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栄通記

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2011年 04月 26日

1513) 「第156回テーマ展 北の手仕事 これから・・・」 開拓記念館 1月22日(土)~5月8日(日)

○ 第156回テーマ展

   北の手仕事 これから・・・
  カンナ イカラカラアシ ルウェタパンナ


      {また、あたらしいものを作りました} 
     

 会場:北海道開拓記念館
      札幌市厚別区厚別町小野幌53-2
     電話(011)898-0456
     ファクス(011)898-2657

 会期:2011年1月22日(土)~3月31日(木)5月8日(日)
 休み:平日の月曜日(定休日)、他  
 時間:9:30~16:30
 料金:無料

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー(3.16)

 予定されていた土偶展が、今時の東北大震災の為に中止になりました。中止とはいっても、おそらく来年以降の遅くない時期に開催されると思います。その穴埋めを兼ねて、今展が5月8日(日)まで延長されました。掲載が滞っていたのですが、幸いに会期中に報告できることになりました。
 それでは会場風景から・・・。


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 会場が一望できる。明るくスカッとしていて気持ちが良い。遠目にも古くささは感じず綺麗だ。それもそのはず、一点をのぞいて真新しい複製(レプリカ)だからだ。アイヌ衣服の伝統を学ぶ為に、アイヌによって制作された伝統衣服の複製品だからだ。制作者はアイヌとは限らない。アイヌ衣服に関心がある人によって作られている。この明るさ新しさが本展の第一の印象だ。現在の博物館はビジュアル化に力を入れている。面目躍如たる光景だ。


 ビジュアル化は親しむ展示を心がけるものだ。それが円環展示なのだろうが、今展の真の親しさは、それぞれの作品の作品解説だ。制作動機なり苦労談がある。全てが全て面白いというわけではないのだが、本当に正直な学びの言葉がある。歳を召された女性の言葉が大半だろう、優しく微笑ましい。

 「徳川義親候が着たアイヌ文様の複製です。全体に大変でしたが、曲線とツノの部分が大変でした。それでもこのような作品は、そうそう作れるものではないので、光栄に思っています」

 「この着物の文様は左右対称でないところに興味と魅力を感じ、作ってみたい気持ちになりました。まだまだ下手ですが、楽しみながら制作しました」

 こんな感じです。面白いでしょう。等身大の博物館です。普段の学術専門用語を駆使した解説文つき博物品、それはそれで仕方がないのでしょうが、一工夫二工夫欲しいところです。


 次に感心したのが、しっかりと制作者のお名前があるのです。ここでの制作者は伝統工芸を生業にしている方達ではないでしょう。一般人です。だから名前を出す職業上のメリットはありません。制作者が和人の場合、名前をだされても何ら特別な思いは湧きません。ですが、民族的伝統を学んでいるアイヌ自身もおられるでしょう。特に「アイヌ」と表記をしていないので、読む側は分かりませんが、それでも出品されているアイヌにとっては名前の公表にいろんな思いがあるでしょう。特に高齢の方でしたら尚更です。


 実はこの明るさ親しさ名前の公開などは、博物館の単なる思いつきではありません。博物館が先住民族や少数民族とどう関わるかという今日的問題があるのです。特に、「今」の彼等(先住・少数民族)を語ることが課題になっているのです。今展の場合は「アイヌ文化としての衣服」、その「現在の有り様」に努めているのです。「博物館から古きアイヌを知る」ではなく、「博物館で今のアイヌと関わる」ということです。今展がそれに充分に応えているかは見て判断して下さい。今展が全てではなく、今後も「今のアイヌ」を博物館として問い続け発信するのです。見守り、問題があれば共に悩みましょう。


 今展は「アイヌ文化を学び継承する女性の会(カリプ)・上武やすこ子会長 津田命子世話人」の協力によるものです。
 各地域でアイヌ衣服などを研究しているグループの連合会のようなものです。高齢化などの色々な理由で今展を一区切りにして解散します。「カリプ」は解散しますが、それぞれの会は今まで通りの活動をされるでしょう。


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 ↑:展示中唯一の見本と複製作品のコンビ。
   「カパラミプ(女性用、木綿の晴れ着)」、虎尾ハル氏着用。

 これだけ豊富な木綿地ということで、江戸後期から明治にかけてということになるのでしょう。もし、機械縫いでしたら明治のそれなりの時期になるのでしょうか。






 (個別作品の写真などを追加します。)





 

by sakaidoori | 2011-04-26 09:56 | ☆北海道開拓記念館


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