2012年 04月 06日
○ 第26回 北海道墨人展 会場:札幌市民ギャラリー 1階第2室 中央区南2条東6丁目 (北西角地) 電話(011)271-5471 会期:2012年4月4日(水)~4月8日(日) 休み:月曜日(定休日) 時間:10:00~18:00 (初日は13:00~、最終日は、~17:00まで) ※会場公開研究会 ⇒ 8日(土) 14:00~ 【参加書家】 荒野洋子(倶知安) 佐藤志珠(遠軽) 伊藤迪子(余市) 渋谷北象(旭川) 太田俊勝(札幌) 照井心磊(旭川) 太田秋源(旭川) 樋口雅山房(札幌) 木村重夫(小樽) 吉田敏子(札幌) ・・・以上、10名。 特別出品: 中森博文(相模原) ーーーーーーーーーーーーーーーーーー(4.5) 会場は、今までの2階の部屋から1階へ。その変化はたいした意味はないが、今までは部屋を二つに区切っていたが、今回は開けっぴろげでオープンだ。その関係で見晴らしが良くて見やすい、気分が良い。それは広さばかりではないかもしれない。参加書家が減り、一点一点の作品が目に近くなったからかもしれない。 入り口から時計回りに書いていきたいと思います。 「因」、若々しく堂々としている。筆の幅生かした太さ、癖を排した大きな感覚だ。 綺麗にこまわりしている感じ。「しんにゅう」を字に相応して廻らせているが、少し小さくて窮屈な感じ。品の良さを保ちながら、もう少し大きな気分があればと思った。 昨年の大震災を思っての字なのでしょう。 内側からの力を大仰に発散することなく、グッと溜め込んで、コンパクトで張りのある造形に努めている感じです。 全ての字が、右肩が円くて攻めている感じ。 「一事」の組作品は面白い。回転ネジ式「一事」と、平面での膨らみを強調した「一事」。共に鳥の立ち姿などが連想される。 今までの書家とは異なったスタイルだ。というか、この書家にとっても、こういう形での墨人展発表は珍しいのではないか。 この会は基本的には大きな一文字書を表現領域としている。大筆による大紙が装置だ。体全体の動き、腕の大きな走り、能に通じる美的な足運び、書き手の関節と骨がしっかりしていて、それが書の骨格を支える。そこに意力胆力という目に見えない味の素が、目に見える潤いを添える。 そういう基本姿勢を一端棚に上げて、腕そのももの自由な運びを尊重した振る舞いだ。それは個展向きの姿勢ともいえる。自分の好きな書風を確かめている感じだ。 「紙から浮かびあがる、しなやかでチョット頑丈な美しさ」ある時、彼女にそういう書を見たことがある。それがこの書家の本質かどうかはわからない。もっとご自分のセールスポイントを自覚されて、嫌味と思うほどそれに邁進したらと思う。それは書の求める品とは少し違うかもしれない。が、そういうはみ出し体験も楽しいと思うのだが。 今展一の力作、大作だ。シンプルな字だがゴワゴワザクザクしている。禅問答のような字だが、へなへな禅師ではない。 個人的には「一」の字がもっと長ければと思った。「一」のシンプルな強さと余韻を、もっと味わいたかった。 おそらく、次の難しき「○」への心の動きが速すぎたのでは。それぐらい気分は「○」にあるのだろう。 「花」・47×90㎝。「竹 3」・47×90㎝。「月」・37×57㎝。「竹 2」・33×70㎝。 吉田敏子と同じく、それ以上にマイペースの書群だ。完璧な個展スタイルだ。氏の文人スタイルが一作完璧主義を忌避するのだろう。 その文人気質は書を絵画的にしている。大作の「乱」、お馴染みの樋口・ひよこが戯れている。「乱」とは遠い遊ぶひよこだ。二つのひよこは何かに追いすがるような、追い求めているようでもある。母親探しかもしれないし、見果てぬ夢かもしれない。 夜叉が美しい花束の面を被っているよう。この字の方が「乱」を思う。女装の男能役者が、黄泉の語りに参上したようだ。 以下、大まかな写真だけ載せます。
by sakaidoori
| 2012-04-06 16:47
| 市民ギャラリー
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アバウト
丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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