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栄通記

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2011年 05月 23日

1563)「JIKKAグラシーズ(里見麻衣 堺麻那) 妄想のぬけがら展」 ト・オン・カフェ 5月17日(火)~5月29日(日

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○ JIKKAグラシーズ
    (里見麻衣 堺麻那

     妄想のぬけがら
  


 会場:TO OV cafe(ト・オン・カフエ)
      中央区南9西3-1-1
       マジソンハイツ1F
      (地下鉄中島公園駅下車。
      北東に徒歩2分。北東角地。)
     電話(011)299ー6380

 会期:2011年5月17日(火)~5月29日(日)
 休み:月曜日
     (作品入れ替えの為)
 時間:10:30~22:00
    (日曜日は、10:30~20:00)
 電話:(011)299-6380

ーーーーーーーーーーーーーーー(5.22)

 (以下、敬称は省略させて頂きます。)


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 「妄想」をテーマもした二人のユニット展。
 里見麻衣と堺麻那は札幌市立大学大学院2年生、その二人による「妄想」展。

 「妄想」を語る前に、目の前の「ヤマアラシ・ドレス」に注目しよう。いったい何本の針を刺したというのだ。その努力こそ、まさに「妄想」の賜だし、表現根性丸出しの粘着精神を褒めたい。「美しさ」、「造型性」においては今少しだが、補ってあまりある労作だ。感嘆に値する。


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 タイトルは「ヤマアラシのドレスが着たい」。
 「ヤマアラシのジレンマ」という諺がある。互いが抱き合って寒さをしのぐ。でも、近づきすぎては傷つくし、離れていては暖をとれない。適度な距離を保つことによって、問題は解決される。「互いを知って、身を慎め」ということだろう。社会関係の処世訓だ。
 作家達は「トゲを全部とって、抱き合いたい」という「妄想」の表現だ。「トゲを全部取る」ということはヤマアラシ」を止めることであり、「名辞」の否定であり、本来の「存在」への回帰を意味しているのだろう。「裸の正直な私」と、それを前提にした「人間関係」がテーマなのだろう。

 しかしである。「針を無限に夢幻に刺し続ける」とは、テーマを追求する中で生まれた方法なのか、針を刺したくてたまらいという日頃の「妄想」の結果なのか? 
 それにしても、男がドレスを覗いて、これほど胸騒がないのも変な話だ。それは、表現者がほとんど男女としての性を眼中においていないからだろう。確かに本展は「女性展」だ。女性らしいムードだ、ドレスがある、女のような足がある、それは素肌だ。だが、同様に「エロス」や「チラリズム」はない。「女展」ではない。

 「妄想」という言葉には概ね二つの意味がからまっているようだ。
 一つは、願望などに結びつく自己本位の価値尺度からなる想像であり夢物語。この場合は、中味を披露してもある程度は他者との交流は可能だ。
 一つは、性とか暴力とか支配を前提にしたいかがわしいもので、反社会性を帯びた欲望ドラマ。

 今展は前者の意味が強く、「自分らしくありたい」とか「他人とうまく関わりたい」というメッセージ展であろう。妄想をキーにした、他人との交流展でもあろう。
 当館オーナーから、「マルシマさんも何か妄想を書いてよ」とささやかれた。僕の妄想は後者が主流だから、ちょっと言葉がでなかった。前者の妄想は、このブログで物語を綴っていることでしょう。


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     ↑:「付け替え可能な足が欲しい」。


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     ↑:「妄想おみくじ」と、「それぞれの妄想落書き」。


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 グループ「JIKKAグラシーズ(里見麻衣 堺麻那)」にとって、今展が何回目かは分からない。「始まり展」、「門出展」と理解した。更なる刺激展を期待しよう。

by sakaidoori | 2011-05-23 11:16 | (カフェ)ト・オン


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