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栄通記

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2011年 02月 21日

1470) ②「2011 第4回 道展U21」・市民ギャラリー 終了・2月10日(木)~2月13日(日)

○ 2011

   第4回 道展U21 

  
    
 会場:札幌市民ギャラリー
     中央区南2条東6丁目
     (北西角地)
     電話(011)271-5471

 会期:2011年2月10日(木)~2月13日(日)
 休み:月曜日(定休日)
 時間:

 主催:道展

ーーーーーーーーーーー(2.10)

 (1457①の続き。)

 第2室以降の記事です。

 4部屋に区切られた第2室に今展の最高賞や優秀賞が続々と展示されている。特に、第1室を見終わったすぐの隣室が、最優秀展示場という趣だ。

 ここで困ってしまった。部屋全体のムードが暗いのだ。これはどうしたことか?
 いわゆる具象表現力というか描写力は確かに高い。高いのだが強烈な色が少ない、派手さがない。具象描写に重きを置くと、色に対して心が大きく開かないのだろうか?


 何はともあれ、最優秀室の風景です。

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     ↑:中央の1点展示が、U21大賞・北本晶子(札幌開成高校)、「NEKOMESHI」。


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     ↑:左側 優秀賞・千葉美佳、「球の内」。

 ノドチンコの上に大事な宝石が載っかってしまった。「サー、どうしよう」と、興奮して体が燃える燃える黄色く燃える、絵筆が止まらない!
 あるイメージが浮かんで、それを下地に描き始めたら、グイグイ・グイグイと球を中心にして終わりなき絵画の世界に没入したみたい。無我夢中な感じが良い。


     ↑:右側 北海道新聞社賞・大門夕莉(札幌国際情報高校)、「Sweet Taste」。

 この絵には困ってしまった。この高校の校外展で既に見ていた。学生自身の説明文に反して、冷たい絵だった。全体が青みがかっていた。描かれていないショー・ウインドウのガラスが、作品と見る人を冷たく隔てていた。学生が断っていたように、未完成だったのだ。
 今作、冷たさはどこにもない。熊の縫いぐるみが暖かく収まっている。作成途上の未完成作品と完成作品とのあまりの違い、180°イメージが逆転してしまった。絵とはそういうものなのか?絵とはそういうものなのだろう!
 大門夕莉、勉強させてもらった。彼女はまだ2年生だ。来年はしっかりと見よう。

 (国際情報高校美術部校外展は②に続くで途切れています。近々書く予定ですので、その時に未完成作品とこの作品を同時掲載します。)


 この部屋は確かに皆な上手い。一切構わず好みを2点だけ載せます。高校生でないのが不本意なところです。


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     ↑:左側 STV賞・永川美保(札幌大谷大学短期大学部)、「さらば就活生、こんにちは社会人」。

 タイトルに反して、これからのサラリーマン(社会人)生活には夢が無さそうな表情だ。それでいて街の風景はふわふわ気分で軽く明るい。「社会生活、夢はないかもしれないが、小さな幸せはあるだろう。街もビルもそれなりに暖かいじゃないか。マッ、イイカ」
 そう、ケ・セラ・セラさ、人生は。絵描きさん、そんな気分を上手く描いているよ。


     ↑:右側 優秀賞・大谷九重(札幌デザイナー学院)、「花を受け入れた人」。

 この部屋全体が少し重いので、こういう絵はホッとする。
 タイトルから判断すれば、求婚を受け入れた人なのか?その割にはちょっとおすましさんのようだ。厳粛な気分を表現したかったのだろうか?
 七色のレースのかぶり物、蝶々のような花のような生き生きさです。



 さて、会場全体からランダムにお気に入りを載せます。10点を目標にします。


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     ↑:優秀賞・田村陸(おといねっぷ美術工芸高校)、「海景」。

 森本めぐみ風の華やかさと、三岸好太郎風の詩情を思った。そして少し夢見心地。これに何とはなしの不思議さが醸し出されたら。
 とにかくカラフルになったのが良い。宇宙の青から、海の青に取り組んでいる。同じ青でもきっとどこか違うだろう。海を描けば、どうしても水平線を描くことになる。空の部分を少なくして遠くに見せ、陸地を強く見せる構図だ。遙かなる水平線。空は七色、そこに鳥が飛ぶ。陸地は楕円形生物がうようよしている。
 見た目の生き物以外に、どこを切り取っても微生物が充満しているようだ。何かをはっきりと描こうとしている。何かを具体的に見ているのだろう。自分を取り巻く空気、見果てぬ空間に、今まではオンブされている感じだった。随分と脱却したものだ。


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          ↑:優秀賞・室谷優歩(札幌大谷高校)、「あっかんべー」。

 顔の汚れ感、表情、仕草、いいですね。こういうリアリズムは大好きだ。何一つ嘘はない。だが、これだけクローズ・アップされると嘘の塊で、嘘から出た誠だ。こちらも涙がでそうだ。


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          ↑:奨励賞・大橋リサ(北海道登別明日中等教育学校)、「春色」。

 けれん味なくイチゴだけを描く。上手くイチゴの形が描けたか?上手くイチゴの色が描けたか?上手く美味しそうなイチゴが描けたか?大きな大きなイチゴは、明るい春色を伝えたか?
 細かいことはよそう。描き手の大きな気分に拍手しよう。


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          ↑:奨励賞・高橋瑞穂(札幌東陵高校)、「手花」。

 さわやかな気分になる。
 個人的にはリアルな手がない方が好きだ。でも、描き手は自分の手にうっとりしているのだろう。ナルシストになっている。そこが人の手のさわやかさを求める僕の視点と、描き手の自分の肉体的美に惚れ込んでいる姿との食い違いだ。ナルシストには負けそうだ。


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          ↑:奨励賞・濱里楓(札幌旭丘高校)、「明日へ」。

 道の向こうに明日を見据えて、そこをしっかり描く、信念を込めて描く。リアルに強く描く。
 縦長の構図は上昇気分だ。
 地平線はかなり下方にある。空を広く取り、その存在を強調したいのだろう。
 視線は下向きになる。顎を下げ気味にして、強く前を見る。
 意外に道を大きく描いてはいない。道そのものよりも、道の途絶える消失点を見定めている。
 
 僕は道の向こうを描いた絵に興味を持つ。それは単なる風景のはずだ。だが人は突き進む方向に何かを思い感じる。それは人の性なのだろう。道を見つめる学生の作品を記録しておこう。


 (続けて③を書きます。)

by sakaidoori | 2011-02-21 09:06 | 市民ギャラリー


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