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栄通記

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2010年 10月 06日

1384) コジカ 「武田浩志(・個展) / こ鹿」 終了・9月19日(日)~10月3日(日)


○ 武田浩志 / こ鹿

 会場:サロン・コジカ
    中央区北3条東2丁目中西ビル1F
    (東西に走る南側。)
    電話(011)522-7660

 会期:2010年9月19日(日)~10月3日(日)
 休み:21日(火)、22日(水)、27日(月)、28日(火)
 時間:平日   → 18:00~22:00 
     土日祝 → 14:00~21:00

ーーーーーーーーーーーーーーー(9.23)

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  (以下、敬称は省略させて頂きます。)

 今展、とにかく優しい個展だ。優しい画風だから優しい展覧会だ、と言ってしまえばそれまでなのだが、それでは彼の優しさとは何なのだろう?そもそも今展では何を描いているのだろう?「鹿」を描いている。だがこの鹿は「鹿」という具体的な動物ではない。当館のネーミング(=コジカ)に関わるもので、マスコットであり象徴だ。まさに象徴で、「サロン・コジカとはこういう雰囲気のギャラリーですよ」ということを画家は表現している。そのイメージを膨らますために他の作品がある。

 サロン・コジカとしては満足すべきものだ。だが、画家・武田浩志としてはイマイチ不満だ。


 場の雰囲気と画家自身を重ね合わせて、あたかも一体化した姿は心地良い。ことさら武田浩志個人を強く出す必要もないだろう。だが、絵画空間としては不思議な部分が欠けている感じだ。この場に不安や違和感を導入すべきということではない。川で喩えるならば、この川はどんな風に流れて海に行き着くのだろうとか、山に喩えれば、山の向こうには何があるのだろうとか、行ってみたい見てみたい、そんなX(エックス)の部分が薄くて寂しい感じだ。おそらく、彼の優しさに原因があるのだろう。環境なりパ-トナーとの距離感が安心点という定点で一定なのだ。武田浩志自身が土足で相手の空間に入る必要はないだろう。そういう人でもない。でも、時には相手を強く後ろから押してあげるとか、離れすぎて近づけないから手を差し伸べてとか、優しき淀みもいいものだ。


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     ↑:「こ鹿が見えない(自画像)」・木製パネル 和紙 アクリル絵の具 ウレタンニス 金箔 ラメ 印刷物 2010年 51.5×72.8×3。


 入り口ドアの真正面にある作品。ドアの目の前なのだが、進行方向とは若干ズレているので目に入りにくい。
 最近取り組んでいる自画像シリーズだ。もっとも顔のない自画像だから、間接技的自画像だ。おそらく目や口や鼻を描かなくて、「見て、空気を出入りさせて、色を嗅ぐ」姿を描きたいのだろう。画風とは違って意外に欲張りな人だ。

1384) コジカ 「武田浩志(・個展) / こ鹿」 終了・9月19日(日)~10月3日(日)  _f0126829_214939.jpg 欲張りといえば、タイトルは明快で元気が良い。今までは普通に優しかった。これからは飛び抜けて優しくなろうというのか、優しいばかりがタケダ君ではありませんと、優しくウインクしているのかもしれない。




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     ↑:「神殿」。

 サロン・コジカと武田浩志の愛の巣だ。箱の好きな人だ。



   ~~~~~~~~~~~

 (本当はかなりの分量になった感想記です。以下の文章も省略した一部ですが、自分自身のメモのために残すことにします。重複、蛇足になってしまいました。)

 ・・・・。
 今展のようなスタイルは、もし依頼されれば当然こなす仕事でもあろう。仕事として画家が取り組む場合、画家自身の自己主張をどの程度表現するかを考慮するだろう。場の雰囲気とのかねあいでバランスを保つだろう。
 武田浩志もバランスを保つ。保つどころかバランス感覚に秀でた人だと思う。ただ、彼の場合、弥次郎兵衛のような平衡感覚ではない。場なり空間なりを一様なある種の色とみなし、その色と同化し重なり合わせて仕事が進む。自己の内部イメージを見極めえぐり出して目に見える作品にする、そういうことからは距離をおいた作家だ。始めから外という環境や、誰かという他者がいて、それらとの関係で作品が成り立っている。環境や他者と重なり合う、同化する、そういう関係性の中で自分の居場所をみつめる。それはまさに「色」であり、その色が包み込む雰囲気を距離を保ちながら楽しんでいる。だから、きわどい表現や自己顕示の強さからは距離をおくのだろう。
 ・・・。

by sakaidoori | 2010-10-06 21:46 |   (コジカ)


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