1363) テンポラリー 「西田卓司・個展 『ワーキングフロー』」 8月24日（火）～9月12日（日）

○　西田卓司・個展
　　　「ワーキングフロー」

　会場：テンポラリー・スペース
　　　　　北区北１６条西５丁目１－８
　　　　　（北大斜め通りの東側。
　　　　　　隣はテーラー岩澤。）
　　　　　電話（０１１）７３７－５５０３

　会期：2010年8月24日（火）～9月12日（日）
　休み：月曜日（定休日）
　時間：１１：００～１９：００

ーーーーーーーーーーーーーー（8.29）

　　　　　↑：１階の壁画作品群。これが全て。

















　（以下、敬称は省略させて頂きます。）

　コレクター西田卓司、情念と美学のはざまで。

　静かに壁面作品を見るには、２階の貼り付け作品群が襲いかっかてきて気ぜわしい。静かに見てはいけないのだ。それではロック風にボリューム１００の世界か？そうはならない。２階の作品模様は情念が膨張浸食するかのようなあからさまな作家の意図がある、そしてその意図に支配された美学も重なって、「ざわめく中でも沈思黙考」を見る者に強いている。爆発という「型」と強い「制御」だ。

　この空間ではどうしても意識は２階に行く。何が貼られているのだろう？作品群の確認に心がはやる。知らず知らず、足早に階段を昇ることになる。

　２階は壁を支持体にしたコラージュ作品だ。貼られた写真や切り抜きは作家のコレクションだろう。とりとめもなく集めた雑誌の切り抜きや紙片が所狭しと貼られている。安っぽい紙質であり、印刷も古めかしいからどうしてもノスタルジックな気分になる。それも実に軽い気分だ。本当に何かが失われた重みを感じない。子供遊びの延長としての貼り絵模様だ。





　「知的な博学誌的関心」、そう理解した。
　人工物、人物、動植物、古代史、文明史・・・、一本の糸では繋がりそうもない品々ではあるが、作家にとっては過去に過ごした時間が重なりあっているのだろう。
　だが、「雑多な博学誌的関心」は「情念の爆発」とは相容れない。遠眼鏡というフィルターが情念を濾過するからだ。その濾過の痕跡が西田・美学としてテンポラリーを埋めた。
　彼の情念とは何か？集めることだ。哀しいかな中味はどうでも良いのだ。デカルトは言った「我思う、故に我あり」、西田卓司は言う「我集める、故に我あり」だ。
　「集める」、それは現代人の病であろう。現代人は直ぐにエネルギーが溜まる。溜まれば処理せざるを得ない。処理が人に向けば、「性」と「権力（支配欲）」になるのだろう。限りなく自己に向けば「自慰」と「収集」になるのだろう。

　西田コレクションに「権力」の影はあるが、「性」への関心は薄い。
　以下、今展の中から「異性」に関わるアイテムを載せよう。全部で２０点程しか見つけれなかった。。














　こうして、女性中心に載せたから勘違いされそうだが、異性への関心は薄い。風俗は皆無だ。漫画、家族、学校風景、文化活動、衣装等々健全な人達だ。マリリンモンローはやっぱりアメリカ好きの作家にとっては外せない。


　さて、制御された爆発はどこに向かうのか？
　「若い人がノスタルジックな、あるいは現代文明礼賛的な単なる収集なんて物足りない」だろうか？
　きっと激論を交わす人ではないだろう。都会的なお洒落な気分の持ち主なのだろう。全てを肯定する立場かもしれない。妖しき宙ぶらりんを楽しんでいるのかもしれない。