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栄通記

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2011年 05月 30日

1576)⑥「松本ナオヤ・個展 中島ゼミ展・道都大学(第50回記念展)」 市民g. 終了5月11日(水)~5月15日(日)

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○ 第50回記念 道都大学 

    中島ゼミ展 

型と版をめぐる
    5人と22人の冒険




 会場:札幌市民ギャラリー 
     中央区南2東6(北西角地)
     電話(011)271-5471

 会期:2011年5月11日(水)~5月15日(日)

 【個展メンバー】
 阿部真大 石井誠  松浦進 大泉力也 松本ナオヤ   

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー(5.15)

 1548番①、1555番②、1557番③、1566番④、1570番⑤の続き。
 (以下、敬称は省略させて頂きます。)


・ 松本ナオヤ 個展


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 今展は写真展としての要素が強い。写真を基本にして、パソコンで引っ付け、はっ着け、引き延ばし、切り刻み、最後はシルクスクリーンで仕上げる。(もっとも、今記念展がシルクスクリーン展だから「シルクスクリーンで仕上げる」と書いたが、本当はプリンターなのか、現像なのか、シルク・転写なのかは識別不能だ。そこまで細かく見なかったし、聴きもしなかった。能力不足ということ。)
 私は写真展として見た。

 そこで、松本ナオヤは何をしたいか?


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 「オレは吠える。
  オレは走る。
  オレは見つめる。
  オレはどこに行くのか」

 今展の作品上の眼目は上の3点だと思っている。「自画像展」だ。

 松本ナオヤの学生時代の作品は、ある動きを、別の人間の動きに見立てて再構成していた。シルクという技法と、人間の動きを楽しんでいた。どこか繊細なところがあるのだが、それを隠すかのような遊び心だった。たおやかな線質を嫌い、鉄筆線のような力のこもった線が走っていた。そして、背景にまで意が及ばなかったのか、余白をそのままにしていた。
 「遊び心と、強い線と、人間への関心」、それらが制作の推進力ではあったが、「何を画くか」に関しては保留していた。学生時代という自由さ、制作表現できる楽しさの前で、無意識な「保留」であったと思う。

 今個展も基本的にはその延長だが、様相が一変した。無意識な「保留」が有意識な「保留」になったのだろう。
 繊細さを懐にしまって、あえて強く振る舞おうとしている。柔な遊びから、剛な遊びになった。余白を残すのを嫌い、何でもいいから埋め尽くそうとしている。「何を画くか、表現するか」は見えないが、自分を男ぶり良く晒そう。物事を直視し、あるがままに迫ろう。
 それらの強い意志が、展覧会を強くしている。それでもでてくる繊細さ。それは自己へのセンチメンタルさになっている。それは構わない。男の自画像とはそういうものだ。

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          ↑:「Glitch Image」。



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          ↑:「Tsugal」。

 今回、彼が青森の高校出身だと知った。当地生まれなのかは分からない。
 「津軽」、どうしても太宰治を連想してしまう。東北出身の文化人を思い出してしまう。彼の地の文化人のエッセンスは、強い風土性を器にした繊細さと粘着質さにあると思っている。

 学生時代から今展への変貌は実に良い。今の表現が5年後も残るとは思わない。間違いなく変化する。東北人の自分捜しは永久なるもので、そこを通奏低音のようにして、見る世界を闊歩する。その姿は他地域のマネの出来ない力がある。その力を松本ナオヤにも見たいものだ。


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          ↑:左から 「The Factory」、「カタルシス」、「moon head」。


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          ↑:左から 「Untitled(womon)」、「同(man)」。


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          ↑:「Portrait 4」。



 今回で、当記念展の個展全ての報告を終えました。全ての作家を何がしか知っていたので、全員掲載しました。当初の予定通りに進んでホッとしています。
 紹介した5名の20代の作家達が今後どうなるか、当分は画き進むのは間違いないでしょう。が、5年後、10年後、20年後はどうなるか。たとえ個人としては制作を止めても見る人にはなっているでしょう。たとえ見る人も止めても、一時期の画き続けた意志と意欲と行為は間違いなくあった。
 先は分からないと書きましたが、今後の健闘を期待します。



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by sakaidoori | 2011-05-30 12:55 | 市民ギャラリー


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