栄通記

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2010年 10月 10日

1385) 市民ギャラリー 「第52回 学生美術全道展」 終了・10月2日(土)~10月6日(水)


○ 第52回 学生美術全道展

 会場:札幌市民ギャラリー・1階全室
     中央区南2条東6丁目
     (北西角地)
     電話(011)271-5471

 会期:2010年10月2日(土)~10月6日(水)
 休み:月曜日(4日)
 時間:10:00~17:00
     (最終日は、~15:30まで)

 主催:全道美術協会 北海道新聞社

ーーーーーーーーーーーーーーー(10.6)



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 高校生の絵画を中心にして見た。元気で極端な絵画が好きだ。そういう僕好みを中心にして掲載していきたいと思います。


 その前に全体の印象です。イラスト的な作品やユーモラスな作品が少なかった。ヘタウマとかそんなことではなくて、構図などもろもせず、画質もイマイチなんだけど、描かずにはおれない自分の感性、青年の強い気持ちが伝わる作品がもっと見たかった。上手で温和しい作品群だった。

 おといねっぷ高校の作品が沢山あった。入賞者も29名中9名だ。高い目標を掲げて、学校全体で今展に取り組んでいるのだろう。美術専門高校だから当然といえば当然なのだが、素晴らしいことだ。ただ、絵画に関していえば、様式美が強すぎるようだ。光の取り込み方、色の配置、作品の目立たせ方、クロ-ズアップ手法、描き手の目線等々、見ていて関心もするし楽しい。高い技術ではあるが、単純に言えば公募展受けする絵が多い。知名度を上げるための実績づくりという、切実な問題もあるとは思う。この技術に、学生個々の「個性」を花開かせて欲しいものだ。

 さー、好きな作品から載せていこう。


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     ↑:北海高校3年・佐藤拓実、「酔生無私」。

 細かい点描だ、できあがりはタコのおっとりした姿だ。細部のエネルギー充満と、全体の存在感がなんとも心憎い。タイトルも良い。高校生なのに酔い心地の昇天気分がよく分かるものだ。
 夏目漱石は「則天去私」などと、まさにインテリ気分でこざかしい名セリフを吐いた。彼に佐藤拓実青年のような遊び心があったならば、日本文学の箱庭的神経質さも、もっと早くにおさらばしていただろう。
 何の賞もない。原因は、版画で似た作品が北海道新聞社賞をいただいていたからです。オメデトウ。


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     ↑:優秀賞 札幌南高校3年・藤木聡世、「浮遊する18歳」・・・(工芸)。

 切り絵です。人物は輪郭は太く、骨格は細く鋭くと使い分けている。研ぎ澄まされた体なのだろう。
 金魚は細かく曲線で表現している。まるで青年をあざ笑うようにして泳いでいる。切り絵の一所懸命さが良い。


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     ↑:札幌大谷高校2年・鈴木美夏、「過ぎ去ってしまったけど」。

 シンプルな絵だけど、白が強烈です。その白い丸いお顔が引っ付いている。愛おしくなる作品です。


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     ↑:北海道新聞捨社賞 札幌旭丘高校3年・片野莉野、「刻限 Ⅲ ~帰路~」。

 大作です。不思議な絵です。

 写真では分かりづらいのですが、完全に左右が別の世界を表現している。右側は普通の電車収納基地。
 問題は左側です。そこに間違いなく描いた人の位置があるのです。そこからの視点だからです。そして、画家自身の位置が右の電車風景と一線を画している。いわゆる別次元の空間を作っている。それは左の大きく描かれた電車の輪郭がどこまでなのかが分かりにくくて、そのことによって電車が幽霊電車のようになり、しかも赤系の燃える色によって空気感そのものも右側の実写風景と別物になっている。
 要するに、学校からの帰宅時に、「自分の存在が別次元にある」、そういうものを描きたかったのでは。意欲作だと思う。


 以上が特に好きな作品でした。
 以下、部屋に関係なくランダムに載せます。


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     ↑:札幌西高校2年・米内麻里依、「空」。

 建物も丁寧に描いていて、浮いている少女が不自然でないのが面白い。「ちょっとレトロな私の学校、空を歩いてみようかな」、そんな気分です。


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     ↑:札幌大谷高校2年・大野莉奈、「ばぁ!!!」。

 楽しい絵です。絵としては顔ばかり見がちです。手も強く見てしまう。でも、かなり「人物」は描き込んでいる。


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     ↑:札幌啓成高校2年・本多富美子、「空塔」。

 この視点は大好きだなー。橋を引っ張り支える太いワイヤーへを見ている。見上げればそこには空があり、塔の如く建造物がそびえている。残念なのは、その線の描き方です。難しいのはわかるのですが、もっと丁寧に描いて欲しかった。


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     ↑:左側。北海高校2年・山田かおり、「教室」。
     ↑:右側、小樽潮陵高校1年・渡辺真由、「光」。

 ドア作品を2枚並べてみました。
 ドアという「窓」を描くのは難しいのでしょう。
 左側の「教室」はドア以外を楽しく描いていて、全体でお店の棚のような楽しいリズムが生まれている。
 右側、わずかに空いたドアからの光を描いている。そして、それだけしか描いていない。この大胆さが良い。僕は画家の意図した光よりも、何かが向こう側にある「ドア」に注目して見た。


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 おといねっぷ高校生の作品を3点載せます。

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     ↑:全道美術協会賞・北海道美術館協力賞 おといねっぷ高校3年・高橋皓、「かたい床」。

 ブルー心と綺麗心を重ねたような作品。青い道路表示板がやけに主張している。シンプルなのだが少し懲りすぎと思う。タイトルも「かたい床」とはひねり過ぎでは。
 真上から自転車群を描く。何はさておいて、その見つめる強さが一番大事だと思う。この絵は視覚効果や道具立てを必要以上に取り込んでいる。上手い絵だが、それ以上ではない。


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     ↑:奨励賞 おといねっぷ高校2年・田村陸、「Human experimentation」。

 変わった絵だ。タイトルは「人間実験」か。
 画題のオドロオドロさもあるのだが、どこかユーモラスな作品だ。シーツの皺や色はおといねっぷ高校技法なのだろう。一方に技術の消化という問題があり、一方で自分の出したい世界があり、うまくかみ合っていないみたい。


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     ↑:おといねっぷ美術工芸高校1年・小西美歌・「夢想」。

 綺麗な絵です。優しい絵です。色燦々の世界。

by sakaidoori | 2010-10-10 16:17 | 市民ギャラリー


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