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栄通記

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2011年 05月 01日

1522) ②「’11 第38回 北海道抽象派作家協会展」市民ギャラリー 終了4月12日(火)~4月17日(日)

  
○ ’11 第38回

    北海道抽象派作家協会



 会場:札幌市民ギャラリー 
     中央区南2東6(北西角地)
     電話(011)271-5471

 会期:2011年4月12日(火)~4月17日(日)

 【出品作家】
 同人:甲斐野弘幸(新同人) 今庄義男(岩見沢) 後藤和司(札幌) 佐々木美枝子(札幌) 外山欽平(函館) 名畑美由紀(札幌) 林教司(岩見沢) 三浦恭三(小樽)・・・以上、8名。

 一般:甲斐野市子(札幌) 笹岡素子(江別) 能登智子(札幌) 櫻井亮(初・夕張) 田村純也(初・苫小牧) 横山隆(札幌)・・・以上、6名。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー(4.15)

 (1499番①の続き。)

 個人作品を何点か載せます。

 (以下、敬称は省略させて頂きます。)


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          ↑:同人・甲斐野弘幸、「跫音」シリーズ。


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 ほのかな遊びと静かな心持ちが重なっている。作品は水彩画(アクリルなどの水溶性の画材のみ)の特性を活かして、色が自然に水に溶け込んでいる感じで、音楽が聞こえそう。
 以前からこの「跫音」シリーズを続けている。緑を基調にして同じような世界なのだが、暗く不鮮明で重たかった。「跫音」は画家にとってはベートーベンの「運命」気分を表現したいのだろう。したい気分だは伝わるのだが絵としては観念的だった。
 昨年からムードが変わった。単純に言えば、画家の気分を正直に反映していた。心象絵画だった。子供じみた明るさ伸びやかさがあった。おそらく、身辺の変化の好結果だと思う。悩める画家が一皮むけたのだ。
 そして今年、昨年の盲目的遊びはしっかりした遊びに変身した。その意味では、そのタイトル「跫音(アシオト)」も一考する時期に来ているのかもしれない。



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     ↑:一般・笹岡素子、(無題)・11m×2.5m 立体。

 笹岡素子は「膨れる、飛び出る」、あるいは「妊む、生まれる」をイメージさせる造形作家だ。立体作品という具体的な形をとってはいるが、作品をそこにおいたら作品や空間はどうなるのかを楽しんでいる。その楽しみ方はしなやかではあるが、意外に作品が実体的になったりして、功を奏してない時もある。どうしても女性は物そのものに愛着が強くて、「ただ空間を」になれないからだろう。

 今回は面白い。
 作家のねらいは何なのかは不明だが、意味不明な作品があること自体が面白い。しかも、模造紙を切っただけ、切ったところを立たせただけ、ちょっと工夫してまるめただけ、この簡単・安直な意志・行為・決断が頼もしい。ゴチャゴチャあればいいというものではないのだ。巧の技を見せれば良いというわけにはいかないのだ。
 しかもグループ展だから、他の作品との関わりが生じて、何やら具体的な顔になってしまった。「浪」をどうしてもイメージする。それは仕方がない。
 さて、このシンプルな造形、「膨れる、飛び出る」が優しくとも空間を突き刺させかねない。もう少し先を見ていこう。



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     ↑:同人・後藤和司、「見つめる時 ’11」・S20×9枚組×2。

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 「抽象画」という細密画だ。もっとも、明らかに「時計」と思われる物を画いているから、抽象画とは言い切れない。もっとも、「抽象絵画」を余り厳密に規定していないのがこの会派の特徴だ。「抽象的」要素があれば良いのだ。いや、抽象的気分があればいいのだ。

 それはともかくとして、今作、青が特徴的だ。雑然とした動きの中で、人の知覚を中に中に惹きづり込もうとする粘着力がある。以前も後藤和司は青を得意としていたが、日本画的な静寂美や画品漂う趣があった。技術の秀でた画家だ、その画力を一所で安住させるのを潔しとしないみたいだ。得られた結果に満足できないのだろう。もっともっと「中」を見たいのだ。己の絵の中を見たいのだ。画(雅)品を越えた見える絵の真実!だが、氏の絵は美しすぎるから、画家自身がどう進むべきか思案しているのだろう。その模索の跡が今作だろう。



 (③に続く。)

by sakaidoori | 2011-05-01 20:54 | 市民ギャラリー


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