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栄通記

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2011年 05月 31日

1577)③「’11 第38回 北海道抽象派作家協会展」市民ギャラリー 終了4月12日(火)~4月17日(日)

  
○ ’11 第38回

    北海道抽象派作家協会



 会場:札幌市民ギャラリー 
     中央区南2東6(北西角地)
     電話(011)271-5471

 会期:2011年4月12日(火)~4月17日(日)

 【出品作家】
 同人:甲斐野弘幸(新同人) 今庄義男(岩見沢) 後藤和司(札幌) 佐々木美枝子(札幌) 外山欽平(函館) 名畑美由紀(札幌) 林教司(岩見沢) 三浦恭三(小樽)・・・以上、8名。

 一般:甲斐野市子(札幌) 笹岡素子(江別) 能登智子(札幌) 櫻井亮(初・夕張) 田村純也(初・苫小牧) 横山隆(札幌)・・・以上、6名。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー(4.15)

 (1499番①、1522番②の続き。)

 個人作品を何点か載せます。

 (以下、敬称は省略させて頂きます。)


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          ↑:今荘義男、「古里(コリ)シリーズ」・左から イ、ロ、ハ・180×240㎝。



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 (今荘作品の魅力を伝えるには良い写真ではありません。あえて部分図も多く載せましたが、拡大してその筆跡を幾ばくかでも推し量って下さい。)

 3点の組み作品の出品。左側の2点が新作と思う。
 渋い、という印象が強く飛び込んでくる。渋く、華やかに、どっしりと、そういう「古里」だ。
 新作は、ストレートな遊び心は見られない。確かに、積み木のような形の重なり方、大きな形を上部に画いて転びそうな不安定感に、遊び心を思わないでもない。だが、全体としては「遊び」というより「余裕」なり「不動」としての存在感を思う。
 とりたてて明るい色を散りばめてもいない。なのに、紫にも通じる青が内側から華やかさを保っている。幾重にも重ねられた画質は、古里(ふるさと)の春の土色に還元されそうだ。掘り起こされた「春の土」、空気に触れて暗黒色を輝かせている。


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          ↑:同人・林教司、「作品 A B C D」。


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 全て旧作だが、「鉄の人 エロスの人・林教司」の面目躍如たるものがある。氏のエロスは鉄に支えられているから、重く熱く渋い。しかも十字に縛られたエロスだ。封印とも禁断とも解せよう。実際、「死」の影がムンムンする、匂う。

 一番下の作品は、相当に古い作品だ。作者20代のものと聞いたが、この絵の出来映えたるや、信じがたい年齢での作品だ。「早熟・林教司」という呼称も冠しよう。
 画業の出発から青緑色の棺桶を背負っていたことになる。「背負う」、何て重い行為なのだろう。誰のための行為?知らない。背負わざるを得ない性(さが)としか言いようがない。
 さて、この絵から何十年も経った。何故にかくも古い絵を披露したのだろう?原点の確認ということはあるだろう。その先は・・・、今後の作品を楽しみにしよう。

 それにしても、「古里」という古い言葉で今を画く今荘義男。今という視点で過去の原点を見つめる林教司、好対照の二人であった。



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          ↑:同人・後藤和司、「見つめる時’11」・S20×9枚組。


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 後藤和司は、日本画のような静寂な美を青で表現していた。静かな動きがいっそうその美しさを引き立たせていた。何かしら一点の美学を追究して止まない画家、そんな人だと思っていた。ところが彼は自分を固定的に見られるのを潔しとしないのか、近年はいろんな事に無手勝流的に取り組んでいる。悪く言えば、落ち着きの無い画風の変貌といえる。良く言えば、求めて止まぬ思いの探求である。
 今作も、好きな青の世界ではあるが、時計という具象物を赤裸々に画き、時を表現しようとしている。かつての純粋抽象にこだわってはいない。この作品がかつての抽象そのもので、堂々とした気品漂う世界を越えたとは思わない。しかし、彼は現代人なのだ。今は走り続けようとしている。自己のマンネリズムの打破なのか?新たな世界の生まれいずる迷宮なのか?走りながら画き上げ、確認しては新たな行為に着手するのだろう。この作品傾向も長くは続かないだろう。


 間違いなく④に続く。
 

by sakaidoori | 2011-05-31 23:59 | 市民ギャラリー


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