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栄通記

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2012年 11月 25日

1884)①「写真クラブ「BePHaT!!」 第9回作品展 『夢 Photo 2012』」市民g. 終了11月21日(水)~11月25日(日)





写真クラブBePHaT!!
第9回作品展
 


    夢 Photo 2012    


 会場:札幌市民ギャラリー 第5展示室 
      中央区南2条東6丁目
      (北西角地)
     電話(011)271-5471

 会期:2012年11月21日(水)~11月25日(日)
 時間:10:00~19:00
      (最終日は、~17:00まで。) 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー(11.23 24)

 意欲的な写真家集団だ。風景、心象、大人に女に子供から風俗と、あれやこれやの被写体だ。幸い、広い会場だから、1人1人を充分に楽しめる。他人の写真との関係でも良い響きがある。もっとも、そう思うのは僕の贔屓の目で、無手勝流の無節操集団とくくれるかもしれない。どんなくくり方でもいいのだ。面白く、かつ刺激的ならば。


1884)①「写真クラブ「BePHaT!!」 第9回作品展 『夢 Photo 2012』」市民g. 終了11月21日(水)~11月25日(日)_f0126829_1844489.jpg


 入り口付近から賑やかだ。この会場参加への踏み絵のようなものだ。「綺麗綺麗の自然写真好みの方は・・・」と、おとなし系を欲する方を無言に拒否しているみたい。


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     ↑:入り口第1室。


 そうはいっても、入り口のうるささは鑑賞者に一瞬の緊張を強いるだけで、静かに展示は進んでいく。


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     ↑:2室。


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     ↑:2室。


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     ↑:3室。


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     ↑:3室。



 概ね、以上のような会場風景。

 沢山の撮影者だ。ほんの一握りの人だけの紹介になります。

 
 刺激的な入場だったが、個人掲載は第3室のもっとも奥まった部屋のもっとも地味な作家から始めます。


1884)①「写真クラブ「BePHaT!!」 第9回作品展 『夢 Photo 2012』」市民g. 終了11月21日(水)~11月25日(日)_f0126829_18261943.jpg
          ↑:神成邦夫


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1884)①「写真クラブ「BePHaT!!」 第9回作品展 『夢 Photo 2012』」市民g. 終了11月21日(水)~11月25日(日)_f0126829_18273535.jpg




 なんとも殺風景な風景だ。全く面白味に欠ける。
 「面白味に欠けるとは何事だ!!だから栄通の言う事は信用できん。神成邦夫氏に失礼ではないか!!」と罵言を発するか方もおられよう。しかし、「良い写真ですね、心が晴れ晴れします」と言われては、神成邦夫は泣くに泣けないだろう。なぜなら、なるべく被写体への集中心を殺して、見る人の意識が消え入るような世界を彼は追い求めているからだ。「この写真を見ていたら、突然写真にポッカリ穴が空いて、覗きたくなって、頭が白くなってしまう。覗き終えたら浦島太郎さんになるのかしら、あらイヤだわ」そんなことを氏は夢見ているのだ。自分が浦島になりたいのだ。

 アイヌ地名に関わる「名付けという意味あるある風景」と見る人がいるかもしれない。似てはいるが全くの別物だ。僕の写真では分かりにくいが、被写体に対する強さが神成風景にはない。磁場や地霊との結びつきを感じない。ただ、無味乾燥な風景があるだけだ。


 この写真は、芭蕉の「古池や 蛙飛び込む 水の音」のようなものだ。この詩は、「古池」とか「蛙」とか、俳句的言語や実景が昇華されたところに意味があるだろう。だが、最後には余韻とか無化された心の残映が響くが、その前提として集中されるべき物がある。「音」とか、「池」とかだ。文学的構築物といってもいい。目的のための導きの手段がある。

 だが、神成邦夫は、そんな象徴的手段や比喩や暗喩をもっとも否定する。何でもない光景を見ていて、いつの間にか心がどっかに行ってしまって、それでもそこにいるしかない自分を確認するばかりだ。禅に「無」という言葉がある。確かにそれに近いものかもしれない。だが、「禅の無」は変幻自在な精神の自由さを求め、悦楽の境地がある。

 神成邦夫の「何でもない世界」は、確かに一つの自由かもしれない。他人が気付かない現象との触れ合い、交歓に、一人悦になっているのだから。
 しかし、大いなる悩みが最後に残る。「何かを撮らねばならない」ということだ。芭蕉も禅問答もやはり同じ悩みがあった。「言葉」からの超克だ。氏にとっては「風景からの脱皮」が永久の夢だ。


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     ↑:神成邦夫の私家本の写真集


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 中身はカラフルな都市の一コマ。
 あの風景写真から、このカラフル・ワールドを見なおそう。確かに街を楽しんではいるが、何とも大人の戯れ的な余韻がある。




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     ↑:YuKa


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 何なのだろう、この素直さ、初々しさ、若さ。眩しいとしか言いようがない。好きな蝶や花をしっかり強くバッチリと撮る。色もくっきりすっきり華やかにする。誰に遠慮の必要があろう。これが私の世界だから。
 強く被写体を見る、その目と姿勢には感動する。
 花を男が撮れば、「性と慾」がつきまとう。なんとも可憐な乙女ばかりだ。羨ましき健康美があるばかりだ。

 まったく神成邦夫の面白くない世界の対極だ。あまりに逆だと、ぐるっと廻って2人がドッキングするかもしれない。



 ②に続く

by sakaidoori | 2012-11-25 20:01 | 市民ギャラリー


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