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栄通記

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2012年 04月 09日

1695)「古賀和子・展 ~ルビナスの花たち~」 STVエントランス・ホール 4月2日(月)~4月22日(日)

    
1695)「古賀和子・展 ~ルビナスの花たち~」 STVエントランス・ホール 4月2日(月)~4月22日(日)_f0142432_23403676.jpg○ 古賀和子・展 

   ~ルビナスの花たち~
     

      
 会場:STVエントランス・アート
      中央区北2条西2丁目
       STV北2条ビル 1階ホール
      (南進一方通行の西側のビル。) 
     電話(011)207-5062

 会期:2012年4月2日(月)~4月22日(日)
 時間:月~金  9:00~18:00
     土日祝   9:00~16:00

ーーーーーーーーーーーー(4.5)

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 何回か彼女の作品を見ている。もしかしたら今展は代表作になるかもしれない。
  東北大震災という「今」、東北出土の土偶という「過去」、「現在一般」の玩具、そして縫うという「女性性」とが、土偶を中心にして見事にまとまった。「持続する作家の信念」と、「現在」の諸々とが一本の糸でくくられた。

 今展は「祈り」がテーマだろう。それは作家のライフワークでもあろう。
 「祈り」だから良いと言っているのではない。どんな主張であれ、作品という窓を通じて、作家の情念がこちらにフィトしなければどうしようもない。多くの人命という犠牲をともなった「事実」と、「表現」がうまくかみ合ったと思えた。


 ということは、逆に言えば、いままでの作品への批判になるかもしれない。
 例えば、世界をリードする米国への意義申し立てと思える作品があった。悲惨な事件に対する凝視と追悼、現在の文明に対するアンチな視点、それをポップという笑いでくくりながら、「何か変ではないの?」という作家の声も聞こえた。刺激的で良い作品だと思った。何より、ちゃんとモンクを言う強い姿勢が素晴らしかった。だが、アメリカの問題と、それとがっぷり四つになって札幌で表現する事に、「知性」以上の直接性を感じなかった。要するに、他人事の問題と、自分事の問題との直接性に違和感を覚えた。そういう表現はとても大事だし、もっと言えば表現者は宇宙的問題を、辺鄙な場所に住んでいても、果敢にチャレンジせねばならない。だが、チャレンジ精神と、作品の力とは絶対に一致しない。
 そういう不一致感というか、自己と他者との境界領域に対して、不問とも思える姿勢に物足りなさを感じていた。

 今展では、土偶写真のポーズが、あまりにストレートだ。ここに作家の作った巧みな仏像があっても、ただそれだけのことだ。良いも悪いもない。個人的祈りが、社会関係としての「祈り」になり得る保証はない。
 「保証はない」、そうなのだ。全ての表現に、保証などありはしない。発表とは一つの「賭」かもしれない。もし、「成功」に重きを置くならば、多くの「不成功」の山を築かねばならないだろう。成功不成功などを置き去りにする人は、常に「今」があるのだろう。
 今展も「今」のひとつだろう。だが、少なくても私には強い展覧会だった。
 


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     ↑:「ノアの観覧車」。


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 宇宙というか黄泉というか、いずれにせよ死後・永久でしょう。黙して子どもが遊んでいる。



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     ↑:「土偶」・写真 A4 20点。
    (国宝指定の土偶 ー合掌土偶ー写真。青森県八戸市埋蔵文化センター・是川縄文館所蔵。現在、レプリカが北海道開拓記念館特別展にて出品中。)


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 向かいの暗い宇宙に対する、出土土器という地中での祈り。

 (このポーズ、今では普通に「合掌」あるいは「祈り」と呼んでいる。故に「合掌土器」と命名されている。
 縄文時代後期作品という。1989年、遺跡発掘中の出土。竪穴住居群の一棟からだ。その他の出土状況から、屋内での祭祀行為が想像されるという。また、その姿を「座産」とみる研究者もいる。座産ならば、腹はへっこんでいるから、出産直後か?どこか力も抜け安堵した表情は出産説とも合致しそうだ。すると目などの空いた部分は、赤児と同時に何かが体内から出ていく穴か?)


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     ↑:「虹 ーやくそく」。



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     ↑:(屋外から。)


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by sakaidoori | 2012-04-09 13:32 | STVエントランスホール


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