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栄通記

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2011年 11月 06日

1608) ②「Apporoach デザインとアートの接近 山本雄基 他(5作家)」 Room11 11月1日(火)~11月13日(日)


○ Apporoach デザインとアートの接近 

    伊藤千尋 (プロダクトデザイナー)
    藤沢レオ  (彫刻家)
    村田佳彦  (漆作家)
    山本雄基  (画家)
    Julia lohmann (デザイナー)
      


 会場:Room11 (アート・スペース+カフェ)
      中央区北3条東5丁目355
      (北海道ガス社屋の向側。北向き。)
     電話(011)208ー1010

 会期:2011年11月1日(火)~11月13日(日)
 休み:11月7日(月) 
 時間:11:00~19:00

 企画:本間真理

※ ギャラリートーク & パーティー ⇒ 11月5日(土) 15:00~ 500円(1ドリンク付き)
                       出演・伊藤千尋 藤沢レオ 山本雄基 
       ※ トーク終了後も、お飲み物と軽食を用意しています。

ーーーーーーーーーーーーーーー(11.2)

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 (以下、敬称は省略させて頂きます。)


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○ 山本雄基の場合。

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     ↑:(タイトル・制作年及び素材等は全て同じ) 「ふかしのすきま」・2011年 木製パネル アクリル絵画 26×26㎝。

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     ↑:21.7×16.2㎝。

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     ↑:33×42㎝。


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     ↑:130×162㎝。

 今回は控えめな色具合だ。偶然の出品ではないだろう。意図的に鮮明な色味を抑えた。 
 色で遠慮した分、地味で派手な大作を用意した。一番下の作品がそれだ。円と円の隙間は黒味が強い。大きな大きな円の中に、小さな小さな日の丸だ。

 青年・山本雄基は自信をもっていろんなことを試みている。一方通行の明るさで迷いがない。まだまだ色の強さの手加減は修得中だが、手応えを感じる今日この頃だろう。

 「まる」は明るく幸せ気分な形だと画家はいう。それは違うだろう。「まる」と、その形の増殖模様となれば、恐怖やグロテスクさにもなる。全ては画家の美学と価値観が決めることだ。
 「まる」に託して完全無欠な美しさと満足を求める山本雄基。それは見果てぬ夢かも知らない。その夢が彼の作品をデザインにするかもしれない。デザインからは遠いところから出発し、現に今もデザインなどは一顧だにしていないだろう。だが、間違いなくデザインに近いところに作品はある。「まる」の暗部も見つめつつ、それでも清々しく拡がる山本ワールド、そういうものを期待したい。それがデザインかアートかは他人が決めればいいことだ。作家は己に正直に進めばいい。


○ 藤沢レオの場合。 


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     ↑:①「今はいつ?」・ステンレス 鉛 エナメル 鉄 20×12×61㎝ 2011年。


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     ↑:②「静かな日」・鉄 エナメル 50×14×12㎝ 2011年。


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     ↑:③「死ヌコトヲ知ル 生キルコトヲ知ル 生マレルコトヲ知ル 知ルコトヲ知ル」・アクリル 不織布 鉄 60×60×60㎝ 2011年。


 「線の人・藤沢レオ」だ。その線が骨格か輪郭かは分からない。だが、「一本の線で全てを表現したい」、そういう作家だと判断している。その線とは、間違いの許されない工芸職人の巧の世界、あるいは日本画の中の描き直し不能な線跡といえる。それは美学としてだが、画家自身の体質的なものかもしれない。自己の存在理由としての屹立する一本線だ。

 画家はトーク時に「小品は苦手だ」と語っていた。僕は、その線の細さが大作の弱さになっていると思っている。コンパクトな小品は生娘のような緊張感がある。初々しさがある。
 ①や②の作品など、モチーフは違うが夢そそる宝箱だ。線が立体としても膨らみ、重層的に夢を育んでいる。①は線の中の空間が暖かい。②は影を意図的に作り、その作為性人為性が微笑ましくもあり優しい。
 
 さて、③がアートマンとしての課題を露呈している。彼は「生死」を問うていたのだ。僕は「線の人」と早くから決め込んで彼の作品を見ていた。大振りの作品のひ弱さが気になっていた。今作は何かのエスキスのようだ。そのタイトルとの関係では語れないが、抽象作品として興味深い。つまり、小品としての「考える人」段階は良いのだが、大きくなると思弁性が勝ちすぎて造型性が弱い。日本美術の歴史は「無」には強いが直裁的な「生死」には疎い。西洋の「メメントモリ(死を思え)」的美術品には圧倒される。
 圧倒するわけでもない等身大の強さで「生死」を表現したいのだろう。派手にならず自分に言い聞かせて、倫理的作品の成就を願っているのだろう。成功を祈る。


○ 伊藤千織の場合


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     ↑:(タイトル・制作年・素材は全て同じ) 「out/fold」・2011年 紙 60×7㎝ 60×5㎝ 60×7㎝ 32×5㎝ 60×7㎝。

 デザインで活躍されている作家だ。
 トーク時に作品をスライドで見ることができた。「線の人・藤沢レオ」とは違って、フックラとしたボリューム感を特徴としているようだ。
 木製品などが多いようだが、今回は紙だ。分厚めの紙を手際よく切り、厚みを出して光と楽しんでいる。月桂冠のようだ。

 彼女の作品群は、窓際を独占はしていたが、あたかも他作品とは没交渉のような感じがした。その作品性に注目するのならば良い展示だとは思う。だが「アプローチ」となると、一人だけの世界になっていて今展の主旨とは少しズレを感じた。絡みが欲しかった。


○ Julia Lohmann の場合。(ユリア ローマン、1977年 ドイツ・ヒルデスハイム生まれ。現在、ドイツ・ハンブルクで活躍。)


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 一人の外人の作品がちょっと見慣れぬ空気を作った。良いですね。
 数年前、札幌にレジデンスとして滞在した。その折りに企画者の目に止まったのだろう。(多くの外人作家が札幌に来ている。その大半を知らないとはどうしたことか。意欲的に関わらない僕が悪いのか、情宣不足の関係者が悪いのか、互いに反省せねばならない。)

 素材が「日高コンブ」というのがユニークだ。色や形が気に入ったのだろうが、それだけではないようだ。自然との関わりを自己のデザインの中に取り込みたいのだ。プラスチックという化合物ののっぺんだらりとした物をデザイナーは好む。その無機質性や色を自由に操れることが良いのだろう。何と言っても没個性なのが最大の理由かもしれない。

 ユリア・ローマンは無機質性に距離置いて、文明・社会再考の手段として自然物をデザインかしている。
 間違いなくデザイン化する時に、自然の肉声の何かがそぎ落とされるだろう。かわりに作家のデザイン観と文明観が挿入されるだろう。上手く行くことを祈ろう。

 僕自身はコンブであることには驚かない。コンブという肉体の透過性と、その美しさに感心した。

by sakaidoori | 2011-11-06 21:50 |  Room11


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