2010年 09月 19日
○ 吉成翔子・個展 ・会場:茶廊法邑 東区本町1条1丁目8-27 電話(011)785-3607 期間:2010年9月15日(水)~9月23日(木) 休み:火曜日(定休日) 時間:10:00~18:00 (最終日は、~15:00まで) ーーーーーーーーーーーーーーーー(9.17) スッキリした展示だ。入り口近くの木の長椅子に座り、縦長に奥に奥にと見渡すことができる。 左側の壁面にはお絵かきクラブのような線のリズムの世界。 右側の壁面には5個の牛顔のシルエット。かぶり物にして遊びたくなるような表情だ。でも重たいだろう。 手前の床には林のようにして作品が楽しく立ち並んでいる。揺らめきスタイルで、すくっと上に上に伸びて一塊だ。伸びる拡がりよりも、コンパクトな親しき人間模様が伝わる。 その奥に3個の「線であり円」の造形作品、それぞれの線にメルヘン気分を膨らませるようにして小物が添えられている。地平線で戯れる小人のよう。 そして、一番奥に三角おむすびのような立体造形作品がお座りしている。 吉成翔子・金属造形牧場だ。 実際、彼女は牧場育ちなのだろう。現在は道教育大学の大学院に在席している。今風の若者気質のたゆたゆしさと、北海道の白さ緑さ野生育ちの中でのメルヘン気分が合体した感じだ。そこに鉄という素材が気分を代行している。「鉄」とは随分重たい相棒だ。だが、牧場には「鉄」はなくてはならない。彼女にとっては武具や道具とは違って遊具なのだろう。 吉成翔子の基本はメルヘンだ。鉄による壮大な一人遊びだ。 二つの作品傾向で語ることにしよう。 一つはメルヘン気分を具象形に近い形で再現すること。「そのまんまヒガシ君」スタイルだ。誰でもがしていることで、限られたスタイルの中で、個々の作家は独自性を発揮するのに工夫し苦労している。 もう一つは、形なりボリューム感そのもので吉成心を表現すること。あからさまなロマンティック・スタイルもあるにはあるのだが、「あっ、こういう形もあるよな~」というザックバランな驚き作品が彼女にはある。今展で言えば奥にたたずむ3個の線の世界であり、三角おにぎりだ。形そのもの、自分の造形感覚そのものにチャレンジしている。だから、その心のメルヘン性とは違った魅力、美術造形を楽しむことができる。 例えば、「ふっくら気分」をふっくらなままで、どのようにして形にするかだ。今、「ふっくら気分」と言ったが、そこにはいろんな気分があるはずで、だから作品に対する誤解が生じる。見る人は千差万別のなのだから、誤解の生じない作品は力不足だと思っている。 吉成翔子はそこの所を無意識にチャレンジしている。だが、余りにも根っこに持つイメージが強すぎて、そのイメージを愛しすぎる人のようだ。「愛」はすばらいい、だが「愛」だけではいろんな「ふっくら気分」は生まれない。 線の造形作品に可愛く小人が引っ付いている。僕としてはこの小人がいなくて、小人を感じる世界を見たかった。だが、作家はどうしてもそこに小人を置きたいのだ。仕方がない。その気分も楽しむことにしよう。
by sakaidoori
| 2010-09-19 14:44
| (茶廊)法邑
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丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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