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栄通記

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2010年 12月 22日

1404) CAI02 「さっぽろフォトステージ 2010 (13名の写真家展)」 終了・10月27日(水)~11月13日(土)

○ さっぽろアートステージ2010
        特別参加事業


   さっぽろフォトステージ 2010


 会場:CAI02・raum2&3
    中央区大通西5丁目 昭和ビル・B2 
    (地下鉄大通駅1番出口。
    注意⇒駅の階段を下りてはいけません。
        昭和ビルの地下2階です。)
    電話(011)802-6438

 会期:2010年10月27日(水)~11月13日(土)
 休み:日曜日・祝日
 時間:13:00~23:00

 【参加作家】
 アキタヒデキ 浅野久男 ウリュウユウキ kensyo 小室治夫 酒井広司 佐藤史恵 菅原英二 竹本英樹 露口啓二 畠山雄豪 藤倉翼 メタ佐藤

ーーーーーーーーーーーーーーー(10.28)


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 写真という風景。写真が「何かを写す」のだから、全ての写真は「風景写真」であろう。被写体がそこにあり、その被写体に全幅の信頼をおいて写真は成り立つ。
 被写体、それは撮影者にとっては「愛と憎しみ」であろう。
 「愛と憎しみ」、固い言葉だ。相手に対する「好き嫌い」と言い換えてもいい。あるいは、「止むに止まれぬのっぴきならない関心」と言ってもいい。「相手」を目に見える物と決めつける必要はない。「宇宙」から、「心の中」まで数限りなく存在する。

 今展、それぞれの撮影者の「恋」した「風景写真」だ。ギラギラすることなく、無関心を装うこともない写真群。「写真」が縁で交じり合った人達だ。作家の組み合わせに必然性はないだろう。見る人の共感を生んだか?それはわからない。共感を欲している作家達と判断したが「共感」よりも「自感」を優先しているみたいだ。いや、確実なる自分から出発するしかないのだろう。そういう意味で、安易には共感できない作品群だ。共感はできなくても楽しむことはできる。以下、僕の楽しんだ言葉だ。


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          ↑:kensyo

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 「ロマンというエロス」作家・kensyo(ケンショー)だ。
 「エロス」は性行為を前提にしている。それは「ヒト」の性(さが)だ。
 「ロマン」とは「恋に恋する姿」だ。男の性だ。

 今展、特に上掲の2枚の作品が良い。女性がまったくの「モノ」になっている、「人形」になっているのが良い。
 生命なきモノが井戸という穴に落ちそうだ。逆に、むくっと振り返って自動運動を始めそうだ。
 徹底的に女をモノにすること。そのモノが止まっていて動き始める。そこからケンショー・ロマンが始まる。哀しき物語を奏でながら。


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          ↑:メタ佐藤

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 いつもひねった道具仕立てで小難しく語る撮影者だ。
 今回、とてもシンプルに、そして美しい写真なのでホッとした。助かりもし、安心もした。
 6枚の写真。組になっている。3枚の花が一組。3枚の人物が一組。その両者を対比して見ても良いだろう。あるいは、「人と花」の上下一組で見ても良い。
 特筆すべきは花の美しさだ。その立ち姿は、どうしても擬人化してしまう。美しき花と、物怖じしない変なおじさんの組み合わせ。キュッと引き締まった存在感を主張している。「メタ」という主張と今展の存在感がどう繋がるのかは分からない。


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          ↑:佐藤史恵

 当館で、何ヶ月か前に彼女のインスタレーションを見た。対象をシンプルかつストレートに見て、大きく見せる人と思った。
 今展、ボヤケて見せているので意外だった。作品は家族と自画像か?どういう意味でのボヤケだろう?何かの自分捜しの一里塚なのか。ボヤケという意図的不鮮明さと、どうしても対象をバシッと見せたいという体質と、その両者のパワーの産物のよう。闇があってカッコは良い。真一文字の力勝負写真を次は期待しよう。


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          ↑:アキタヒデキ

 無手勝流の元気良さだ。写真は分厚くニスでも塗ったような仕上げ具合だ。

 「風景」から何を奪いたいのか?このエネルギーは単に写真を撮っただけでは満足しないだろう。
 風景を見るだけでは足りない。歩くしかないだろう。写真の旅は、自家発電的な盲目の旅になるだろう。
 写真のタイトルは「北海道」とか、アイヌ地名を冠した身近な風景のようだ。「オレはチャンと足下を見ている」ということか?足下なんか見なくていい。そんな綺麗事で、そのエネルギーは満足するのか?


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     ↑:藤倉翼、左から・「Parade」 「Snow Festival」。

 優しさというオブラートに包まれた不思議な写真を撮る藤倉翼。だが、そんな僕の先入観をあざ笑うように、「戦争物」を出品した。

 陸上自衛隊のパレード写真、そこには勇壮に戦車が走り、観客は堪能している。
 一方の「雪祭り」は自衛隊の制作物か?少なくとも見る方に、そう誘導している。軍隊が作った遊技で遊ぶ子供達。
 それは反戦ではないだろう。社会批判でもないだろう。今展の藤倉翼の「風景」だ。



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          ↑:菅原英二、「VOYAGE」。

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 重たい雰囲気の作品だ。
 撮影者のコメントが優しく不気味だ。

 「いろいろな旅をしてきた。
 長い時間をかけ、沢山の街を経由して、辿り着いた日常もあれば、いつも通っている道を1本外れただけで突然現れてくる非日常もある。
 12月26日の朝、・・・ハンバーガーを買うつもりが、銃弾を買ってしまい友達を誤って撃ち殺してしまった男・・・」

 映画のような話だ。おそらく実話だろう。
 ハエに旅人の仮の姿を想像してしまった。


 例年開かれている写真展。今回は紅一点の参加もあるが、なぜだかいつも男っぽい写真展でもある。
 半分だけの紹介で終わりました。
 来年も楽しみにしています。

by sakaidoori | 2010-12-22 22:03 | CAI02(昭和ビル)


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