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栄通記

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2012年 09月 23日

1807)①「室蘭工業大学写真部・五人展 『変化はいつも・・・』」 市民ギャラリー 9月17日(火)~9月23日(日)



        
室蘭工業大学写真部 五人展 

変化はいつも 曖昧なままに熱く
   


 会場:札幌市民ギャラリー 2階通路の部屋  
      中央区南2東6
      (北西角地)
      電話(011)271-5471

 会期:2012年9月17日(火)~9月23日(日)
 時間: 9:00~21:00
      (初日は14:00~。最終日は~18:00まで。)

 【参加学生】
 矢野根光 山川泰明 黒川達也 渡辺幸樹 北向志穂 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー(9.22)

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 大きく伸び伸びしていて、気持ちの良い学生写真展だ。だから、ザックバランに受付の渡辺幸樹君と長らく話し込んだ。以下、その記録です。
 (以下、敬称は省略させて頂きます。)



○ 山川泰明の場合


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     ↑:山川泰明


 山川泰明君は全く異なる2系列の作品群だ。別々の人と思って作品を見てしまった。同じ人と分かったのはかなり後だった。

 作品としては完璧に左群の方が良い。日の丸写真群と批判もされたとのことだ。日の丸写真を悪者にしてはいけない。「ここを見よ!」という感覚だから僕は好きだ。曰く一本勝負だ。それに、構図は確かに大事なのだが、悪い構図など一つもない。ただ、経験的に収まりの良い構図を「良い構図」と行っているだけだ。「良い構図」が「良い作品」かは別の問題だ。一般的美、あるいは不特定多数の美を求めるならば教科書的アプローチが早道なだけだ。

 右側の傷心女性?の海辺での世界だが、2枚あれば充分だろう。平板で変化や特徴が無さ過ぎるから。女が好きで、そのムードが心地良くて撮った、集めた、見せた、のだろう。自分の部屋用だ。

 対して、左の写真群。強い視点でカラフルで好きだ。だが、なぜ、こんなに太い黒枠にしたのだろう?何を気取っているのだろう。折角日の丸写真なのだから、写真だけの丸裸で、しかも倍ぐらいの量を展示してド・ドーンと見せたらいいのに。その横により大きめの海辺女性をアップにして、2枚一対で飾ればいいのに。強い主張になったと思う。

 結局、「何を撮りたいか、何を見せたいか」が掴めてないのだろう。だから、心薄き装飾展示になったのだろう。ただ、意欲・情念として「何とかして良い写真を撮りたい、よく見せたい」との思いはしっかりもっている。
 カラフルで強き日の丸写真をドドーンと見せて、心やお腹のお通じを良くしたらいい。中身なんてどうでも良いのだ。気持ち晴れやかにして次に進んだら、そんなことを渡辺君と語り合った。


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     ↑:「like a sister」より。


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     ↑:「変化はいつも 曖昧なままに熱く」。

 強い作品だが、寂しい場面が多い。全体の通奏低音は「個、あるいは自分」なのだろう。山川君の青春なのだろう。





○ 北村志穂の場合


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 ほんのりと瞼を開いて、世界を横長の淡い光で見つめる。時空を越えたい儀式・作法だろう。ある地点に来たら、キッと見開くのだろう。愛を訴えるのだろう、淡い光の中で。そんなイメージだ。暖かい感触、ヒューマンな視点が印象的だ。

 今作は肉親がモデルだ。良い記念になっただろう。それ以上に、身内への眼差しやシャッター・チャンスは他者へのアプローチの良き練習だ。この眼を気になる他者に向けて撮り続けてもらいたい。
 例えば「老人ホーム」。そこには無表情な人もいるだろう。老人に感覚が無いのではない。表現器官が麻痺しているだけだ。そういう老人達が一斉にベンチで座っている、もしかしたら一種異様かもしれない。そこだ、北向志穂の女性的でしなやかな半眼開き、光と瞳がどう接近するのか?見て見たいものだ。


○ 渡辺幸樹の場合


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     ↑:「touch the city」。


 テーマを絞ってしっかり大きく撮っているのがいい。その姿勢はいいのだが、バラエティーの少なさが欠点だろう。

 右側の作品群、街の人物群だ。視点は後ろ向きだ。きっと、見知らぬ人たちを前からは撮れなかったのだろう。それは仕方がない。次への下準備期間なのだから。だが、折角後ろ姿を選んで、渡辺幸樹君は安全な位置に立っているのだ。その位置を利用して、「都会と人々」を楽しめばいいのに。フットワークよろしく目の位置なり、高さ角度距離を変えたらいいのに。そうすれば渡辺君なりの楽しみ方が写真に反映すると思う。「孤独」、「男と女」、「社会性」、「無機質とか反乱するとか異常な都会」・・・、間違いなく何かが意図せずにじみ出てくるだろう。ことさら明確な意図など持たなくても、必ず何かが反映されるはずだ。そういう意味では、今展は「踏み込めない自分」が正直に出ている。あと、「写真が好きな渡辺君」もだ。
 しかし、実直な視線は良い。人間群が好きな渡辺幸樹、次を期待しよう。


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 上掲の作品群には興味をそそられた。人々を遠目に見る感覚が正直に出ていると思う。
 馬に集まるヒューマンな作品とか、凡調なアベック後ろ姿など、全体の中ではピンボケに見えた。見る人への無用なサービスは必要ないだろう。遊び心と常識や他者へのおもねりは峻別しないと。


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     ↑:(実作よりも濃くなりすぎたかもしれない。)


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 なぜだか、頑張って書きました。そのつもりではなかったのですが②に続きます 。


 今日の午後6時までです。もし渡辺君に会えたらよろしくお伝え下さい。



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by sakaidoori | 2012-09-23 12:03 | 市民ギャラリー


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