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栄通記

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2010年 10月 04日

1382) CAI02 「佐藤史恵・個展  fluid -瞼の裏側にある記憶-」 10月1日(金)~10月16日(土)


○ 佐藤史恵・個展

    fluid
     -瞼の裏側にある記憶-



 会場:CAI02 raum1
    中央区大通西5丁目 昭和ビル・B2 
    (地下鉄大通駅1番出口。
    注意⇒駅の階段を下りてはいけません。
        昭和ビルの地下2階です。)
    電話(011)802-6438

 会期:2010年10月1日(金)~10月16日(土)
 休み:日曜日
 時間:13:00~23:00

 協力:小西工業 今村技研

※ オープニング・パーティー ⇒ 10月2日(土) 19:30~

ーーーーーーーーーーーーーーー(10.2)

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 地下倉庫に円筒状の生地が吊されている。なめるような白い表面に波紋が生まれては拡がり消えている。ただそれの繰り返し。グルリと外側を一周し、中に入ってみる。

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          ↑:水槽!!


 僕の写真映像では分かりにくいが、この白いカーテンに一切の無駄を排した機械的な波紋が描かれるのを想像して頂きたい。
 波紋の写る仕掛け、頭上に水槽が備え付けたあるのだ。そこに水滴を落とし、その波紋を照明が照らして生地に写っている。

 タイトルは「瞼(まぶた)」。瞼に記憶として留める残像、それを作家は「ゆらぎ、つかめず、定まらず・・・その不確かさ、脆さの確認と・・・それでも最後は美しき世界に還元されるのか?」と反語的に問うている。


 確かに綺麗な作品だ。今展の良さは、大きく単純にビシッと表現したことにある。だから、波紋や白き生地を「女性の柔肌」と譬えたくなるが、そんなセクシーさやロマンはない。「ゆらぎ、つかめず、定まらない」現象だが、作品としては「揺らがず、つかみ取り、ここにある」という明確な作家の立ち姿を見る思いだ。中途半端さやファージーさを排除する姿勢が好ましい。だが、これだけ大きく見せると大いなる物足りなさも感じる。

 見せ方としては、アッと驚くセッティングに欠けていた。機械的な滴の波紋の美しさで終わってしまった。母胎の中にいる安住感と言えばいいのか。
 例えば、筒状の部屋を堪能した後にカーテンを開けるようにして退去するわけだが、振り返った時にギクッとするとか心理的ときめきが欲しい。何処か異次元に誘われるような不可知感覚が欲しい。仮に、この部屋全体が異次元と主張されても、その中にドップリ浸かれば一様な世界として終わってしまう。

 思うに、佐藤史恵という作家はビシッと直立不動に物事を見つめ、思案し、四つに取り組む作家なのだろう。そして最後は白く包まれるように美しく決める。若い女性が大きく表現しようとする姿勢は意外に珍しい。なよなよしく無いのが良い。しかも、肩肘張った力勝負でもない。変に男と張り合おうとしていない。おそらく、テーマが「存在と美」にあるからだろう。存在の亀裂よりも、存在の美の主張者だ。

 もっともっと強く揺らめいて、更に更に脆く壊れそうで、それでもそこに美しくある、そんな作品を見たい。


 <水槽という装置、これは素晴らしい。
 あれだけの大きさを頭上高くセットしたものだと思う。制作から取り付けまで作家一人のものではないだろう。インスタレーションとは関係性の作品だと思っている。他者との具体的関係性(社会性)、現在の美術行為にはそれが強く求められているのだろう。>


        ~~~~~~~~~~~~ 


   1978年 北海道十勝うまれ 札幌在住
   2008年 「神谷泰史/佐藤史恵 二人展」

 上掲の二人展を本編で紹介していました(参照⇒栄通記689番)。大きな蚕のような作品でした。

by sakaidoori | 2010-10-04 12:34 | CAI02(昭和ビル)


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