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栄通記

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2010年 09月 23日

1380) 市民ギャラリー 「第11回 北の墨人選抜展」 終了・9月15日(水)~9月19日(日)


○ 第11回 北の墨人選抜展

 会場:札幌市民ギャラリー・第5室
     中央区南2条東6丁目
     (北西角地)
     電話(011)271-5471

 会期:2009年9月15日(水)~9月19日(日)
 休み:無し
 時間:10:00~18:00
     (最終日は、~16:00まで)

※ 公開制作会 ⇒ 9月18日(土) 14:00~  於・当会場
                19日(日) 11:00~

※ 公開研究会 ⇒ 9月19日(日) 14:00~ 

 【参加書家】
 18名。

ーーーーーーーーーーーーーーー(9.18)

 公開制作日に訪問した。会場の奥半分には新聞紙が拡げられ、準備万端、書家のパフォーマンスを待つばかりだ。

 公開制作の様子は別の機会ということで、作品の紹介をします。

 (以下、敬称は省略させて頂きます。)


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 だだっ広い部屋の壁面に、グルリと作品が並んでいる。一望することができる。瞬間のイメージは、実にバラバラで落ち着かない。今までの墨人会の展覧会は、書家それぞれの違いが、全体の流れの中で良きリズムに見えた。今回は、流れるうねりでは無くガタガタの折れ線に見えた。

 最近は春と秋の年2回開催だ。春の方が参加者が多い。秋は「選抜展」と名を売っている。「選ばれた」というよりも、「積極的に参加したい」という意味だろう。だから、この会では比較的意欲の高い人達の展覧会とも捉えることができる。

 もし作品を年齢順に並べたら、書歴の長さ順で並べたら、より安定した見方ができたかもしれない。いや、そんな姑息的価値観ではなく、「より上手い人達」と「まだまだな人達」を分けて並べてみたかった。あるいは、断定的な価値観・美学に準じて並べたらどうだろう。


 以下、僕ならばこういう風に並べたい順番に載せます。基準は、当展で目立った作品が第一基準で、好みや流れ上の技術的な問題を加味してのものです。


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     ↑:太田俊勝(札幌)、「冴」(さ・える)・180×280。

 意欲満々の作品だ。文字通りのキバのような鋭さだ。太さにまろやかさが加われば、もっと僕好みだろう。サエとマロヤカサは相反するが、その辺の対立と調和を見たい。


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     ↑:左がわ、吉田敏子(札幌)、「寛」・140×180。
     ↑:右側、照井心磊(旭川)、「團」・142×180。

 本展を尊重して2人を同時に並べよう。その場合、「團」を「冴」の右側に置こう。その隣に、吉田敏子の「寛」を置こう。

 「寛」、細い世界だがとても目立つ作品。余白を生かした書の美学ではあるが、現代にマッチした雰囲気がある。書家以外の人気に耐える作品だろう。書家でも「かな書」を専門にしている人が見たならば何と言うのだろう?


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          ↑:渋谷北象(旭川)、「老」・180×126。

 凛々しい人の立ち姿に見えた。分かりやすく目立つ字だ。「花」あるいは「志」と読んでしまった。「老」、余りにも若々しい字だ。


 以上が第1弾で、ここからムードを変えます。


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     ↑:特別出品・中森博文(神奈川)・「風神 A・B」・139×69。

 見せることに長じ、才長けた作品。上手さの方が先に目に来て、気分を味わえない。個展の人だと思う。見たいものだ。


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     ↑:樋口雅山房(札幌)、「里」 「竹」 「圓」・全て53×106。



 全体のムードの優雅さ、どことなく線が内向きなひ弱さ、と同時に直線に現れた強さ。

 それぞれの字の直線に注目した。「里」の字の最後の横線、「竹」の字の2本の縦線、「圓」の字の囲いの縦線。それぞれ強い。爆発ではなくて、圧迫力というか押圧感だ。が、その強さが字全体と妙にずれている感じ。「竹」がもっとも統一感があるのだろう。
 

 江戸文人を想像したくなる書だ。一つの遊びではあるが、現在に背を向けているとも見られるだろう。
 今までの書も、江戸文人傾向だった。それでも、他の作品と整合性を保っていた。少なくとも良きリズムというか、味わいになっていた。が、今回はとても浮いていた。なぜだろう?
 今回は展覧会全体に統一感がなかった。それはドンのいない集団研鑽会の宿命でもある。同派ということで、会員の表現が一つに感じる時もあれば、個性の違いが際だつ時もある。今回は後者なのだろう。
 確かに雅山房の書も個性的だ。だが、個性の醸し出すムードが、「オレがオレが」という体の向きが違いすぎたようだ。それと、氏特有の雅品が全体とそぐわなかったのだろう。


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     ↑:馬場怜(余市)。左から、「回天」・69×135 「泉」・140×90 「雨」(古文)・94×90。

 「回天」が右始まりなのが古風だと誰かが指摘していた。書いた人の年齢が想像できるとも語っていた。なるほど、昔の活字は全て右始まりだった。

 そういうベテランが、己の因習に囚われないで、勢いで書こうとした雰囲気がある。勢い勝ちと、幼児(原点)帰りの書ともとれる。


 以上を第2群にして、以下大きさと書の雰囲気を考慮して並べ替えをしたいものだ。

by sakaidoori | 2010-09-23 10:05 | 市民ギャラリー


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