栄通記

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2011年 02月 25日

1476) 「非連結展 ーEveryone has a meritー Vol.12」・たぴお 2月21日(月)~2月26日(土)

○ 非連結展
   ーEveryone has a meritー Vol.12
     

   
 会場:ギャラリーたぴお
      中央区北2条西2丁目・道特会館1F
      (中通りの西側の郵便局のあるビル。)
     電話・林(090)7050-3753

 会期:2011年2月21日(月)~2月26日(土)
 休み:日曜日(定休日)
 時間:11:00~19:00
     (最終日は、~17:00?まで)

 【参加作家】
 柿崎秀樹 西城民治 能登健一 林教司 藤川弘毅  

ーーーーーーーーーーーー(2.21)

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 (以下、敬称は省略させて頂きます。)


 作品点数は少ないのだが、男の渋さが漂っている。
 一人一人の作風が、意力を外にまき散らすのではなく、結局はブーメランのように自分の方に返ってくるタイプだからだろう。美術作品とは所詮そういうものかもしれない。二本差しで「オレが、オレが」と外に立ち向かっても、いつも自分自身の「何か」に引きずられている。無我夢中の間は向かうところ敵無しだが、時間が経てば進撃が止まり、はたと立ち止まり、廻りを見つめる。そこには自分しかいない。

 一人一人の作風は全然違っている。まさに非連結展だ。永劫回帰の腕振り運動から、マリリンモンロー讃歌のポップ調とあるのだが、なぜか抹香臭く感じてしまった。沈鬱、喜ばしき沈鬱展だ。


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     ↑:柿崎秀樹

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 技法的にはフロッタージュかどうかは分からないが、気分はフロッタージュそのものだ。まさに肉体の表面の「シワ」なり、体から発する「気」をつかみ取り、陽炎のように立ち上げる。自由運動のように腕は反復を繰り返し、こすり取ってはは壁に貼り付け、貼り付けては擦り付け・・・、はたと我に返って、描いた紙を握りつぶしては「壁」に殴りつける。突き進む怨念。
 作家の動く行為と止まる美術が連動していて、静かな興奮が涌いてしまった。作家の充実したコンデションを感じる。


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          ↑:西城民治。過去の作品。

 作家は過去の作品を時系列的に当館グループ展に出品している。今回は最終期の「狭い意味での現代美術」と題されている。

 不思議なものだ。決して柿崎秀樹作品を意識しての出品ではないのだが、上手い具合に呼応している。
 この作品は一種の鎮魂譜だろう。その視線はアメリカ合衆国を向いている。銃痕を残す米国に、「もうそろそろ静かにしなよ」と、言っている見たい。その同じ視線がまろやかに柿崎・魂に語っているよう。「どこまでもどこまでも、立ち上がれ・・・、立ち上がれ・・・」。


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          ↑:能登健一

 場つなぎのように、そこにモンローのポスターがある。モンロー、そこにいるだけで微笑みたくなる。永久の象徴のようにモンローがある。


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          ↑:藤川弘毅


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 どうも袈裟姿の坊さんが連想されて困った。阿弥陀号の坊さんが、強者どもの死骸が散らばる野を歩いている。弔われることなく逝った人への供養だ。
 球が数珠に見えるからだろう。廃棄物で成り立っている作品、朽ちた物達が何かの力で束ねられ、一時の化身に見えるからだろう。
 「数珠一つ 南無阿弥陀仏の 声すなり 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏」


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     ↑:林教司


1476) 「非連結展 ーEveryone has a meritー Vol.12」・たぴお 2月21日(月)~2月26日(土)  _f0126829_11125896.jpg 中央の小さい真四角2点が新作で、他は既発表作品。

 新作にまつわる話、茶色にまつわる話などなど、技法の苦労談だども聞けれたが、全て割愛。作品感想に徹しよう。

 新作はまだ生っぽい感じで、試作と言った方がいいだろう。原点回帰、再出発だ。

 原点回帰とはいっても、展示された旧作は林教司らしい秀作だ。
 筆跡を残さない一様な赤茶色、裸体と性器を連想してしまう膨らんだ絵画、封印するかのような番線による十字しばり、全ては女体の肌での物語だ。

 エロスを表現している、なのだろう。
 限りなき女体への賛美と鎮魂歌には違いない。が、どこか冷めた空気、相手を客体・物にしかねない距離感を思う。それは美術行為の性かもしれない。音楽や演劇の同時進行性の中での歓喜やエクスタシーとの違いだろう。長く相手を見つめ、溺愛直前の絵描きがいる。見つめる対象を客観視せざるをえない林・美術、エロスの彼岸?そんな林作品の魅力を思った。

by sakaidoori | 2011-02-25 13:40 | たぴお


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