2011年 05月 24日
![]() ○ 第26回 北の日本画展 会場:時計台ギャラリー 2・3階全室 ーーーーーーーーーーーーーーー(5.23) (1561番①の続き。 以下、敬称は省略させて頂きます。) ![]() ・ 中野邦昭(札幌)、「道」・変 150×50㎝。 上の写真の左側、青い背景の女性画の作品。(写真をクリックすれば拡大されます。) いつもはかわい系の美人画で、ロマンティック性が強かった。今作、より縦長になり、美女の似姿を通して、向こうの世界に歩み寄りたくなる。久しぶりに見る緊張感の強い作品だ。 ![]() 西谷正史は絵の中にポッカリと抜ける異次空間を描こうとする。もちろん「聖なる空間」だ。 いつもは道の流れを利用して、道の先に何かがあるような描き方だった。悪く言えば「道」を手段として利用していた。道を象徴化し、道の流れの先の視覚幻想としての異次空間だ。 今作、道を利用しているのは同じだが、利用の方向が逆で、しかも道の比重が減った。草原の真ん中に何とかして「異次空間・聖なる空間」を描こうとしている。凄いことだと思う。何にもないところに何かを画家は見つめ、何とかして視覚化しようとしている。草原の持つ不安とか恐怖感とか、そういう情動的なことを求めてはいない。あくまでも抜けた黄泉の世界だ。 しかも、手段は普通の具象風景画だ。空気の中の目に見えぬ空間領域、その探求者・西谷正史だ。 ![]() 絵巻物画家と呼びたい伴百合野。 「鬱怫(フツウツ)」とは難しいタイトルだ。意味を辞書で調べたら、「怫鬱(フツウツ)」ということばがある。気が塞いでむかむかする、という意だ。同意語の重ね言葉だから、逆に書いても同じ意味だとは思う。画家はあえて逆に書いて、逆の意味にして遊んでいるのかもしれない。「気持ち晴朗ににして、軽やか。涅槃の境地」、そんな意味を込めた絵なのかもしれない。 ようやく3階の展示場に行くことにします。 ![]() 光を背にしたその線描は、平面と言うより立体的であった。しかも、いつになくどっしりとしてて、泰山のような安定感と存在感があった。映像と光と線と白生地の「アニマ・シリーズ」、深化する野口裕司だ。 ![]() ![]() ↑:左側 百野道子(札幌)、「漂う」・F50 116.7×90.9㎝。 絵としてはかなり迫力不足だ。 何かにチャレンジしようとして、未だ見えない状態なのだろう。それでも悩む絵ではく、楽しむ絵にしようと念じているようだ。タイトル通り、「漂って」いるのは画家自身だろう。生まれいずる時期として、何かの誕生を待ち焦がれよう。 ↑:右側 熊崎みどり(愛知)、「白い壁」・S40 100×100㎝。 こちらは完成度においてはまだだが、画きたいことに信念を持って取り組んでいる。しかも難しいテーマだ。「壁」にチャレンジしている。見がいのあるテーマだ。 花鳥風月的な世界から、ようやく現在に立った。 ![]() サービス精神豊かな田村直子。 今回は普通に明るい絵なのだが、あまりに手の込まないカラフルさに新鮮な印象だった。 ![]() なかなか粋な絵だ。片岡球子の骨ではなく、風流でお披露目だ。この人の絵には酒がよく似合う。 膝枕 愛でてはすすむ 盃よ。 ![]() とうとう最後です。 蒼野甘夏・作品にほろ酔い、そして妖艶手前の谷地元ワールドだ。花は妖艶になりたそうだが、なかなか妖艶にしてくれない画家である。「生真面目さ」という弱さを持つ人なのか。もっと自由になればといつも思う。今回は小品で軽く楽しませてもらった。 ![]() ![]() ![]() ![]() 会場受け付け付近では日本画の画材紹介コーナー。 顔料は鉱物というのが普通だ。この赤、材料は虫とのことだ。見た目はわらじ虫色だ。これをつぶすと赤くなるとのことだ。昔々のお医者さんが薬草や鉱物で不老不死の試みを随分としたことだろう。この虫の「赤」の発見もそんなところか? あるいは、もっともっと古い昔、この虫を踏みつぶして、「赤」に気付いた古代人がいたのかもしれない。あまりの明るさに驚き、その赤を儀式に使ったのかもしれない。
by sakaidoori
| 2011-05-24 22:32
| 時計台
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![]() 丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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