2012年 04月 17日
![]() 北海道抽象派作家協会展 会場:札幌市民ギャラリー 中央区南2東6(北西角地) 電話(011)271-5471 会期:2012年4月10日(火)~4月15日(日) 時間:10:30~18:00 (初日は13:00~、最終日は~17:00まで。) 【出品作家】 同人:今庄義男(岩見沢) 佐々木美枝子(札幌) 鈴木悠高(札幌) 名畑美由紀(札幌) 林教司(岩見沢) 三浦恭三(小樽)・・・以上、8名。 一般:笹岡素子(江別) 鈴木薫(札幌) 田村純也(苫小牧) 能登智子(札幌) 宮部美紀(石狩) 吉田英子(札幌)・・・以上、6名。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー(4.12) 1700番①に続く。 (以下、敬称は省略させて頂きます。) ・ 4人のピンク 今年は絵画性が強い展覧会だった。そして、カラフルで色が強かった。その色の中でも、女性陣の4人のピンクが目立った。デザインの海で可愛らしく覗くピンク、怨念という情熱的なピンク、エネルギーを押さえながらも爆発しそうなピンク、窓という象徴であり可愛いくもあるピンクだ。男としては考えさせられるピンク達だ。 ○ 笹岡素子の場合 ![]() ![]() ![]() この作品を見る僕の視点は、「穴」、「膨らむ」、「色」、「素材」だ。 作品は写真を見てもわかるように床にある。しかも、会場入り口からは遠くに敷き詰められている。目立たない。が、紙の白が床の黒との対比で、こぢんまりとしてだがくっきりとしている。そして白海に漂うよう色々、やけにピンクが飛び込んでくる。会場に入って、瞬時に飛び込んでくるピンクが新鮮だった。静かに近づき、うろついて、立ち止まってはあれこれと感じ、あれこれと考えてみた。 二つのことをメモしておこう。 作品自体はデザインと言い切っていいのだろう。そして、材料にしろ色にしろ、今の日本人の生活感覚の範囲だろう。そういう今の美的感覚を素直に受け入れて、あまりに「そのまんま東クン」としてさらけ出している。現代デザイン礼賛と言って良いかもしれない。 一方で、「三角の穴」と、めくれた紙の「ふっくら感、ボリュウーム感」、その単純な繰り返しとリズムが画家の生理であり主張だろう。造形感覚だ。 作家が「何を表現したいか」、を棚上げにして考えるならば、この作品は「現代デザインと作家の造形感覚」との絡み合いだろう。対峙、対決、対話、融合?ではなさそうだ。良く言えば「共生」なのだろう。だが、そのことを自覚するには、作品自体は遠慮気味だ。「ここにこの作品を置いてみようかな」、と「ここに作品を置こう」との中間にあるようだ。 この様式でもっともっとアグレッシブになったらと思う。今回は30枚ほどが置かれている。とりあえず、100枚との対話をすればと思う。床はある。からみつく他人の作品もある。空間も広いから。 そうすれば、もっともっとデザインと作家の生理の関係が明確になるだろう。その時に再び笹岡造形を問えばいい。 (笹岡素子さんで長くなりすぎました。以下、短めにいきたいです。) ○ 佐々木美枝子 の場合 ![]() ![]() ![]() ![]() 佐々木美枝子のピンクは情念、怨念として見ている。 「願はくは 桜の下で 春死なむ その如月の 望月の頃」という和歌がある。西行法師だ。まさにピンク爛漫とする情景だ。この歌は確かに佐々木美枝子に通じるかもしれない。が、前提がかなり違うと思う。西行の和歌には男の美学、ロマンを感じる。女の匂いがする。諦念という知もある。 佐々木美枝子の桜は、男や知に媚びるピンクではない。「狂」になりかねない「情」のピンクだ。 だが、今展はすこしばかりおとなしく感じた。ホッとすると同時に、物足りなくもあり、次が恐くもあり、・・・やはり悩ましき佐々木美枝子だ。 ○ 名畑美由紀 の場合 ![]() ![]() ![]() ![]() 佐々木美枝子同様に鋭いピンクだ。が、マチエールが全く違う。ザックバランというか筆跡も露わで色も濁り、綺麗なピンクを目指していない。何より、洗練度が全く違う。そして、あまりにも激しい。 吹雪のようなピンクだ。これは雪国に育った人の感覚かもしれない。吹雪を作る雪と風、その舞台の大地。 窓の外は荒れている。少女は見つめている。確かに吹雪だ。少女は吹雪の中に飛び込んでいるのか?吹雪を眺めて何かを準備しているのか? 少女ではなく、女の狂い咲きか?あるいは何かの宣言か? うまい絵ではない。キツイ絵だ。 ○ 吉田英子 の場合 ![]() ![]() ![]() 「向こう側の空間」、が関心の全てだろう。「向こう側の世界、そこに至る感覚」を表現したいのだと思っている。「向こう側」、画家ならば誰もが持つ世界であり、そこを絵画化することは願望であり見果てぬ夢でもあるのだが。だが、吉田英子は、その世界の手前の入り口を常に問題としている。 壁に並べられた絵画作品、それらは全て「窓」であり、「ドア」であり、「門」なのだろう。 「向こう側の世界、その道程」、そこは白く透き通っていて明るく、この世の生理を剥ぎ取り、幾つもの窓や門やドアをくぐり抜けていくもののようだ。そう吉田英子はつぶやいている。 作品の素材は古くて朽ちた物だ。それらを、自然のままではではなく、必ず手が加えられ、門になったりドアになったりして立ち現れる。時には釘を刺して、大きな警告を発している。朽ちた物に色を塗ること、それはこの世に「おさらば」する儀式だろう。マチエール豊かな化粧は過剰というもので、新たな個性の誕生を生むだけだ。個性を否定はしないが、個性から離れることが大事なのだ。「東洋的存在」が大事なのだ。個の屹立ではなく、個の沈静化や光明として無に帰したいのだろう。 宗教的倫理的なありよう、それが吉田英子・門の味の素だ。
by sakaidoori
| 2012-04-17 13:00
| 市民ギャラリー
|
アバウト
![]() 丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
検索
最新の記事
ファン
カテゴリ
全体 ★ 挨拶・リンク ★ 栄通の案内板 ★アバウトの写真について ★ 目次 (たぴお) (時計台) 市民ギャラリー (写真ライブラリー) さいとう 大丸藤井スカイホール (ユリイカ) ミヤシタ テンポラリー af 北専・アイボリー CAI(円山) CAI02(昭和ビル) (大同) アートマン アートスペース201 大通美術館 STVエントランスホール コンチネンタル 資料館 門馬・ANNEX 百貨店 (カコイ・ミクロ) 4プラ・華アグラ 石の蔵・はやし (シカク) ☆道外公共美術館ギャラリー (アッタ) 奥井理g. ★ 案内&情報 ★ 訪問客数 ◎ 樹 ◎ 花 ◎ 山 ◎ 本 ◎ 旅・飛行機・船 ◎ 温泉 ◎ 個人記 ◎ 風景 ◎ 短歌・詩・文芸 ☆★ ギャラリー巡り 写真)光映堂ウエスト・フォー (いろへや Dr.ツクール) JRタワーARTBOX ポルト 写真)富士フォト・サロン 道新プラザ 紀伊國屋書店 S-AIR ◎ 自宅 (ニュー・スター) 札信ギャラリー (マカシブ) (自由空間) 真駒内滝野霊園 サード・イアー (どらーる) 区民センター ★★ 管理人用 山の手 富樫アトリエ (プラハ2+ディープ) ★ギャラリー情報 ★ パンフより 創(そう) (オリジナル) ATTIC 美容院「EX]内 ADP 粋ふよう エッセ ◎ 雑記 ★「案内版」アバウトの写真 ☆北海道埋蔵文化センター ☆三岸好太郎美術館 ☆本郷新彫刻美術館 ☆芸術の森美術館 ☆函館美術館 ☆札幌・近代美術館 ☆モエレ沼公園 ☆旭川美術館 ☆北海道開拓記念館 ☆帯広美術館 ☆関口雄揮記念美術館 (☆夕張美術館) ☆(倶知安)小川原美術館 ☆(岩見沢)松島正幸記念館 ☆(室蘭)室蘭市民美術館 ☆北武記念絵画館 ★その他 【道外・関西】 ー [石狩] [ニセコ]有島記念館 [岩見沢]キューマル 他 [音威子府] [深川] [苫小牧]博物館 [洞爺] ☆小樽美術館 市民ギャラリー [美唄] [江別] [室蘭] [小樽] [帯広] [恵庭] 夢創館 【北広島・由仁】 [函館] [夕張] [三笠] [赤平・芦別] 【幌加内(政和)】 (くらふと)品品法邑 (茶廊)法邑 (カフェ)れんが (ブックカフェ)開化 (カフェ)アンジュ (カフェ)北都館 (カフェ)エスキス (画廊喫茶)チャオ (カフェ・soso) (カフェ)ト・オン (カフェ)アトリエムラ (カフェ)サーハビー 槌本紘子ストックホルムキ記 (画廊喫茶)仔馬 (ギャラリー&コーヒー)犬養 Plantation CAFE BLANC(ブラン) - コレクション ■ 複数会場 公共空間 ー ◎ 風景 新さっぽろg. ー ○ 栄通日記 学校構内 ー ◎ライブ路上パフォーマンス 道銀・らいらっく (コジカ) ▲個人特集 (風景)サイクリング・ロード (風景)札幌・都心 A.S.T(定山渓) 趣味の郷 公共空間・地下コンコース 六花亭 ◎今日・昨日・最近の風景 500m美術館 Room11 アルテポルト・ART SPACE サテライト 【2010年旅行記】 【2010年 ロシア旅行】 【海外旅行】 【2012年上海旅行】 【震災跡地2回目の旅】 【2013旅行記】 ◎ 川・橋 OYOYO コケティッシュ ・我が家 レタラ カモカモ 北のモンパルナス チチ クロスホテル札幌 黒い森美術館 Caballer ▲原田ミドーモザイク画 SYMBIOSIS (ハルカヤマ藝術要塞) 群青(2016) チカホ space1-105 100枚のスナップを見る会 北海道市民活動センター 群青(2018) HUG(教育大文化施設) 札幌グランピスタ 大洋(大洋ビル) - 未分類 タグ
個展(242)
グループ展(183) 油彩画(183) 企画展(153) インスタレーション(115) その他(98) 学生展(93) 現代美術(74) 写真(71) 公募展(70) 写真展(59) 総合・複合展(43) 温泉・山・旅行・雑記(42) 彫刻・金属・ガラス・陶(40) 日本画(38) 北海道教育大学(37) 版画・イラスト(31) シルクスクリーン(26) 藤谷康晴(25) 卒業展(24) リンク
○ 美術関係以外
古い日記 (サカイ・ヒロシさんのブログ) ○ 美術愛好家のブログ Ryoさんのイートアート (サカモト・キミオさんのH.P.) 散歩日記V3 (SHさんのブログ) ○ 表現者のブロブ(相互リンク?) Photo Foto Blue (コバヤシ・ユカさんのブログ) 水彩の旅 (タケツ・ノボルさんのH.P.) アートダイアリー (マエカワ・ヨシエさんのブログ) 画像一覧
最新のトラックバック
以前の記事
2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2017年 08月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 02月 more... ブログパーツ
その他のジャンル
記事ランキング
ブログジャンル
|
ファン申請 |
||