2011年 05月 24日
○ “FOPPISH GIRL” いままでいま、ここから CHIE 会場:サロン・コジカ 中央区北3条東2丁目中西ビル1F (東西に走る南側。) 電話(011)522-7660 会期:2011年5月21日(土)~5月28日(日) 休み:月・火曜日(定休日) 時間: 5月21日(土) 17:00~21:00 5月22日(日) 14:00~21:00 5月25日(水) ~27日(金) 18:00~22:00 5月28日(土) 14:00~19:00 ※ オープニング・パーティー ⇒ 初日 18:00~ ーーーーーーーーーーーーーーー(5.22) ト・オン・カフェの「妄想展」に続けて、サロン・コジカでの「チエの妄想展」だ。妄想の主人公は「フォピッシュ・ガール(おしゃれ娘、以下「袋娘」と呼ぼう)」だ。 ドアを開けるなり戸惑った。白さで当館を強引に潔く模様替えしている。 その会場風景から始めよう。 白い生地で、作品の場だけを会場から独立させた。シンプルで何てことのない仕掛けだが、淡い白さが何とも心地良い。外光と室内灯との組み合わせが空気をなごませている。主人公は袋娘だ、僕たちにも生地という袋をかぶせたいのだろう。 キャラクターは14年前に生まれたという。沢山画いたことだろう。数を絞って軽く14年を歩き、「今」の大作をメインに見せている。 以下、一個おきの小品、そして大作です。 「袋娘(おしゃれ娘)」、誰のためというのではなく、作家・チエの楽しみ慰みの結果だろう。描きためはするが積極的には人目にさらすことはなかったようだ。 初期と近作には極端な違いはない。背景への画き込みが低下し、一人でも多くの袋娘を画いて喜んでいる。出刃包丁での突き刺しで「殺すぞ~!殺すぞ~!」と、女の子を追いかけている。実にあっけらかんとしたものだ。「漫画だ、妄想だ、沢山殺して沢山生めばいい」とチエは決めたのだろう。飽きることなく包丁は活躍する。 この個展のための大作だ。中味に作者なりの粗筋はあるのだが、それを無視しよう。というか、絵画的な中心点がない。袋娘や全ての人・物は安定的な同一の大きさだから、どこからでも入ってどこからでも出れる。アリが至る所で横断する増殖模様だ。増殖するが重なるという消去はない、しかも中心もない。物語を作者は駆使しながら、起承転結なきフラットな拡散世界だ。始まりも終わりもないエンドレスの物語、「昨日人を殺して、今日殺して、明日も殺す」、怒り騒がず淡々と日々を織りなす。 画家はとても几帳面な人に思える。感情の起伏をある高さで一定に保ち、ゆっくり強く線を引いていく。スカートの面を黒くつぶしていく。物語の流れとは関係なく、一つ一つに集中している。 「殺し」がテーマだが、破壊や暴力性とは無縁な筆致だ。殺す袋娘も、殺される女の子も画家自身なのだろう。自分が自分を殺している。無害この上ない。「殺し」は絵の為の日々の儀式だ。日記を綴るように14年間繰り返された。だから大作の必要は無かった。明日を見据えての「儀式(絵画行為)」ではなかったのだから。 そしてようやくアリの巣のような絵巻物が生まれた。それは巨大な絵日記でもある。 水の入ったコップに赤い滴を落とす。ふぁ~と一様に拡がっていく。だが、赤い滴を落としていけば、水は段々と赤みを増やす。今作はピンク色になったところだ。だが、一様のピンク色だ。濁り淀み起伏はない。大きな物としてそこにある。これからの成長のための記念碑でもある。 袋娘はアメリカン・ハンバーガー・ショップで生まれたようだ。由来は「殺し」ではなく「食べる」だ。殺すよりもリアルだ。 コンピューター等による作品が、色ありで賑々しく展示されている。本会場のモノトーンとは違った屈託のない表情だ。 まぶしい笑顔だ。
by sakaidoori
| 2011-05-24 16:13
| (コジカ)
|
アバウト
丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
検索
最新の記事
ファン
カテゴリ
全体 ★ 挨拶・リンク ★ 栄通の案内板 ★アバウトの写真について ★ 目次 (たぴお) (時計台) 市民ギャラリー (写真ライブラリー) さいとう 大丸藤井スカイホール (ユリイカ) ミヤシタ テンポラリー af 北専・アイボリー CAI(円山) CAI02(昭和ビル) (大同) アートマン アートスペース201 大通美術館 STVエントランスホール コンチネンタル 資料館 門馬・ANNEX 百貨店 (カコイ・ミクロ) 4プラ・華アグラ 石の蔵・はやし (シカク) ☆道外公共美術館ギャラリー (アッタ) 奥井理g. ★ 案内&情報 ★ 訪問客数 ◎ 樹 ◎ 花 ◎ 山 ◎ 本 ◎ 旅・飛行機・船 ◎ 温泉 ◎ 個人記 ◎ 風景 ◎ 短歌・詩・文芸 ☆★ ギャラリー巡り 写真)光映堂ウエスト・フォー (いろへや Dr.ツクール) JRタワーARTBOX ポルト 写真)富士フォト・サロン 道新プラザ 紀伊國屋書店 S-AIR ◎ 自宅 (ニュー・スター) 札信ギャラリー (マカシブ) (自由空間) 真駒内滝野霊園 サード・イアー (どらーる) 区民センター ★★ 管理人用 山の手 富樫アトリエ (プラハ2+ディープ) ★ギャラリー情報 ★ パンフより 創(そう) (オリジナル) ATTIC 美容院「EX]内 ADP 粋ふよう エッセ ◎ 雑記 ★「案内版」アバウトの写真 ☆北海道埋蔵文化センター ☆三岸好太郎美術館 ☆本郷新彫刻美術館 ☆芸術の森美術館 ☆函館美術館 ☆札幌・近代美術館 ☆モエレ沼公園 ☆旭川美術館 ☆北海道開拓記念館 ☆帯広美術館 ☆関口雄揮記念美術館 (☆夕張美術館) ☆(倶知安)小川原美術館 ☆(岩見沢)松島正幸記念館 ☆(室蘭)室蘭市民美術館 ☆北武記念絵画館 ★その他 【道外・関西】 ー [石狩] [ニセコ]有島記念館 [岩見沢]キューマル 他 [音威子府] [深川] [苫小牧]博物館 [洞爺] ☆小樽美術館 市民ギャラリー [美唄] [江別] [室蘭] [小樽] [帯広] [恵庭] 夢創館 【北広島・由仁】 [函館] [夕張] [三笠] [赤平・芦別] 【幌加内(政和)】 (くらふと)品品法邑 (茶廊)法邑 (カフェ)れんが (ブックカフェ)開化 (カフェ)アンジュ (カフェ)北都館 (カフェ)エスキス (画廊喫茶)チャオ (カフェ・soso) (カフェ)ト・オン (カフェ)アトリエムラ (カフェ)サーハビー 槌本紘子ストックホルムキ記 (画廊喫茶)仔馬 (ギャラリー&コーヒー)犬養 Plantation CAFE BLANC(ブラン) - コレクション ■ 複数会場 公共空間 ー ◎ 風景 新さっぽろg. ー ○ 栄通日記 学校構内 ー ◎ライブ路上パフォーマンス 道銀・らいらっく (コジカ) ▲個人特集 (風景)サイクリング・ロード (風景)札幌・都心 A.S.T(定山渓) 趣味の郷 公共空間・地下コンコース 六花亭 ◎今日・昨日・最近の風景 500m美術館 Room11 アルテポルト・ART SPACE サテライト 【2010年旅行記】 【2010年 ロシア旅行】 【海外旅行】 【2012年上海旅行】 【震災跡地2回目の旅】 【2013旅行記】 ◎ 川・橋 OYOYO コケティッシュ ・我が家 レタラ カモカモ 北のモンパルナス チチ クロスホテル札幌 黒い森美術館 Caballer ▲原田ミドーモザイク画 SYMBIOSIS (ハルカヤマ藝術要塞) 群青(2016) チカホ space1-105 100枚のスナップを見る会 北海道市民活動センター 群青(2018) HUG(教育大文化施設) 札幌グランピスタ 大洋(大洋ビル) - 未分類 タグ
個展(242)
グループ展(183) 油彩画(183) 企画展(153) インスタレーション(115) その他(98) 学生展(93) 現代美術(74) 写真(71) 公募展(70) 写真展(59) 総合・複合展(43) 温泉・山・旅行・雑記(42) 彫刻・金属・ガラス・陶(40) 日本画(38) 北海道教育大学(37) 版画・イラスト(31) シルクスクリーン(26) 藤谷康晴(25) 卒業展(24) リンク
○ 美術関係以外
古い日記 (サカイ・ヒロシさんのブログ) ○ 美術愛好家のブログ Ryoさんのイートアート (サカモト・キミオさんのH.P.) 散歩日記V3 (SHさんのブログ) ○ 表現者のブロブ(相互リンク?) Photo Foto Blue (コバヤシ・ユカさんのブログ) 水彩の旅 (タケツ・ノボルさんのH.P.) アートダイアリー (マエカワ・ヨシエさんのブログ) 画像一覧
最新のトラックバック
以前の記事
2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2017年 08月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 02月 more... ブログパーツ
その他のジャンル
記事ランキング
ブログジャンル
|
ファン申請 |
||