2012年 04月 03日
○ CAIアートスクール16期生 卒業制作展 会場:CAI02 raum1・2・3 中央区大通西5丁目 昭和ビル・B2 (地下鉄大通駅1番出口。 ※注意⇒駅の階段を下りてはいけません。 昭和ビルの地下2階です。) 電話(011)802-6438 会期:2012年3月24日(土)~4月7日(土) 休み:日曜・祝日 時間:13:00~23:00 ※ オープニングパーティー ⇒ 初日 19:00~ 【参加卒業生】 梶智就 黒島正範 瀬戸一成 立石香織 ひさだ いくこ 城禾乃 山口要輔 山根昇太 ・・・以上、8名。 ーーーーーーーーーーーーーーー(3.31) 当館が強く関わる現代美術研究学校の卒業生展。 ここは技術を教える学校ではない。詳しくはわからないが、「現代美術」や「社会関係としての自己表現」などを模索する場なのだろう。その研鑽の一区切りのグループ展だ。 今年の卒業生は8名。二部屋の展示ですから、空間不足ということはないでしょう。 学ぶ場は同じなのだが、毎年傾向が違っている。今年は、「すこぶる概念的」だ。頭でっかちというか、「考えが先にありき」という作風が目立った。これは意外でもあった。いままでにない現象だ。リーダー的な人に引っ張られたのか、とも思うが分からない。もっとも、現在の美術展覧会は「コンセプト」重視だから、そのこと事態は不思議ではないだろう。「コンセプトとは?」を考える良い機会かもしれない。 その「コンセプト」に対してストレートな作品、明るい部屋(B・C)の映像作家から始めます。 3点の出品作品に詳細な説明がある。作家の日頃の思索に接している感じだ。決して難しく語ってはいない。内容が哲学的でややこしいので、飲み込めないだけだ。ただ、今展で作家の試みが相応に成功したとは思えない。試作段階だ。間違いなく、今後発表していく人だ。強い形と強いメッセージを期待する。 さて、ビデオ作品だが、上掲の映像が流れているだけだ。当ブログに載せるのには楽で大変有り難い。時折「トン」と強い音がするが、作品は微動だにしない。 実は、この作品を見るのは2度目だ。初めて見た時、この音が後ろで響いた瞬間、映像の後ろ向きの人々がいきなり後ろを向いた。その顔に一瞬たじろぎ、つられるようにして僕も音のする後ろをふり向た。当然何もない。画像の人々は何もなかったかのごとく元に戻る。そして、右側で急に音がした時も一斉に右を向く、そんな繰り返しの映像だった。 映像作品としては動きのある方が抜群に面白い。が、面白いがただそれだけだ。驚きは一回以上にはならなからだ。一方、静止画像の連続はただ退屈なだけだ。文学的な「退屈な日々」とでもいいたそう。その退屈さに見る方は付き合うわけだ。「退屈」が大きなテーマなのかもしれない。 それと、画像を見てもわかるように、自分達の後ろ姿を見ている人達だ。その後ろ姿を見ている鑑賞者だ。そこに誰かが進入しようとしたら、新たな入れ子が誕生して膨らんでいく。覗き趣味的な無限遡及的驚きと退屈がある。それは作家のテクニックかもしれないが、表現の生理に思えた。 さらに、キャプションにも拘りがある。映像参加者の言及がない。この暗室にある小道具を書くばかりだ。もっとも、映像を作る時にも必要な資材でもある。ただ、主人公の「人間」を消去させている。ここにも人なき入れ子状態、退屈な繰り返しがある。作家にとって、映像協力者や作品鑑賞者という「人」を改めて書く必要はないのだろう。「人」のある世界、「人」が認知する世界、「人」に関係なく存在する世界、それが彼の永久のテーマなのだろう。 ↑:右側のボックス・アート 梶智就、「行為は世界を作り、世界は作者を求める」・木 画用紙。 箱を覗く、普通の絵があるだけだ。ここに載せれば夢がなくなる。「梶智就」に関心をもたれたならば、是非CAI02へ。 写真もユーモラスだ。ユーモラスだが、作家のキャプションはどこまでも堅くて説明的だ。もしかしたら、その学者然としたキャプションスタイルも、入れ子的ジョークかもしれない。 タイトルと作品素材と保存瓶と見た目の掛け合わせ。白い部屋にポツンとあるだけで、それなりの存在感はある。例えば、「変容しそうな食べ物、その冷ややかさと私との関係」などと言えばいいのかもしれないが、いかんせん試案段階の感がする。 暗い部屋は②に続く。
by sakaidoori
| 2012-04-03 12:53
| CAI02(昭和ビル)
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アバウト
丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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