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栄通記

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2011年 01月 30日

1444)「CHAPTER ONE・写真展 岸野友遊 菊池弘樹 板垣祐作 高橋遥」・創 1月26日(金)~1月31日(木)


○ CHAPTER ONE・写真展

  岸野友遊
  菊池弘樹
  板垣祐作
  高橋 遥



 会場:ギャラリー創(ソウ)
     中央区南9条西6丁目1-36
      U-STAGE・1F
      (地下鉄中島公園駅から西に徒歩5分。
      南9条通り沿いの南側。)
     ※駐車場は2台分完備
    電話(011)562ー7762

 会期:2011年1月26日(金)~1月31日(木)
 休み:火曜日(定休日)
 時間:10:00~18:00
     (最終日は、~17:00まで)

ーーーーーーーーーーー(1.29)

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専門学校・札幌ビジュアルアーツ写真学科現役1年生男女二人、2年生男子一人、OB一人、合計4人のグループ展。

 それぞれの撮影者はしっかりと自作を語って意いた。写真を学ぶ意識、取り組む姿勢が高いのだと思う。気持ち良い会話ができた。
 会場で述べた感想の焼き写しになるが、以下、会場入り口順番に書いていきます。


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     ↑:1年・高橋遥、「古い家/生命線」。


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 今展のメンバーでは唯一の女性、だからかどうか物語性が他よりも強い。リズミカルな展示で独自性を出している。
 「古い家」とは自分がかつて住んでいた所だ。だから「過去の思いで」が出発点で、そこに着目しつつ「今という生命」が主旨のようだ。

 「古い家」という現場の臨場感を伝えるというよりも、そこでの断片を切り取ってスタジオなりで再構成して、ある種の叙情的雰囲気を伝えた感じ。
 展示作品を見る上では、流れにもうすこしメリハリがあった方がより物語的だと思った。作品の大きさに変化をつけたり、スタジオ的な作りを感じたり、写真加工などからそう思ったのだろう。今思うに、大きさは単なる装飾やレイアウトで、一つ一つの作品に軽重はないのだろう。だから、これ見よがしに目立つ作品を作りたくなかったのだろう。
 作るという物語性と、被写体を愛して生まれるイメージ世界、その絡み合う世界は個展向きの人と思った。個展向きだが、一点を魅せる強さというか個性がひ弱な感じもした。きっと今回は遠慮があたのだろう。


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     ↑:1年・板垣祐作、「prologue/dialogue」。

 意味深なタイトルだけに、その作品構成を一つにまとめて語るにはなかなか言葉がでてこない。

 撮影者は「風景」キャッチ能力に優れているようだ。何にでも反応して、直ぐに自分の世界に切り取ってしまう。この「何にでも」が困ったもので、見る方としては的が絞りづらくて困ってしまう。的を絞らないということも撮影者の意図だから、こちらのとまどいも仕方がない。

 思うに、撮影者にとって風景は方便で、「風景」に拘って欲しくないのだろう。世界との交信として風景があり、風景の窓口としての写真の切り口がある。「そこを見れ、そして撮影者・板垣祐作の感覚と対話をしてくれ」、そういうことなのだろう。被写体の鑑賞ではなく、被写体という切り口との対話なのだろう。
 その思いは素晴らしい。強情な美学の持ち主だ。だが、彼自身が「風景」との対話に未知数な所が多いとも感じた。多感ではあるが深度が不明だ。展示は結論でなく過程でもある。もう少し幅を狭めて対話の幅を絞ってはどうだろう。そのことが撮影者自身の「世界」との対話の深化に繋がると思う。その積み重ねの結果として、全方位的なとらえどころのない本格個展だ。「prologue/dialogue」(序章・入り口/対話)としての板垣・感性とのしっかりした対話が始まるのでは。

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 絵画的造形性や、「ドア・すき間」などの象徴性をバシッと取り入れた強い作品群だ。



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          ↑:OB・岸野友遊、「Structure」(建造物)。

 主旨・主張が明快で分かりやすく楽しい。都会大好き、建造物大好き、ジェームズ・ディーン大好きだ。
 背景に空や雲などを入れず、被写体を枠一杯にはめているのが好ましい。ますます、「これを見ろ」という一点集中主義だ。

 建物は直線という輪郭線・機能線・合理主義精神が王者だ。それでは人が住むには味気ない、だから曲線も意図的に組み込まれもする。いわゆる遊びだ。
 都会という合理精神に遊びなどまっぴらゴメンだ、というのが今展の撮影者の意志だ。そしてその反抗者としての「理由なき反抗=ジェームズ・ディーン」の登場である。彼は直線なんか嫌いだ、という理由ある反抗で若者の支持を得た。ということは、撮影者・岸野友遊君は曲線満載の、輝けるロック青年独り立ちの世界も大好きかもしれない。次はもっと肉感的な作品で勝負するかもしれない。

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 ドアという覗き窓、カメラのシャッター・アイのような螺旋風景、栄通お気に入りの風景だ。



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     ↑:2年・菊池弘樹、上は「Dear」 下は「壁を前にした女」。


 白黒の強さ、自然と人、静と動、あの世的な静寂と現世の遊び、そんな諸々を二グループで表現している。なかなか見事だ。風景写真は精神性を帯びている風にも見えるが、そうではないだろう。2項対立構図の中から生まれた流れだろう。撮影者の目配りの広さの結果だと思う。そして、メインは女を撮った写真群と判断した。

 作品は白黒明快だ。それを貫くのは心象性ではなく遊びだ。本当は「女」の魅力を直接に表現したいのだが、女を引き立たせる為に壁や影などという間接技で勝負だ。しかも、女を引き立たせない為にインパクトの強い自然写真だ。面白い撮影者だ。女を見ていると、いろんな夢が飛び交うのだろう。それを種にして写真の世界で拡がって遊ぶのだろう。
 学校の卒業展にも出品するとのこと。8日からの資料館、18日からの富士フォトサロンです。ヌードとのことだ。乞御期待!!


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 帰り際に4人の記念写真。
 これが面白い。自然体の人、視線をわざとあらぬ方に向ける人、グッと力強さを目に溜め込む人、人の良い笑顔の二重まぶた、意外な不揃いのリンゴ達だった。
 是非是非、今後ともグループ展個展と開いて欲しい若者達でもあった。

by sakaidoori | 2011-01-30 17:26 | 創(そう)


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