2012年 04月 23日
○ 元衆樹会 菅原昭夫、瑢子・展 会場:さいとうギャラリー 中央区南1条西3丁目1 ラ・ガレリア5階 (北東角地。1階が日産のショールーム。) 電話(011)222-3698 会期:2012年4月17日(火)~4月22日(日) 時間: 10:30~18:30 (最終日は、~17:00まで) ーーーーーーーーーーーーーーー(4.21) 菅原昭夫さんは昭和3年(1928年)の生まれです。おそらく、十勝の出身でしょう。70歳近く(1999年)に他界されています。今展は、その昭夫さんと、奥さま、瑢子さんとの2人展です。 昭夫さんは風景画が中心の洋画家です。油彩は独学とのこと。ですから、技法的なことなどをあれこれと研究・模索しているのが、わずかばかりの作品の中でもよくわかります。 風景のアングルはオーソドックなものです。構図や何やかにやで、新たな発見を試みるというものではありません。むしろ、風景の中の空気と言えばいいのでしょうか、何もない処に何かを見つめている、それを絵画で探せれば、そんな感じです。 そういう探求・関心・感動の原点は初期の作品には必ずあるのではないでしょうか。 次に載せる2点、30年の断絶がありあます。 水平線を引き、空を描き、その間の丸い空間に何かを見つめる。両者とも同じ感覚です。「何か」とは、若い作品の場合は「自己」です。求めて止まない位置にしっかりとあります。後の作品との比較で言えば、「自己」は宣言でもあると同時に、絵を追究するための仮の姿でしょう。 人生後半の作品は、ほとんど前の作品と同じものと言っていい。人の代わりに夕焼けと空間がメインテーマに置き換えられた。ストレートな自己顕示は消え、絵そのものが自己顕示になったのです。 確かに夕焼けは感動の対象です。と同時に、夕焼けも時空における仮の姿なのでしょう。風景画は時空という見える姿であり、そこに見えない仮の姿を描くものではないでしょうか。感動すべき夕焼けの向こうが画家の本来の関心事です。ロマン?願望?夢?見えない実体? 感動という衣を着たり、不可思議さという可能性を秘めたりと、方法はその時々の画家の心の持ちようで決まる。 ↑:左側から、「北の街」・F4 1985年(57才)。「道庁」・SM 1980年(52才)。 表現主義的な激しさ、コンポジションにようる構成などがテーマです。 一点を見つめる目、その強さ、画面全体への意欲、それらは菅原昭夫さんの体質みたいです。 氏の代表作と言い切りたい。(ガラスが反射していろんな物が写ってしまい見にくくてすいません。残念です。) 赤煉瓦の建物を煙が強く覆っている。建物の痕跡は左下に描き込まれたレンガ模様、それに右上の斜めに引かれた屋根の輪郭線だけです。そしてすべては赤。中央のけぶる赤い煙の向こうに何があるか!実在としての煉瓦建築物は幻なのです。燃える情熱、強い探求心、がっしりした存在感、潔さ・・・求めて止まない探求点から離れ、どっしりした定点に画家は立っている。 ↑:左側から、「鉄の街工場群」・F8。「北の街札幌」・P20 1987年(59才)。 絶筆手前の作品。本当の絶筆は、未完成作品として別にあるそうです。最後の完成作品と言えばいいのでしょう。 この景色を見てから1年半後に亡くなられたそうです。闘病中の制作です。 「この景色を見たい」、思いがかないギリギリの時間で見ることができたそうです。奥さまは「神様のはからい」と仰っていました。 「射し込む光と空間」、その神々しさもあるでしょうが、画家として求めて止まない現象だったと思います。昭夫さんにとっては、この姿が永久のテーマだったのでしょう。 奥さんの瑢子さんの作品を等分に紹介するつもりでしたが、ご主人のことで時間を費やしてしまいました。 以下、簡単な掲載です。 最近は水彩が中心とのことですが、もともとは油彩です。力強さ、画布全体への意欲など、油彩画家の信条がよくでています。「強く太く大きく」が特徴です。 (油彩画は旧作で、水彩画が最近の作品。) どっしりして良い作品です。個人的には薔薇の花をもっと大きくと思うのですが、瑢子さんは「赤い花+白い花瓶+黄色いミカン」が全て大事なのでしょう。その気持ちが三者への平等主義になったのでしょう。
by sakaidoori
| 2012-04-23 15:08
| さいとう
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丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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