栄通記

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2011年 10月 21日

1585) 「森弘志・個展 『森弘志の風景』展」 時計台 終了・9月26日(月)~10月1日(土)

○ 森弘志・個展

     森弘志の風景」展     


 会場:時計台ギャラリー 2階A室
      中央区北1西3 
       札幌時計台文化会館
       (中通り南向き)
      電話(011)241-1831

 会期:2011年9月26日(月)~10月1日(土)
 時間: 10:00~18:00 
      (最終日は~17:00まで。)
  
ーーーーーーーーーーーーーーーーー(10.1 土)

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 全道展などで森弘志氏の風景画を目にする機会が増えた。奇異に感じていた。「何故に風景画?」、と同時に「不思議な風景画だ」という思いだった。

 何年か前に近代美術館で氏の参加したグループ展を見た。確か「ACT5」というものであった。その時、「リカちゃん人形」を出品していた。等身大の人物画でもある。広くて四角い部屋の壁に人形達は立っていた。暗がりの部屋で、人形画の胸には時刻を示す数字を描き込んでいた。幾体も立ちすくんだ人形の部屋は凄みに満ちていた。
 瞬時にただならぬ画家だと判断した。実は、氏が絵画で何をしたいのかは分からない。ムードを書けば、「秀でた技術」、「知的絵画」、「対象を突き放した客観的態度」、「実験絵画」・・・要するに絵画で何が可能かを模索しているのだろう。模索とはいっても、五里霧中で視界ゼロの航海、さまよえる旅ではないだろう。それなりの確信はあるが、描き上げることによって確認したいのだろう。見る僕としてはその確信を全く文章化できない。言えることは、標的を定めた探求心に凄みを感じ、絵画空間に前頭葉がピクピクすることだ。見続けることによって言語化できればと思っている。


 さて、今展の風景画である。
 どこか冷めた突き放し感をともなっている。そして、間違いなく「実在の風景」なのだが、風景のリアリティーから限りなく遠ざかる。離れれば離れるほど氏の絵画文法、絵画観が迫る。「写真のような風景画」から始まり、そういう姿勢はアッサリ捨てている。樹木のシルエットなど、より細密に画けるはずなのに、テクニックを小出しにしている。何かが少し違う、何かが少し違う・・・、そんな自問自答が続いてしまった。要するに、これだけ並ばれると妖しげさにまいってしまった。

 妻は写真作品を見て妖艶だと言った。僕にはそう見えない。エロスやロマンや理想郷や肉声からは遠い存在だ。それでいて際だつ個性、余白無き余韻の世界、知と美の対話を思った。


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     ↑:左側、「夏七月」(足寄町中足寄から東)・38×45.5㎝(以下、小品は皆同じ大きさ) 2011.8.1~9.18制作。
     ↑:右側、「春5月」(大樹町光知牧場から東)・同 2011.5.28~9.14制作。


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     ↑:左側、「夏七月」(本別町中美里別)・同 2010.8.2~10.14制作。
     ↑:右側、「夏七月」(鹿追町)、2010.4.5~9.26制作。


 上の作品がお気に入り。
 突き抜けるような空を背景にして傷ついた松が屹立している。
 白樺の若木が美しくも妖艶に並んでいる。長谷川等伯のアヤメを思った。
 画きたい物を中央に置くと、「日の丸弁当」などと非難する場合がある。しかし、中央重点主義は表現力として難しいだけのことだ。当たり前だが作品として成り立つ。森弘志氏には中央志向の傾向がある。たじろぎもせずに「真ん中を見よ!」、と言っている。


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     ↑:「さか」(秋十月/新得町増田山)・80×162㎝(2枚組) 2010.7~2010.10制作 2011年全道展出品)。



 本来ならば、今展は上掲のような大作群で埋められる予定であった。しかし、その作品群の何点かが東日本大震災を想起されるということで、当初の予定を変更しての小品中心展です。だから、リベンジという形で3年後に当館で本格的個展を開きます。その展覧会のプレ展として今展は位置づけられるのでしょう。

by sakaidoori | 2011-10-21 16:03 | 時計台


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