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栄通記

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2012年 10月 26日

1846)③「道展 第87回/2012」 市民ギャラリー 10月17日(水)~11月4日(日)

  
道展 

第87回/2012   


 会場:札幌市民ギャラリー 
     中央区南2東6(北西角地)
     電話(011)271-5471

 会期:2012年10月17日(水)~11月4日(日)
 時間:10:00~17:30
      (最終日は、~16:30まで。)
 料金:一般・800円 大学専門学生・500円 高校生・300円

 主催:北海道美術協会 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー(10.18)

 1834)①、1840)②の続き。

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 第3室のみを載せます。
 上の写真と、下の写真群を重ねれば全作品になると思います。左回りです。


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 この部屋は抽象性の高い作品ばかりだ。道展といえば「具象」だが、総合公募展の良さを発揮して何でもありだ。

 この部屋の抽象性を、「道展の抽象の部屋」としてくぐるよりも、ある種の抽象作品群として見た。
 明るく色の出し方を競っているようだ。そして、明るさ以上のくくり方ができないのが一大特徴だ。また、無理に共通傾向を明示しない方がいいであろう。そのことが特徴と捉えておこう。

 抽象画ということで、「北海道抽象派作家協会」の作品との比較をすれば、道展抽象画の特徴も少しは分かるかもしれない。(近々、その協会の秋展の模様を伝えます。)

 「北海道抽象派作家協会」、この会の会員の幾人かは、「暗く重い」。発色や明度の低さというものではなく、高い絵画技術を人生経験からの感性とすりあわせている。彼らの人生が「暗い」とか「重い」とかではない。作品と作家自身の生理とが近いと感じる。両者の直接性が高いと言い換えた方がいいかもしれない。
 もっとも、絵はその人の好みや感情や志向性が強く反映される。それなくしては絵は生まれないと強く言い切れる。だが、発表する「作品化」となると、それだけでは語れないだろう。生きるための手段性の高い作品もある。生理を意図的に避けて表現する場合もある。デザイン性や装飾性で覆われる作品もある。美そのものを楽しむ場合もある。
 だから、北海道抽象派作家協会の場合、「絵に人生をすり込ませる度合いが強い作品」と、言えばいいか。全会員がそうではないが、その偏差として個々の作家を見たくなる。そして、その傾向は日本一般の絵画動向とはやや異質だろう。古風でもある。

 ながながと道展とは無関係の団体のことを語った。道展抽象画の理解に資すればと思ったから。



 撮影したピンポイント作品は少ない。4点のみです。以下、それを全部載せます。


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     ↑:会員・末永正子(小樽市)、「景」。

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 なんと言っても末永正子だ。ある時期から、はしゃぐ心が画面を覆っている画家だ。だが、どうも「はしゃぐ自由精神」だけでは物足りないみたいだ。明るく勢い100%みたいな絵を描いたりもしているが、その明るさとハチャメチャさがしっくりこない。模索中の試行絵画として見ていた。「腕の自由振り振り絵画は嫌いではないのだが・・・気持ちは良いのだが、何かが足りない。この物足りなさは何なのだろう?」そう画家自身がつぶやいているようだった。

 今作、明るさと濃密さが良い。この濃密さは女性特有の刺繍精神だ。線描は細やかな細やかな糸と針の足跡だ。色としての線描があれば、ひっかき傷のような線描もある。肉声を埋め込みたいのだ。全道展の高橋靖子女史に通じる。
 抜群に暗い作品と見てもいいだろう。だが、この暗さは「男の美学」とは無縁だ。熟女を走る土根性というべきか。
 
 彼女は個展をしない。何故なのか?かつてギャラリーどらーるで個展をした。しかし、それは企画の流れだった。今作を契機に、新作、近作ばかりの個展準備をお願いしたい。溢れる力をもっともっと社会に出して欲しい。


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     ↑:一般・森田知穂(札幌市)、「12-3」。


 絵の中にこういう線描があると、気持ちがワクワクして仕方がない。それに、線が色と重なって、多くの人物がたむろしている感じだ。そういう人物群像画にもなっているから、一層関心を惹く。
 それにしても紫が効いている。


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     ↑:会員・長岐和彦(美深町)、「SCENE #32」。

 全体の作品の中では浮いた感じ。他の作品を強調させるための「黒模様」ならば話は簡単だが、そんなはずはない。展示者側も、黒の中の白い部分を滝に見立てて、水色の作品に挟ませている。単なる色の組み合わせとして作品を扱った感じがする。
 では、どう扱うべきか?なかなか難しい。やはり、個展として作家の方向性を見たいものだ。そうすれば、黒模様の白は、闇の中の光なのか?あるいは黒という窓の中に、さらに白という窓を重ね合わせて、異空間、異次元に人を誘いたいのか?あるいは、絵画の中の黒の絶対性を追求したいのか・・・?諸々のことで作家と感情交換できるかもしれない。
 やはりこういう作家は個展として触れ合いたい。それを知って、年々の流れとして公募展を楽しみたい。


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     ↑:一般・山形牧子(札幌市)、「入水のパレード」。

 大学を卒業し。その後も学校で研鑽を続けている。

 確かに全体の中では力量感は乏しいが、「軽み」という魅力がある。形を決めない茫洋感、それは「入水」を意識しているのだろう。
 ところで、「入水(じゅすい)」とは水の中に身を投げる自殺の意だと思う。どうも、この絵に「死」はそぐわない感じだ。普通にに「水のパレード」で良いのでは。水の楽しさ、軽さ、変幻自在さ、そして死にたくなるほどの美しさを表現したいと理解したのだが・・・。


 ④に続く

by sakaidoori | 2012-10-26 19:40 | 市民ギャラリー


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