2012年 05月 30日
○ CAI5周年企画展 色は憶えている 港千尋 × 岡部昌生 会場:CAI02 中央区大通西5丁目 昭和ビル・B2 全室 (地下鉄大通駅1番出口。 ※注意⇒駅の階段を下りてはいけません。 昭和ビルの地下2階です。) 電話(011)802-6438 会期:2012年5月19日(土)~6月14日(木) 休み:日曜・祝日 時間:13:00~23:00 主催:当館 ※ オープニング・セレクション ⇒ 初日 19:30~ ーーーーーーーーーーーーーーー(5.28) 展示は二部屋。 初めにその二部屋の全貌を載せます。まずは今展の全体をイメージして下さい。テーマというか切り口は「震災」、「色」、「原発事故」だ。 ![]() ![]() ![]() 以上が広い第一室。写真は港千尋、赤土を剥ぎ取った作品が岡部昌生。映像は写真家の作品、エンドレスで流れている。 ![]() ![]() ![]() 全て岡部昌生の作品。X線写真のようなフロッタージュ作品は既発表で、直接には「フクシマ」には関係ない。まるで資料室、標本室だ。映像は岡部氏の仕事ぶりが音とともに流れている。 この部屋は、岡部氏の仕事を理解するには都合が良いが、リアルタイムな震災と同列に並べられても興味を惹かない。今の「剥ぎ取り・フロッタージュ」作品もあるが、標本室に並べられて、「過去完了形」になってしまった。音も含めて美学になっていて心地は良い。秀でたデザイン感覚ではある。 さて、今展は広い部屋を味わおう。まずは湊千尋氏の写真を多く載せよう。全部で12点、サイズは全て91×66㎝、和紙にインクジェットプリント。 ![]() ![]() ![]() ![]() 以上、港千尋、「福島シリーズ 12点」、撮影地:福島県 撮影時期:2211年6~7月。 福島のみの写真だから、震災がメインではない。「地震+津波+原発事故」を同時に見ている。当然、世界に二つとはない原子力発電所事故が通奏低音だ。 以下、個別作品を何枚か載せます。福島といっても、一般人の立ち入り禁止地域を撮影したかどうかはわからない。 ![]() ![]() ↑:左から、「0) 津波で止まった時計 広野町」、「1) 津波で切断された道路 広野町」。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 淡い光を浴びた風景写真だ。確かに悲惨な写真もあるが、それを正面に据えてはいない。 「福島」という観点からこれらを見れば、「祈り」に尽きると言っていい。祈る道筋としては「大地」に着目し、「大地は色を記憶する」と語り、色で祈っている。 表現者の「祈り」を、ここでとやかく言っても仕方がない。あれほどの事件だ、解決は次世代以降への宿題にしてしまった。それでも土地の人は生きていかねばならない。港千尋という都会人が、彼の地に頭を垂れる姿勢をこの写真に見る。 が、港千尋は日本を代表する都会人・知識人だと思う。「祈り」はその姿勢・心構えであって、それで終わって良いのだろうか?ましてや「福島」は現在の切実な事件だ。まだ、1年有余というのに、「記憶」がメインでいいのだろうか?「大地」は大事だが、「大地」以前にその露わな現実が福島にはいくらでもある。今展の写真は象徴に満ちている。象徴せざるを得ないような現場ではない。全てが露わだ。何かを素通りして、真昼の野を眩しく見ているだけのようだ。詩人ならばそれもいい。が、知識人がそれで終始すれば、知性の放棄ではなかろうか? 知識人とは失礼な存在でもある。人が見たくもないことを「見れ!」という存在だ。住んでもいないのに、「現場の報告」をし、「意見」も言う。それらの言葉は現地人から見れば無用で無神経なものだろう。 だが、人はなにがしかの思いを言葉として持っている。「知識人」はそれらの人の代弁者ではないが、結果として、もの言わぬ大衆の知性を代弁せねばならない。少数感覚、大多数感覚を問わない。 港千尋は表現者にして知識人だ。その表現が「祈り」と「象徴」では余りに寂しい。 ②に続く。
by sakaidoori
| 2012-05-30 00:08
| CAI02(昭和ビル)
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![]() 丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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