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栄通記

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2012年 03月 09日

1651)③「道教育大学空間造形研究室展 変身のしくみ (秋元さなえ)」資料館 終了・2月28日(火)~3月4日(日)

   
○ 北海道教育大学空間造形研究室・展 

       変身のしくみ  
               (4人による4部屋での、それぞれの個展)

    秋元さなえの場合              


   会場:札幌市資料館 2階3室
    中央区大通西13丁目 
     (旧札幌控訴院。
      大通公園の西の果て)
     電話(011)251-0731

 会期:2012年2月28日(火)~3月4日(日) 
 休み:月曜日
 時間: 11:00~19:00
     (最終日は、~17:00まで。)

 【参加学生】
 秋元さなえ 太田友真 田中沙織 滝ヶ原真悠   

ーーーーーーーーーーーーー(3.3)

 ○ 秋元さなえの場合 (江別市出身)

     「私は山」   ビデオ・インスタレーション
              ビデオカメラ(MiniDV 22分) スキーウェアー クッション

     「誰かが私の噂をしている」   ビデオ・インスタレーション
                         MiniDVをDVDに変換(22分) そり スキーウェアー クッション


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 自分探し、あるいは自分確認の個展だ。

 暗い部屋で、用意された座布団に座ってビデオを見る。ソリ滑りを楽しんでいる子供達がいる。ファミリーもいる。遠くから見ている冬遊びの風景が流れているだけだ。音は流れていたか覚えていない。たとえ音があったとしても、子供の笑い声だけだろう。「キャッキャッキャッキャッ・・」どこか過去の風景の覗き見になっている。時折、時間を強引に「今」に戻したいのか、学生本人の「顔」が現れる。しかも、大写しなのでハッとする。よれた白いスキーウエアーがスクリーンだ。笑う顔の癖のない「顔」が屈折している。

 ビデオが流れている。それを見る。ただそれだけの個展だ。

 僕はビデオを全部見た。その間中、作家と会話をした。個展からは離れた横道の会話であった。彼女とは面識があり、気分は知り合いだ。だから長話になったのか?そうではないと思う。そして、ビデオを見せるだけが今展の目的ではないと思う。そこに学生本人がいて、鑑賞者をお客さんのようにしてもてなし、流れるビデオを背景にあれこれと四方山話をすること。くだらない会話でも、真剣な身の上話でも、主人公として作家本人が振る舞うことが大事なのだ。タイトルの「私は山」とは、「私自身がここにある、私が主人公」という自己主張でもあろう。「誰かが私の噂をしている」というタイトルもある。そう、「噂される存在である自己」を拒否したいのだ。具体的な、なまめかしい、喜怒哀楽をともなった学生自身との人間関係の創出を試みている。

 それは自己を中心においた芸術行為である。「自分探し、自己確認」という回路を通じて、この場の体験共有を通じて、「個」を越えて、「何かを共有できないか」という試みでもあろう。

 それを作家の「あらぬ願望」か?
 それを作家の「傲慢」か?
 この試みは成功したか?
 今展に関しては、その判断は作家の中にあるだろう。我々は良き傍観者だ。
 
 シンプルな装置による素直な表現であった。


                   

by sakaidoori | 2012-03-09 00:03 | 資料館


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