2012年 11月 21日
第1回 てきてき 道都大学・中島ゼミ テキスタイル3人展 加藤千尋 永井優花里 畠中ゆう 会場:さいとうギャラリー 中央区南1条西3丁目1 ラ・ガレリア5階 (北東角地。 1階が日産のショールーム。) 電話(011)222-3698 会期:2012年11月06日(火)~11月11日(日) 休み:月曜日(定休日) 時間:10:30~18:30 (最終日は、~17:00まで) ーーーーーーーーーーーーーー(11.10) タイトルにあるように、道都大中島ゼミでシルクスクリーンを学ぶ3人の3年生、そのテキスタイル展だ。 それぞれの「増殖・生理感」、それぞれの「反復・デザイン」ということが気になったグループ展だ。 シルクスクリーンは繰り返しが簡単だ。その反復繰り返しはリズムを生み、デザインや装飾として活用される。今展の作品も反復デザインの基礎編ともいえるものだが、模様の原点に若い人の肉声というか、ストレートな感性が投影されている。その肉声の増殖反復処理の仕方が三者三様だ。それは当然なことなのだが、「肉声(生理)-増殖・反復-デザイン・・・抽象」に普段から関心があるので興味津々だった。 とは言っても、論理で作品を見ても仕方がない。その辺りを留意しながらそれぞれを見て頂きたい。 ○ 畠中ゆう の場合 畠中ゆう の場合は「自分を見せたい、見せたくない」という衝動で作品がなりったているようだ。 画題は弱い獣を生け贄のようにして、いろんな動物が攻めまくっている。恐いような恐くないような物語だ。「恐い」というのは、画題の「食べる行為」が「殺す」と見た場合のことだ。もしかしたら、じゃれ合っているだけかもしれない。ただ単純に、生き物の重なりを楽しんでいるだけかもしれない。それに、彼女は獣の毛むくじゃらみたいな線描が好きだ。野獣性とは言わないが、荒っぽさに強い親近感を持っているのだろう。 でも、その荒々しさを色で鮮明にはしない。均一で地味な色合いで世界を覆っている。その渋めの色で、剥き出しの自己を見せたくないのかもしれない。生理ムンムンの線描を僕は好んでいるのだが。 最終的には表現者は自己の美学に忠実にならなければならないだろう。だが、彼女は若い。自分の可能性を小さく見てはいけない。原色バンバンとか、単色オンリーとか、いろんな試みの中で、自己の美学や自己世界が研かれるのではなかろうか。荒い線描は吐き出し行為かもしれない。もっともっと赤裸々に楽しく吐き出せばいいのに。 反物風以外のシルクスクリーン作品を各自が多数出品している。本当に良いことだ。 ○ 加藤千尋 の場合 加藤千尋は○△□という幾何学模様をはっきりとさせ、一つ一つが「かわいくありたい」とギラギラせずに丁寧に丁寧に描きすすめ。若いカップルがカルピスを飲みあっている雰囲気。 そんな男女が高いところから、たとえば札幌タワーから街を見下ろしている。小さな笑いと語らい、・・・絵本の背景に似合いそうな柄模様・・・、そんな男女をどんな風に描こうかな~、それは見る人にまかせよう。私は飾りで演出しよう・・・。 渋い色合いだが、若い色だ。小物の形も作家の好きな幾何学模様の一つなのだろう。小さな○△□がとっても大好きな加藤千尋だ。 ○ 永井優花里 の場合 他の2人の世界は自分を確認しながらという堅実さがあるが、永井優花里は嵐を呼び込む勢いがある。他人の玄関の前に行き、可愛く強くドアを叩き、「良いものがありますよ!早く出てきて下さい、一緒に見ましょう」と元気な声が聞こえそう。 「かわいい、格好いい、白黒、カラフル大好き」という、欲張りを自己紹介メモで語っていて、その通りの作品群だ。 強く装飾性を意識している人に見える。その自意識が、増殖する模様をパターン化させすぎている感じだ。人間くささが却って軽く感じられる。「デザイナー永井優花里らしさ」は明瞭で、「人間・永井優花里らしさ」は薄まって見えてしまった。それが彼女の本質であり方向なのかはわからない。しかし、このエネルギッシュさで突き進むことだろう。頼もしく感じる。
by sakaidoori
| 2012-11-21 21:41
| さいとう
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アバウト
丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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