六回

   北海道抽象派作家協会秋季展
 


 会場:札幌時計台ギャラリー
      中央区北1条西3丁目・札幌時計台文化会館
      (東西に走る仲通りの北側のビル)
     電話(011)241ー1831

 会期:2012年10月1日(月)~10月6日(土)
 時間:10:00~18:00 
     (最終日は、~17:00まで)

 【参加作家】
 同人:今庄義男(岩見沢) 後藤和司(札幌) 佐々木美枝子(札幌) 鈴木悠高(札幌) 名畑美由紀(札幌) 林教司(岩見沢) 三浦恭三(小樽)

ーーーーーーーーーーーーー(10.2)


 
 (以下、敬称は省略させて頂きます。)


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     ↑:①。

 中央の水色2点は三浦恭三
 左側の青色作品は名畑美由紀


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     ↑:②。

 左側の暗い作品は後藤和司
 右側の赤い2点は佐々木美枝子



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     ↑:③。


 左側の黄色い作品は鈴木悠高
 中央の4点組は今荘義男
 右側の黒と灰色の3点は林教司




 同人のみによる作品ということもあり、「純粋化された抽象画家集団、抽象世界」の感がある。また、各自複数出品だから、それぞれの持ち味も楽しめる。「ディス・イズ・抽象画」だ。

 たかだか10年間ぐらいしか見ていないので、この団体の変遷は語れない。40年近い伝統に対しても無知だから讃辞を贈れない。が、少なくとも近年の発表スタイルを見て言えるのは、新しき血の吸収を相当に激しく試みたが、あまりに同人の力が強くて新血は潔くとせずに霧散したようだ。
 文字記号の人・外山欽平は去った。確かに文字や記号は抽象として使用可能だが、具象の極みという側面がある。余りに社会的束縛と形上の約束が強いからだ。氏の退会によって、一層絵画的抽象化を推し進めたとも言える。
 一方、異質とも思える名畑美由紀と、直線一本道の鈴木悠高が新たに同人になった。


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          ↑:名畑美由紀、「R」。


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          ↑:(上の作品の部分図。)


 なぜ「R」か?おそらく、「L」という作品がもう一つあり、組作品の片割れだからだろう。
 なぜ「青」か?「鈴木悠高は黄色だし、佐々木美枝子は桃色だし、林教司は黒だし・・・青にしちゃおう」か?あるいは空ばかり見ていて描きくなったのかもしれない。すると「水色の三浦恭二」の隣の展示になってしまった。「一緒に並ぶと私の作品、人畜無害の明るい世界だわ。左の佐々木美枝子さんの強い世界に比べて、私のマチエール、見劣りしない?まぁイイわ、ホホホホホ。」。

 実は、彼女の絵画センスに、軽やかな音楽的ハーモニーがある。そういう世界を描き続けていけば、それなりの「名畑美由紀ワールド」は間違いなく達成される。しかし、何故だかわからないが、そういう感覚的絵画に飽き足りないのだ。そういう意味では相当に悩める画家なのだ、名畑美由紀という人は。ただ、悩みが他の多くの画家のように内向きに行かない。先人の試みや、主婦的発想のいろんな世界に後追いであろうが、先行きであろうが手が進んでしまって発表してしまうのだ。
 抽象画家・名畑美由紀というよりも行為する表現者に近いかもしれない。それでも絵画が中心だ。無手勝流に飛び跳ねる熟女・名畑美由紀である。



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     ↑:佐々木美枝子、「作品A」、「作品B」。


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          ↑:(上の作品の部分図。)


 激しい赤だ、ピンクだ。ピンクだから可愛い、と思ってはいけない。執念、怨念の女色だ。
 外にある太陽には目もくれず、内なるマグマ溜まりのみを見つめている。恐るべき執念に満ちたエネルギーだ。「時」をびっしり詰め込んでいる。

 こういうグループ展はどうだろう。「佐々木美枝子 + 全道展・高橋靖子 +ニューヨーク在住・中岡りえ + (故人)小樽・藤本俊子」の4人展だ。

 生活環境や発表スタンスは明瞭に違っている。が、内側を見つめるそれぞれの「おんな性」は強烈だ。糸を紡ぐような詩情はあっても、ロマンからはほど遠い。見たいものだ。



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     ↑:三浦恭三、「連鎖」。

 以前は「循環」というタイトルだった。画面を左右に横断し、元に戻るような水の「流れ・循環」に見えた。
 今作、描かれた一つ一つがアメーバー状に動き、それらが上下に重なって空間的拡がりになっている。それよりも何よりも、全体が抽象化された人物像だ。少なくとも、全体が中央に固まって、飛び跳ねようとしているみたい。背景の色は若々しい水色で、「リ・フレッシュ 三浦恭三」だ。最近、とみに強さを感じる。

 この三浦恭三、名畑美由紀、佐々木美枝子が全体で一塊に見えた。色味が原因だろう。敢えて言えば、「女性的」世界だ。



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     ↑:後藤和司、「秋のコンポジション」。


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          ↑:(上の作品の部分図。) 


 後藤和司の基本にあるのは、季節の詩情なり空気感なりを表現する人だ。格好良く言えば、「自然の相」の表現者だ。そして、抜群の絵肌表現の出来る人でもある。職人的だ。
 普通に自然に触れて、その観照世界を表現すればいいのだが、実際、有り余る実力でそれができるのだが、なぜだか氏はそこに立つのを拒絶する。「安易に自然を、ありのまま描いてはいけない。特に写実に描いてはいけない。今見える姿は仮の姿かもしれないから」と、自分に言い聞かせて絵画をたいそうむずかしくしていく。それも仕方がないのかもしれない。普通に描けば何でも描ける人だから。
 当協会同人の中でも、一番のマイペース派かもしれない。他者に関係なく、常に我が信じる道を行く。



 残り三名は③の写真で一塊になっている。先ほどの3名が女性的ならば、こちらは男性的に見えた。そして、後藤和司が中間で立ちん坊というスタイルだ。


 以下、個別写真のみでこの項目を終えます。


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     ↑:林教司。左から、「種子 B」、「種子 A」、「種子 C」。


 写りが悪いので再掲します。


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     ↑:林教司。左から、「種子 B」、「種子 C」。


 画題や構図は旧作を踏襲しているが、バリバリの新作と理解している。
 いつもような重量感には乏しいが、ひ弱なロマンはない。淡々と原点を見つめているようだ。



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     ↑:今荘義男。左から、「古里 イ」、「古里 ロ」、「古里 ハ」、「古里 二」。


 珍しい「古里」バージョンを取り上げます。


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 太陽にひれ伏す村人のよう。古代の太陽賛歌儀礼だ。同時に、「土」にも言祝(ことほ)いでいる。



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     ↑:鈴木悠高、「イエロー&グリーン」。


 黄色の人・鈴木悠高の大変身か?
 緑や黒の隙間から、「とにかく何か湧いてこい!」と、祈りにも近い命令を発している。

by sakaidoori | 2012-11-29 21:51 | 時計台


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