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栄通記

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2012年 06月 15日

1791)「【企画展】 立体力、【同時開催】 追悼ー八木保次・伸子展」 芸森 6月2日(土)~7月8日(日)

  
【企画展】 

立体力 仏像から人形、フィギアまで  

      
 会場:札幌芸術の森美術館
    札幌市南区芸術の森2丁目75番地
    電話(011)591-0090

 会期:2012年6月2日(土)~7月8日(日)
 休み:基本的に平日の月曜日
 時間:9:45~17:00 
 料金: 一般 900円 高大生 450円

【同時開催】 

札幌の森美術館コレクション選
 
追悼ー八木保次伸子

 会期:2012年6月2日(土)~7月8日(日)
 会場:美術館B展示場
      (企画展入場券販売近く)
 料金:無料  

ーーーーーーーーーーーー(6.13)

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 昨日見に行く。

 今の時期を北海道では何て言ったらいいのだろう。春ではない。ならば初夏?本州以南では「梅雨」という言葉がある。「リラ冷え」という綺麗な言葉を我々は持つ。しかし、それも5月の下旬頃の言葉だろう。
 自分の体はまだ夏ではない。が、「春過ぎて夏来たるらし オオルリの声芸森に響き渡る」の昨日であった。良い天気だった。


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 「立体力」、今展はこのネーミングとパンフの素晴らしさに尽きる。あとはいろんな分野の立体作品があるから、それぞれがお気に入りを堪能すればいい。


 展示はジグザグに回廊を這わせていて、個別個別の立体作品を流れるように見ていく。


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 最初は円空の菩薩像。そして同じように菩薩が続くのだが、円空の芸術性をあざ笑うかのような木食・菩薩だ。「円空・木食(もくじき)」はセットに語られることもある。その二人は意外にも北海道(蝦夷)つながりだった。素晴らしいことに道内のお寺に本物がある。その全作品と関連作品だけの「江戸・蝦夷、円空・木食展」も可能だろう。あまりに作風が違うので、現代的見地から両者を比較両断したらどうなるのか。ちなみに木食菩薩は木彫りには違いないが、彫刻(刻む)と言うよりも塑像(膨らむ)的造型性だ。精神的宗教性に訴えると言うよりも、民衆と伴に浮かれ楽しむという存在だ。木食自体が60歳頃から制作に励んだ。その年になる頃から日本行脚の日々であった。旅と制作は不可分なのだろう。遊行であり、遊作だ。昔の一遍上人、同時代の伊能忠敬のような男だ。全く江戸という時代は乱世でもないのにとんでもない男を生んだものだ。

 展示は日本近代彫刻黎明期に移行する。高村光雲光太郎、そしてお馴染みの荻原守衛戸張孤雁、などなど、我が中原悌二朗本郷新佐藤忠良とロダン風オーソドックスな立体作品が並んで「彫刻時代」を確認していく。適時、船越桂船越保武なども登場してレーパートリーの広さを垣間見ることになる。

 船越保武は岩手美術館からの借り物で、胸像としての宗教作品だ。幸い岩手でも見たのだが、そこでは相当に広い空間にわずかばかりの船越胸像作品があるばかりだった。まさしく宗教空間、いや聖書空間だ。僕はあまり宗教性に疎いものだが、この時ばかりは敬虔な気持ちにさせられた。今回、狭い場所で繋ぎのように並べられてはいたが、やはりその美しさは素晴らしい。


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 博多人形のような与勇輝もあった。どうしてこんなに可愛く清楚に作れるものかと驚くばかりだ。今風の装いの「ケイタイ」を特に魅入った。携帯電話を持つ少女が3体並んでいる。何ともいじらしい仕草だ。ショート・パンツだったか、足の折具合、素肌の露出もいじらしい。

 海洋堂作品のオモチャあり、「初音ミク」と呼ばれるキャラクターあり、これすべて「芸術作品」ということで「立体力」を芸森は誇示していた。

1791)「【企画展】 立体力、【同時開催】 追悼ー八木保次・伸子展」 芸森 6月2日(土)~7月8日(日)_f0126829_17461243.jpg インスタレーション風の展示が無いのは寂しいと判断したのだろう、伽井丹彌の新作を交えた関節人形群、そして最後は國松明日香の「THE MILKY WAY #2」で雲の上を歩く感じで終了だ。
 個別作品重視の流れるような展示はたいしたものだった。

 その「立体力」という魔法のようなネーミング、それは言葉の持つ力であり、企画者の創意の証でもある。だが、普通に「立体作品展」といったところで問題のない展覧会だった。せいぜいオモチャと仏像を同じ屋根の下に置いているのがかつての美術館との違いだ。だが、今ではことさら目新しいことでもない。
 展示者はあえてオモチャや仏像を一緒に並べることを拒否している。オモチャを芸術というイスに載せようとしている。だが、仏像をオモチャに格下げてはいない。食事に喩えるならば、様式のフルコースソースを終えた後にチョッピリ醤油もので和風腹を満たし、最後はケーキの別腹で終了だ。ご飯を食べながらケーキも食べる、焼酎を飲むという展示ではなかった。食事での作法なしという無礼講は確かにひどいものだが、美術芸術に侵犯行為はタブーではないだろう。
1791)「【企画展】 立体力、【同時開催】 追悼ー八木保次・伸子展」 芸森 6月2日(土)~7月8日(日)_f0126829_17473991.jpg 船越保武・胸像と北斗の拳「ケンシロウ」の組み合わせはどうか。女神を守るファイーター・マンだ。砂澤ビッキ「神の舌」に這い回る美少女軍団も悪くはない。静かな越権行為も見たかった。





 入り口にある作品を載せます。


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          ↑:海洋堂、「女神様三重奏」。

 八頭身美人と、児童顔による五頭身による可愛さを巧みに組み合わせている。そして青が「清純さ」を表現している。「美しく、可愛く、清らかに」そういう意味での女神三重奏だ。


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 渡り廊下の左右には、どうしたことか何もなかった。中庭に、「ビシッと一発立体作品」、なぜ無いのだろう?


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 本当は「八木保次・伸子展」を中心に報告するつもりだった。こちらはいつものように写真掲載可能だから。
 長くなったので、後日に報告します。

 

by sakaidoori | 2012-06-15 18:11 | ☆芸術の森美術館


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