栄通記

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2012年 04月 05日

1688)③「絵画の場合 2012 最終章 (山本雄基 武田浩志)」 ポルト 終了・3月14日(水)~4月1日(日)

  

○ 絵画の場合
 2012 
 最終章
   


 会場:ポルトギャラリーA・B 
      (北翔大学北方圏学術情報センター)
        (地下鉄東西線1番出口、西に徒歩5分)
      中央区南1条西22丁目 1番1号 
     電話(011)618ー7711

 会期:2012年3月14日(水)~4月1日(日)
 時間: 11:00~19:00
       (最終日は、~17:00まで)

 【参加作家&美術関係者】
 大井敏恭 笠見康大 小林麻美 澁谷俊彦 武田浩志 谷口明志 塚崎美歩 末次弘明 西田卓司 林亨 山本雄基 梁井朗 

ーーーーーーーーーーーーーー(4.1)


 1680番①、1681番②の続き。
 (以下、敬称は省略させて頂きます。)


○ 山本雄基の場合


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     ↑:「40ピースの繋がり」、木製パネル 綿布 アクリル絵具 223×357㎝ 2012年。


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 大きな絵だ。過去最大級だと思う。このグループ展に寄せる意気込みが分かろうというものだ。
 「オレにとっての絵画の場合、今回はとにかく大きくだ」

 確かに努力賞、敢闘賞だ。が、あまりにデザインであり、壁を覆う巨大壁紙になってしまった。「デザインと絵画」の問題提起をしているのかもしれない。

 デザインは匿名的で、気持ち良さ心地良さが勝負だ。考えさせる作品はデザインの敵なのだ。
 すると、彼は「見える見えない」を主要なテーマにしているが、デザイン重視ならば「見えても見えなくても、そんなことはどうでも宜しい。軽く見えない見える良い気分」が重要だ。つまり、「見える見えない」の意味に重きがあるのが狭義の絵画で、「良い気分」に重きがあるのがデザイン。「価値」に拘るのが絵画で、「価値」をすり抜けるのがデザイン、そんな風に思っている。
 しかし、今展の巨大作は作品自体は「良い気分」を発散させてはいない。直線と三角模様、寒色系の中間色で壁の「白」や会場の冷やかな「空気感」を際だたせている。その際だたせ方が、この作品ならではの独自のものならば、デザインであろうと絵画であろうと構わない。残念だが今展は大きさの割には作品力が弱かった。今までは重なりによる深みを追究していた。今回はよりフラットな一面性を試みているのだろう。次回のより大きな作品の為の試作と見るべきだろう。


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          ↑:「ふかしのすきま」、2012年 26.5×26.5㎝。


 小品。綺麗だし夢もあるし、しっかりしている。飽きることなく見続けれる。


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 5月に入ればドイツに行くとのことだ。「イッヒ りーべ ディッフィ」の国だ。自力での一年間だ。若さ一杯のた、前だけを向いた行為だ。大いに無理をして、再会を待とう。変貌を楽しみにしよう。健闘を祈る。


○ 武田浩志も場合


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     ↑:「portrait 122」・木製パネル 和紙 アクリル絵の具 ウレタンニス 金箔 ラメ 印刷物。


 実は、今展で一番驚いている作家だ。あんまり驚いたからじっくり見損なった。

 画題は最近ではお馴染みの「ポートレート・シリーズ」だ。その小品をそのまま大きくしただけのような作品なのだが、やはり大きさに驚いた。小品の連作は、画題が「顔」ということもあり、沢山あることだけで夢も拡がり、考えることもいといとろ涌いてくる。実際、武田浩志は部屋を作ったり、細々したものを並べては全体で見せるというスタンスが多い。だが、今展は「この大きな絵を見ろ!絵だけを見ろ」と画家オンリーで勝負している。「絵画の場合」だから、「絵画」だけを持ってきたのだろう。揺るぎなき自信を感じる。

 そして、画題の顔は「目口鼻なし」というノッペラボーなのだが、5点の連作の流れは「人」も「顔」も消去させてしまった。だが、タイトルは「ポ-トレート」のままだ。(実は、絵としては始まりの人物画は、外光にあたって薄く感じ、彼独特の綺麗な輝きが感じられず残念に思った。もしかしたら、外光の中で制作していないから、色の発散に誤解があったかもしれない。)
 作品はリボンのウエーブが増殖する。攻める、群がる。ついに絵を覆ってしまった。この激しさも意外だ。しかも、人物画よりも密集するリボン画のほうが抜群に綺麗に見えた。「滅びの美学」など画家は追究してはいないだろうが、行き着く先の極みの「美」を表現したい執拗さを感じた。
 長く書きすぎた。そんなことを一瞬に感じて、考えを整理しきらないで見過ごしてしまった。武田浩二、思いの外先の方を進んでいる画家に見えた。彼の背中はなかなか手強い。


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     ↑:「portrait 121」。


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     ↑:「portrait 124」。

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     ↑:「portrait125」・130.3×260.6㎝×3㎝。



 ようやく1階が終わった。なんとか3階も報告できればと思っています。
 ④に続く。) 

by sakaidoori | 2012-04-05 21:29 | ポルト


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