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栄通記

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2010年 12月 17日

1394) たぴお 「PERFECT RAINBOW 15 (8名参加)」 12月13日(月)~12月18日(土)

○ PERFECT RAINBOW 15

   
 会場:ギャラリーたぴお
    中央区北2条西2丁目・道特会館1F
    (中通りの西側の郵便局のあるビル。)
    電話・林(090)7050-3753

 会期:2010年12月13日(月)~12月18日(土)
 休み:日曜日
 時間:11:00~19:00
     (最終日は、~17:00まで。)

 【参加作家】
 片山亜耶 神野茜 西城民治 タカダヨウ 西岡秀徳 能登健一 林教司 藤川弘毅 横山隆
   ・・・以上9名

ーーーーーーーーーーーー(12.15)

 久しぶりの当館グループ展の感想記です。

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 たぴお・グループ展の総合タイトルは個別作品と関係ありそうな無さそうな、ちょっといい加減なところがある。そんな他者の意見を逆手にとるように名前を変えながら続けていて、それはそれとして見続けていると、作品の関係性や全体のムードの意外性が醸し出されたりして、摩訶不思議な思いがする。

 今展の全体のイメージは「意味不明の明るさ」と言いたい。ノーテンキなハッピー作品がある、故人を偲んだ作品、ミニ回顧展第一弾として今展を利用した作家もいる、色や古物で遊んでいる人、落書き調のポップさが高じてエンジン点火準備中の作家、二〇代の若手から超ベテラン、いわゆる老若男女のそろい踏みだ。

 大きく偉大なるものを期待する人には不向きですが、小さな可能性を楽しむ美術ファンには悪くはない。

 (以下、敬称は省略させて頂きます。)


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     ↑:藤川弘毅

 これはホントに面白く、ベリーベリー・グッドだ。「アラジンの魔法のランプ」ならぬ、「トタン板を吐き出すタピオ廃品壺だ。ついニンマリしてしまう。こちらもお尻の穴を開けて対抗したくなるが、今回は負けそうだ。


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     ↑:西岡秀徳、「招き猫」。

 月並みなご挨拶ですが、来年も互いに楽しく励みましょう。


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     ↑:西城民治。「自選展・第一弾 普通の具象画の時代」・二十歳台前半の頃の作品群。

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 作家は現在60代、40年以前も前の美術習作の展示だ。
 おそらく年代順だと思う、自選展を5回ほど続けられるとのことだ。この自己企画は面白い。誰かに積極的に開陳しようというより、自分のよすがを顧みようとするものだろう。作品がどうのこうのというより、こういう発表姿勢が実に良い。作家はじっくりと原点、歩みし道をみつめるのだ。愛着し捨て去る、問題は「今」にある。


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     ↑:片山亜耶、「無償」。


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 元気な若き女性がたぴおに初出品だ。

 落書きからポップにアニメに。更に更に愛と性の絡み合い、血と情念の悶えを期待しよう。
 今作、まだまだ温和しいと思う。何処かの誰かに遠慮気味だ。大噴火、大爆発を体験したらいいのに。こういう作風は過激な失敗のみが王道ではなかろうか。期待しよう。


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     ↑:タカダヨウ

 今年の春頃だったか、ギャラリー・アートマンのグループ展で初めて彼の作品を見た。スタート展的なところがあって、どこかセンチでひ弱さを感じた。だが、精力的に発表していて、間口が拡がっている感じだ。ドロドロ感、濃淡も出てきて面白く見ている。作品が少し小さいのが気になるところだ。小ルームでのグループ展出品が多いからなのだろうが、やはり物足りない。

 今展、いろいろなパターンで軽く不思議にたぴお初出品だ。「性」を原点にしていると思う。来週からの当館での長期グループ展(「異形小空間・展」)にも参加する。楽しみにしよう。


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     ↑:林教司、「今井和義のうただよりから」。

 現代アーティストであり、歌人でもある今井和義さんを偲んでのものでしょう。命日はしかとはわかりませんが、この時期なのでしょう。


  あけましておめでとうございます。お元気でしょうか。ぼくは生存しています。
  さて、一部の方はご存じでしょうが、最近ぼくは短歌にハマっています。
 自分で詠むようになるとは思っていませんでした。・・・


 「うただより」創刊号の巻頭辞だ。
 短歌の近作として12首を掲載している。〈二〇〇〇年一月〉とある。創刊もその月なのだろう。縦A4サイズ縦書き一枚という形式だ。とくに「創刊」と題してはいないし、気軽なノリでスタートしたようだ。2号より横サイズになったが、それ以外は最終100号まで同形のスタイルだ。各号の発表美は不明だが、続編としての「短歌雅報 1」が2003年1月だから、おおよその発行時期は推測できる。


 創刊号から12首から。

 ・ぴ・ぴ・ぴ・ぴ雪掻き促す目覚ましに逐われて佇てりドカ雪の中 (第一首)
 ・銀河系すみっこの街一人ぽつん仕事する君だから会えない (第二首)
 ・昨年(こぞ)の今日も君とわれとは高田屋で酒を飲んでた話をしてた (第三首)
 ・・・・
 ・草枯れしショートブーツで圧雪路(ゆきみち)をペンギンのごとよちよち渡る (第十一首)


 何てことのない歌だ。十一首目の作品は「NHK歌壇」ようなので一番の苦労作とのこと。「よちよち渡る」がお気に入り。自分を見ているのだろう。


 それほどとも思えない歌力ではあるが、最終号の「現時点での自選二十五首」には目を見張るものがある。研ぎ澄まされた精神というのであろう。
 冒頭から何首かを載せます。


 ・陽だまりは猫二匹ぶん射しておりミニサボテンが欠伸している
 ・言の葉は電波となりて浮遊する空一面の砂塵
 ・満たされぬ飢え持つ鴉ひもじくて飽きることなく嘴を研ぐ
  ・・・

 実は短歌の表現力が著しく向上したのだが、うただよりを読み進んでいくと、氏の文芸にたいする思い入れの深さに魅了されてしまった。おどらく、短歌の個人レターを出し続けるうちに言語表現者に目覚めたようだ。おそらく晩年は美術家よりも文芸評論家として活躍したかと思う。

 短歌で故人を偲びたいが、今はその余裕がありあません。
 「今井和義」、会う機会を逸した人であった。

by sakaidoori | 2010-12-17 00:38 | たぴお


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