2010年 12月 24日
○ YUKO個展 コトノハエマキ 会場:ギャラリーたぴお 中央区北2条西2丁目・道特会館1F (中通りの西側の郵便局のあるビル。) 電話・林(090)7050-3753 会期:2010年12月6日(月)~12月11日(土) 休み:日曜日 時間:11:00~19:00 (最終日は、~18:00まで。) ーーーーーーーーーーーー(12.07) (以下、敬称は省略させて頂きます。) 明るい、楽しい、元気がいい。見ていてすっきりした。 YUKOの場合、「見る人に元気を」ということが展覧会目的の一つだ。その点では相当に成功している。色が部屋一杯に拡がっている。雪だるまというキャラクターに関わりなく絵画として見せている。 ところで、僕は彼女の中に、以下のような課題を見ている。 一つは、雪だるまというキャラクターにおもねらないで、「絵画」にすること。 一つは、「雪だるま」というキャラクターの絵画の中での位置づけ。 一つは、「絵画」と「キャラクター」との関係。 一つは、「単作」としての表現と、組や対の「流れ」、あるいは起承転結による「物語」としての表現。 一つは、ポエムとしての「言葉」と絵画との両立。 今まで展覧会との違いは「言葉の見せ方」にデザインを取り入れたことだろう。言葉のキャプションが飾りとなった。その分、会場が華やかになった。読みたい人は読み、読む気のない人にとっても邪魔にならない存在になった。それは、言葉はどうしても会場に残したいが、絵画作品を中心に構成したい、という作家の意思であり、絵画に対する自信であろう。僕は、この「自信」が何より好ましかった。画家になったと思う。 ところで、このデザイ過多なキャプションは新たな課題を生んだ。YUKOにとっての「絵画」と「デザイン」との関係だ。 というか、もともとキャラクター作家としての画家がいたのだから、表現としてのデザイン性を考えないといけなかった。だが、「本格的絵画」修得に一所懸命だった。キャラクターと絵画の関係ばかりを追っかけていたので、無意識に「デザイン」を処理していたと思う。 いや、はっきり言えば、絵画とデザインは相反するところがあるから、その関係を無意識に避けていたのだろう。それは組作品を見ればわかる。雪だるまを利用した「流れ」によるムードはあるが、「物語」は乏しい。「絵本作り」の原点にはなっても、「絵本」の原画にはなれない。 つまり、余りに一枚一枚の絵が安定していて完結している。「絵画」だからそれでいい。となると、「雪だるま」というキャラクターは何なんだろう?もし絵画に徹するならば、「雪だるま」は、まさに雪のように消えてもかまわない。絵画修行の良き伴侶のようなものだ。 「雪だるま」を恋しているのならば、もっともっと彼を自由にせねばならないと思う。 表情の無い雪だるまだ。笑って描かないで、絵として笑わせたいのだろう。ならば絵として苦しい「雪だるま」もあろう。友達の好きな雪だるまだ・・・(それは友達恋しい画家の反映かもしれない)・・・「遊び」という展開が多い。何故もっと雪だるまの人生を語らないのだろう。恋もし、失恋もし、何かに苦しむ喜怒哀楽の雪だるま。 そういう作品を描きたい作家かどうかは知らない。ただ、キャラクターを描くわけだから、物語性も描けるようでは見ていて面白くない。そうなると、「上手い絵画」とは、今までの絵画修行の質とは様相を変えると思う。油彩的質感とは異なる、デザイン的なフラットな面があってもいい。極端なデフォルメや線描も登場してもいい。そこでは安定美は崩れるかもしれない。だが、不安定な動きや心理、開放感や音楽が生まれるかもしれない。 要約します。 絵は上手くなった。そして、本格的に「雪だるま」と対話できる時が来た。 雪だるまを絵画の手段に使うのか。あるいは、雪だるまを作家の心から解放させるのか。 「愛と友情」という良き関係のみの雪だるまか。「喜怒哀楽」、何でもありの雪だるまか。 (後ほど、単作品を載せます。)
by sakaidoori
| 2010-12-24 21:39
| たぴお
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丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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