2010年 09月 09日
○ はかなくも美しい不思議世界 空想劇場 其の一 6名の作家による写真・映像・音の饗宴 ・会場:茶廊法邑 東区本町1条1丁目8-27 電話(011)785-3607 期間:2010年8月18日(水)~8月30日(月) 休み:火曜日(定休日) 時間:10:00~18:00 (最終日は、~15:00まで) 企画:法邑芸術文化振興会 【参加作家】 石黒翔 宇津木圭 クスミエリカ こんのあきひと not/c(kohei sasaki) 山岸せいじ ーーーーーーーーーーーーーーーー(8.29) (以下、敬称は省略させて頂きます。) 4人の写真家と映像作家&音楽担当者の6人展。 会場風景を見てわかるように、それぞれがそれぞれの領域を守って、それぞれの異次元空間を演出している。 入り口からいきなり不思議不思議世界だ。デジタルの利点を生かして、引っ付けはっ付けてはいろいろな加工を施している。妖艶風だがセクシャルさを押さえて向こうの世界への窓を提供している。 妖艶なのは「女・娘という存在」を「窓」にしているからだ。女は日常でも「化粧」をする。確かに綺麗で人目を惹く。それは日常の潤いでもある。 そして、非日常にたいしても女は化粧をする、着飾る。まさに化ける権化になる。誰はばかることなく厚く厚く化粧や着物で身を覆う。そういう存在には獣の頭や蝶がよく似合う。わずかな素肌が「生」の匂いをまく。 音楽担当者。重たさには無縁な、軽く明るくかったるいBGM。 デジタルではあるがもっとも絵画的で人間くさい作品群。遠く遙かかなたを見つめるロマン、それは女性を使うことによっても増幅されているのだが、人の影そのものを壁や窓に仕立てて、僕の気持ちを惹きつける。 人影に淡く波打つ色を入れて、確かにセンチメンタルなのだが、そして人影は窓なのだが、等身大の人のオーラをほんのりと発散していて、そのオーラ同士が無言の会話のやりとりになり、写真という虚像の向こう側で、素顔でまた合いましょうとほほ笑んでいるよう。本当にまた会えるのか?間違いなく会える、と写真家・山岸せいじは作品で応えている。それを信ずべきか? ロマンとノスタルジーを抱え込んだリアルな写真群だ。 写真を見せないようにして展示するのが得意なこんのあきひと。見せないというか、小さな写真を小道具の中にしまい込んで、あれこれと楽しんでいる写真家である。 いつも会うたびに、「見せない展示は構わないが、もっと大きな写真を展示する経験を積むべきだ」と、あらぬお節介を言っている。ようやくそれが実現した。彼にとっての一つのステップだろう。 自転車の紙芝居写真は良い。 単なる飾り的展示になったのが惜しまれる。フォークの変人・高田渡ではないが、「写真芝居のこんののニッチャン」と呼ばれるぐらいの迫力展示もいいのでは。 基本的に彼の表現は「これを見せるんだ!!」という領域では無い。そういう自覚に立っての発表ではない。写真をオモチャのような小道具にして、好きな風に組み合わせて、そのことがいったい何なのかを自己確認している段階だ。他の表現者とのコミュニケーションもとれるようになり、かすかな喜びと自信が身に付き始めた段階でもある。 今展、その自覚の薄さが一番下の写真の展示に表れてしまった。ここで床の間風飾りの「花鳥風月」写真では余りに能が無さ過ぎる。「うさぎおいし彼の山~」とか、「カラスは山に~」という童謡をもじっているのだろう。それでは青年らしくない。折角、子供シリーズのノスタルジアで写真を統一しているのだから、「人」で埋め尽くさないと。 他が「人間味」でくるのならば、僕は徹底的に自然だ、自然は光だ色だ青だ、極端なまでに鮮やかにしよう。目くるめくエセ風景写真だ・・・。そんな撮影家の声が聞こえてきそうです。 ようやく最後の人に辿り着いた。 会場中央で、他者を邪魔することなく、それでいてコミカルな変化と美しさは人目を惹きつけないわけにはいかない。あれこれ書くのも疲れてしまった。映像に代えて僕の拙い写真をやや多めに載せます。
by sakaidoori
| 2010-09-09 20:11
| (茶廊)法邑
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アバウト
丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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