2012年 05月 13日
○ 収蔵品展 「明暗の季節」 会場:テンポラリー・スペース 北区北16条西5丁目1-8 (北大斜め通りの東側。 隣はテーラー岩澤。) 電話(011)737-5503 会期:2012年5月8日(火)~5月20日(日) 休み:月曜日(定休日) 時間:11:00~18:00 【展示作家】 八木保次 八木伸子 上野憲男 大島龍 後藤和子 鈴木誠子 堀田真作 菱川和子 村岸宏昭 友川かずき ーーーーーーーーーーーーーー(5.9) ![]() 追悼展に続いての収蔵品展。 (以下、敬称は省略させて頂きます。) この場所でギャラリーを始めてから日は浅い。だが、円山での旧テンポラリー・ギャラリーの始まりと運営には長さと重みがあった。その実質を私自身は知らないが、記録を見ればわかる。その片鱗は今でも垣間見ることができる。そのためだろう、多くの優れた作品を収蔵している。 確かにそれらは「今」ではない。ましてや収蔵品展だから「コンテンポラリー」ではないが、時には古きを訪ねて新しきを知るだ。踊り場でのしばしの余韻としてテンポラリーを楽しもう、それも悪くはない。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 2階の窓側の風景、何もないのが良い。白壁を包む乳白色、壁のしみ色と影の薄闇色がいきいきしている。 収蔵品展とはいっても幾つかの山はある。それは展示者側の意図であったり、見る側の選択であったりと、いろいろだろう。 ![]() ![]() ![]() 正面に二人の女流画家の花がある。ドアを開ければ直ぐに目に入るのだ。オーナーの思い入れが分かる。現代美術を愛するオーナーだが、凛々しく咲く静物画も好きなのだ。この花を自画像とみれば、二人の女の対称を愛でているのかもしれない。 八木伸子のふたつの花は象徴的だ。まるで夫婦ではないか。伴に華ある姿、前後の位置は平等だが、高さがあまりに違う。それは絵としてのバランスかもしれないが、男女の象徴のようだ、八木夫婦の男と女を思う。いや、八木伸子にとっては「二人であること」が大切なのだろう。彼女の絵には常に朝陽を感じる。男女だけではないのだろう、自然なり何なりと、何かと誰かとの関係性で絵があるのだろう。そういう生き方だったのかもしれない。 対する菱川和子は一人姿だ。まるでパリ・シャンソン花だ。「見て見て、私を見て、美しいでしょう」と娘のように自己を大きく開いている。男にはこのあっけらかんさが眩しい。 菱川和子、先年亡くなられた菱川善夫氏の奥さん。氏は短歌評論家として名高い。夫は道内にあって、短歌の世界であるべき姿を叫び続けた。そういう独立心の強い人の伴侶だ。彼女の人となりはよくは知らないが、尽くすタイプではないのだろう。夫とは別の華だ。しかし、夫の晩年の仕事であった著作集の完成にも頑張っている。 ![]() 山だろう。透き通った青だ。青に包まれた作家だ、山を見ながら何を思おう。美しい世界だ。 狼を描く人、あるいは青の版画家だ。昨年の時計台ギャラリーでの個展、ブログに紹介すると言ったきり実現していない。 ![]() 水彩の青の重なり。 当館での個展を思い出す。滝のような青い絵だった。滝は上から下へと自然の力で落ちていく、走っていく。彼女は、自然に反するかのように、下から上へと燃え上がっていた。逆走する意志、とでも呼ぼう。 ![]() この人も青の人として著名だ。キツイ心象世界のよう。青春線がある、心の襞を垣間見せている。 いろんな青のある壁面だった。 ![]() 2階は全て友川かずき作品。 ![]() ![]() ![]() ![]() 人の顔ばかりだ。というか、顔しか画家には関心がないのだろう。 個と群像、個は自画像か?群像は自己と他者か?落書きのような剽軽(ヒョウキン)さ、自傷というのか、顔かお顔かお。センチメンタルさが救いなのだろう。 帰りしなにオーナー中森氏が一枚の絵を持ってきて、あちこちに試し置きをしてくれた。 ![]() ![]() ![]() 村岸宏昭。ここでの個展が最後になった人だ。当館で白樺の木を吊り下げていた。その木に耳を当てて、水の音を聴いた。四国で事故死した。 細い足が悩める青年か。激しい七色は青春だ。燃え立つ前の座臥だ。顔を見せる前に向こうに行った。
by sakaidoori
| 2012-05-13 12:06
| テンポラリー
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アバウト
![]() 丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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