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栄通記

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2011年 11月 17日

1618) 「伊藤隆介・個展 『the Hole』」 cai02 11月5日(土)~11月26日(土)

○ 伊藤隆介・個展 

        「the Hole
   
        
 
 会場:CAI02 raum1
      中央区大通西5丁目 昭和ビル・B2 
      (地下鉄大通駅1番出口。
    ※注意⇒駅の階段を下りてはいけません。
          昭和ビルの地下2階です。)
     電話(011)802-6438

 会期:2011年11月5日(土)~11月26日(土)
 休み:日曜・祝日  
 時間:13:00~23:00

 主催:当館(CAI現代芸術研究所)
           
ーーーーーーーーーーーーーーー(11.8)

 (以下、敬称は省略させて頂きます。)

1618) 「伊藤隆介・個展 『the Hole』」 cai02 11月5日(土)~11月26日(土)_f0126829_20151832.jpg



 伊藤隆介得意の永劫回帰的仕掛けと、その仕掛けを見せながらの映像作品だ。カラクリ仕掛けの「伊藤隆介・芝居小屋」、今回は絶好調だ。

 非常に凝った仕掛けだ。凝ってはいるがシンプルだ。そして困ったことに、カメラの位置がわからない。

 仕掛けの中での「カメラの位置」が気になるところだ。映像から判断して、カメラ目線を仕掛けの中で探しまわる。鑑賞者参加型の伊藤インスタレーションでもある。だから、伊藤作品の成否は、カメラの位置・目線に感心させられる時であり、逆に、カメラに関係なく作品そのものを楽しむ時である。今回は「カメラ目線」を見つけるのに苦労した。隆介の「技あり一本」であり、そして、分かりにくい映像に不思議に納得させられた。「映像なんてどうでもいいのだ」、と思いたくなった。


 分かりにくい説明になるとは思いますが、以下装置の説明をします。


1618) 「伊藤隆介・個展 『the Hole』」 cai02 11月5日(土)~11月26日(土)_f0126829_20224888.jpg



 中央の板から左側が左右に行ったり来たりする。「貨車」が左右に動いているといえばいいだろう。ランダムに適時ストップする。
 右側に、細い鉄パイプが横付けにして見える。カメラは鉄パイプの先端に取り付けられている。鉄パイプが板塀を突き刺す感じだが、「貨車」が鉄パイプに入り込んだり、出たりしているだけだ。先端のカメラはグルグル廻っている。その回転運動もランダムにストップする。上の写真はカメラが内部に入っていて、内部を写している映像シーンだ。


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 「貨車」にあたる移動体がもっとも後ろに下がって、カメラを外部にさらけ出している。カメラは外の芝生や倚子などを写している。


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 カメラはほとんど「貨車」の内部を撮っている。撮影の為の照明が外から当てられている。だから、映像は薄暗い。


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 右側の重しは「貨車」を引っ張る装置。装置ではあるが、薄暗がりの中で、音もなく上下する動きは何やら薄気味悪い。


 芝生を写す時は綺麗な静止画像になるのだが、その時以外は炭鉱の中を徘徊している感じだ。もっとも、実際の炭鉱内部などは見た事がない。おそらく煤だらけで、全体がもやっている事だろう。
 

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 映像シーンは、会場の「地下室性」を意識しているみたいだ。「暗く暗く」がサブテーマだ。時折地上にはい上がっては、小市民的な明るく平和な庭を写すことになる。「明と暗」の反転表現は、「虚実」の堺目を楽しんでいるのだろう。
 総じて、「虚」の不可思議さよりも、「映像としての実の訴えを」感じた。それは、映像そのものよりも、装置への強烈な拘りがズシンとこちらに伝わるからだ。無駄な装飾は全て剥ぎ取る。装飾は室内の「地下室性」で充分だという判断だろう。

 室内の中央をシンプルに照らす照明、器材の横線縦線がシンプルに目に飛び込む。一切の無駄を省略し、光と線だけの伊藤舞台。その孤独な作業に、伊藤インスタレーションに「実」を初めて感じた。それは一つの大人の遊びなのだろう。「the Hole」、穴を凝視する遊びだ。

by sakaidoori | 2011-11-17 00:05 | CAI02(昭和ビル)


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