栄通記

sakaidoori.exblog.jp
ブログトップ | ログイン
2010年 09月 14日

1369) たぴお 「夏の終わりに・・・ (7人のグループ展)」 終了・8月30日(月)~9月4日(土)


○ 夏の
   終わり
     に
      ・・・



 会場:ギャラリーたぴお
    中央区北2条西2丁目・道特会館1F
    (中通りの西側の郵便局のあるビル。)
    電話・林(090)7050-3753

 会期:2010年8月30日(月)~9月4日(土)
 休み:日曜日
 時間:11:00~19:00
     (最終日は、~18:00まで。)

※ オープニング・パーティー ⇒ 初日 1800~

 【参加作家】
 今荘義男 柿崎秀樹 佐藤美紀子 高林恵理子 田中麻里 林教司 藤川弘毅

ーーーーーーーーーーーーー(8.31)

1369) たぴお 「夏の終わりに・・・ (7人のグループ展)」 終了・8月30日(月)~9月4日(土)_f0126829_14215060.jpg


1369) たぴお 「夏の終わりに・・・ (7人のグループ展)」 終了・8月30日(月)~9月4日(土)_f0126829_1422413.jpg



 総合タイトルの「夏の終わりに・・・」、その言葉にこだわった作品なのかどうかはわからない。むしろ、それらの作品を「夏の終わりに」として見てみたら、どんな風景が浮かぶのかという、ギャラリー側の提案でしょう。

 小品尽くしだが、実に楽しめた。キュッと充実感があった。もちろん、作品の方向性の違い、質の高低差はある。それらの違いを混ぜ合わせたギャラリーの魅力があった。ギャラリー空間の魅力ではない、描いた作家の人間像がほのかに垣間見えたのが面白かった。


 全作家は紹介できません。会場でお話しした作家、めったに見られない作家、気に入った作品を中心にして載せます。


1369) たぴお 「夏の終わりに・・・ (7人のグループ展)」 終了・8月30日(月)~9月4日(土)_f0126829_20435639.jpg
     ↑:高橋恵理子


1369) たぴお 「夏の終わりに・・・ (7人のグループ展)」 終了・8月30日(月)~9月4日(土)_f0126829_21584852.jpg



 おそらく高橋恵理子は「絵の好きだ、絵を描く喜びを再認識した、そして絵を他人に見せたい、絵を通していろんな人と交流したい」、そんな動機での参加だと思う。まさにたぴお・グループ展はそういう人を求めているのだ。

 作品はまさに「夏の終わり」の想い出なり懐古調の作品群と、若者らしい一気描きに分類される。
 俳句と絡めた絵画作品の方が彼女の自然な絵画スタイルだろう。だが、僕は展覧会作品としてはこういう雰囲気の作品は取らない。良し悪しではなくて、余りに若者らしくない。「らしさ」を求めて、それを追求し楽しんで作品巡りをしているからだ。

 そういう意味では上掲の左側の2作品の方が面白い。確かに質はまだまだだが、何かを「描きたい」という思いが伝わる。
 本人が居られたので、俳句画との作風の違いを交えていろいろと対話した。

1369) たぴお 「夏の終わりに・・・ (7人のグループ展)」 終了・8月30日(月)~9月4日(土)_f0126829_2057548.jpg

1369) たぴお 「夏の終わりに・・・ (7人のグループ展)」 終了・8月30日(月)~9月4日(土)_f0126829_20583548.jpg
     ↑:左から 「無常」、「鉛筆が青で泳いだ日」。

 左側の花の絵は、はかなさも表現したかったとのことだ。それが顎の辺りの表現になった。だがこれは無理だ。生命賛歌の満開の花の中に、同時に枯れる死を表現したいのだ。だからタイトルは「無常」となる。一枚の絵の中に相反することを表現するのが「絵画」だとは思う。だが、それを一気に取り組むと、作家の思いだけが一人歩きして作品のレベルとはかけ離れてしまう。ここはじっくりと「満開燦々」の絵と、「死する花」をテーマにした作品を描き上げて2点一組で他人に見せたい。

 上掲の右側の作品、偶然の産物とのことだ。あ~もったいない。偶然に出来たものならば、1点で満足せずに、色を変えるなりして一気一気に5,6点ぐらい描き上げて、その中で4点一組の連作仕立てにまとめたら良いのに。
 そんなことを作家・高橋恵理子と対話した。僕の意見の中味はどうでも良いことで、少しは刺激になったならば嬉しいことだ。次は「若者らしい」のをもっと見せて下さい。「鉛筆が泳いだ日」、良いタイトルだと思う。この気分で勝負したらいいのに。


1369) たぴお 「夏の終わりに・・・ (7人のグループ展)」 終了・8月30日(月)~9月4日(土)_f0126829_21134072.jpg


1369) たぴお 「夏の終わりに・・・ (7人のグループ展)」 終了・8月30日(月)~9月4日(土)_f0126829_2114294.jpg
     ↑:藤川弘毅


1369) たぴお 「夏の終わりに・・・ (7人のグループ展)」 終了・8月30日(月)~9月4日(土)_f0126829_2147926.jpg1369) たぴお 「夏の終わりに・・・ (7人のグループ展)」 終了・8月30日(月)~9月4日(土)_f0126829_2148288.jpg
1369) たぴお 「夏の終わりに・・・ (7人のグループ展)」 終了・8月30日(月)~9月4日(土)_f0126829_21484025.jpg



1369) たぴお 「夏の終わりに・・・ (7人のグループ展)」 終了・8月30日(月)~9月4日(土)_f0126829_21492146.jpg
1369) たぴお 「夏の終わりに・・・ (7人のグループ展)」 終了・8月30日(月)~9月4日(土)_f0126829_21493756.jpg



 藤川弘毅、若い女性の生き生きとした表情を撮るのに長けた作家だ。生きた人間は素晴らしい。素晴らしいが被写体に収めるには作家の自由な精神だけではままならないことが多々ある。今作は人形に迫ることによって、日頃の生々しい制約を離れて、作家・藤川弘毅が人形作品という若き人物の美と儚さを追求した作品群だ。
 写真に閉じこめる、枠に閉じこめる、閉じこめることによって露わになる女性美と恋慕の世界。今展一の作品群だった。


1369) たぴお 「夏の終わりに・・・ (7人のグループ展)」 終了・8月30日(月)~9月4日(土)_f0126829_2127731.jpg
     ↑:佐藤美紀子


1369) たぴお 「夏の終わりに・・・ (7人のグループ展)」 終了・8月30日(月)~9月4日(土)_f0126829_21274619.jpg

1369) たぴお 「夏の終わりに・・・ (7人のグループ展)」 終了・8月30日(月)~9月4日(土)_f0126829_21281237.jpg




1369) たぴお 「夏の終わりに・・・ (7人のグループ展)」 終了・8月30日(月)~9月4日(土)_f0126829_21283716.jpg
1369) たぴお 「夏の終わりに・・・ (7人のグループ展)」 終了・8月30日(月)~9月4日(土)_f0126829_21285527.jpg



 佐藤美紀子、この人には華がある。だから、切ない作品を作るのだが、暗く打ちのめされることはない。前向きな健康的な美がある。上昇志向の気分の持ち主だ。
 だが困ったことに、その華を狭い世界で完結しようとしている。彼女の目はいつもいつも狭い一点に凝固して、なぜだかはしらないがそこに永久の美を求めている。女の子の「お人形さんゴッコ」を演じているみたいだ。自分に語らい、自分に満足し、自分に激励している。
 大きく開花するにはもったいない振る舞いだが、やっぱりトコトン気の済むまでミクロを追求せねばならないのだ。その限界なり何なりに踏み込んで、「もう良いか!!」とつぶやいた時に、彼女の目は方向転換をするのだろう。他人に気が付くのだろう。

 その時は間違いなく訪れる。だが、道外の人だ。その時を見ることができるのだろうか?


 (他の作家の写真作品のみを追って載せたいと思います。)

by sakaidoori | 2010-09-14 22:18 | たぴお


<< 1370) CAI02 「山本...      1368) 門馬 「Deriv... >>